• 2024年3月5日
  • 2024年4月1日

普連土学園中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

普連土学園中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

穏やかでアットホームな校風で知られる普連土学園中学校は、港区にある私立の女子校です。この記事では普連土学園中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも普連土学園中学校ってどんな学校?

そもそも普連土学園中学校ってどんな学校?

普連土学園中学校は、1887年(明治20年)、アメリカ、フィラデルフィアのキリスト教フレンド派(クエーカー派)によって創立されました。「普連土」という字は、津田梅子の父津田仙によって当てられたものです。「普く世界の土地に連なるように」という意味が込められています。

普連土学園ではクエーカー派の教えに基づき、高い人格の形成を目指します。具体的には、「すべての人間に対する尊敬の念」や「思想、言語、行動における誠実さ」、「生活における簡素」という徳性を育んでいます。クエーカー派は「物質」に重きを置きません。より「人生において価値のあるもの」に時間と精力を捧げようという考え方を根幹に据えています。なお、クエーカー派の学校は、日本では普連土学園中学校ただ一校です

中高一貫教育ならではの無駄のないカリキュラムや、ネイティブ教員による外国語教育、生徒一人一人へのきめ細やかなフォローなど、普連土学園中学校には魅力的な点がたくさんあります。科目によって授業の人数や形式を変えられる点も、普連土学園の強みです。数学や外国語は少人数クラスですし、外国語の一部は習熟度別クラスも用意されています。数学はティームティーチングを採用していて、科目ごとに最も効果的なスタイルを採用しています。

特に理科教育英語教育に熱心な学校です。実験の機会を数多く設けているため、理系の進学率で四割近い実績を出しています。英語も、必要に応じて少人数制の補習を実施。留学制度や研修旅行など、選択肢が充実しています。

普連土学園中学校の入試概要

普連土学園中学校の入試概要

普連土学園中学校の入試について見ていきましょう。

2024年度入試

2月1日午前に一般入試四科(募集人数50名)と帰国生入試(募集人数若干名)、同日午後に一般入試算数(募集人数20名)が実施されました。翌2月2日午後には一般入試二科(募集人数30名)、2月4日午前には一般入試四科(募集人数20名)と帰国生入試(募集人数若干名)という流れでした。

受験料は2月1日午後の算数は10,000円で、ほかは一回あたり25,000円でした。複数回受験すると減額されますが、2月1日午後の算数は減額対象に含まれません。それ以外を複数回受験する場合、二回同時出願は40,000円、三回同時出願は55,000円に設定されていました。

2024年度の入試倍率

倍率は以下のとおりです。なお、小数点第二位以下を四捨五入しています。
二月一日午前の四科入試の受験者数は127人で合格者は60名、倍率は約2.1倍。帰国生入試は若干名の募集で受験者数は1名、合格者数も1名で1倍でした。午後の算数における受験者数は317名、合格者数は220名で約1.4倍です。

二月二日の二科では受験者227名で合格者数は88名、約2.6倍でした。二月四日午前の四科では受験者数175名で合格者数35名、5倍です。ちなみに、四日の午前四科において、帰国生の受験はありませんでした。

2024年度の入試倍率一覧

四科入試約2.1倍(2/1)5倍(2/4)
二科入試約2.6倍
帰国生入試1倍
算数入試約1.4倍

普連土学園中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

普連土学園中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

普連土学園中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は知識問題の分量が多い

国語の試験時間は四科の場合は60分、二科の場合は50分です。配点はどちらも100点。大問は五つ程度で、大問一、二で読解、大問三以降で総合知識問題の構成です。国語は四科と二科で出題傾向が異なります

四科の入試では、記述問題の占める割合が大きくなりますが、二科の入試では選択問題の占める割合が大きくなります。問題としてのレベルが大きく異なるわけではありませんが、記述問題の得意不得意によって点数は変わってくるでしょう。説明文や物語文が出題され、読解力が問われます。漢字の読み書きや知識、語彙力を問う問題もたっぷり出題されます。

算数は受験日によって出題形式にばらつき

算数の試験時間は四科だと60分、二科と算数一科目はそれぞれ50分で、配点はどれも100点です。四科の場合、大問六つ、二科の場合は大問七つ、算数一科目の場合は小問のみの構成となっています。

算数は、「四科」「二科」「算数のみ」によって、問題の出題傾向にばらつきがあります。四科では、基礎から思考力を要する問題まで幅広く出題されます。二科との違いとして、大問六で会話文形式の問題が出題されるのが特徴です。算数一科目では小問が50問出題されます。

理科は全分野から均等に

理科の試験時間は30分で配点は75点です。理科は全分野から出題されます。基本的に分野ごとの比率は均等です。記述問題の比率が高めなのが特徴といえます。だいたい選択問題と記述問題で半々の割合です。過去問をやるとわかるとおり、大問一が物理、大問二が化学、大問三が生物、大問四が地学です。

社会も全分野からの出題。時事を固めて

社会の試験時間は30分で配点は75点です。社会もまた理科と同様、全分野から出題され、その比率は均等です。地理・歴史・公民に加えて時事問題も出題されます。知識問題は解きやすいですが、記述問題では難しい問題が出ます。あるテーマを「掘り下げる力」、「表現する力」を求められる内容です。

ポイント
  • 受験方式によって出題傾向が大きく異なる
  • どの科目も比較的平易な問題が多いが、点差を付けるための問題が出る

普連土学園中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

普連土学園中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

普連土学園中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

効率的に作業をこなせるようにしよう

普連土学園中学校で出題される文章は決して難しくありません。ただし、四科の場合は記述問題が多いので、「説明する力」、「表現する力」、「要約する力」などが必要です。二科は選択問題メインですが、用意されている選択肢がやや長めで、読み込むのに時間を要します。

説明文と物語文の問題をできるだけたくさん解いて、読み慣れておきましょう。その上で、過去問をやり込み、当日の時間配分をイメージトレーニングしておきます。

知識問題のボリュームが多い

知識問題は大問三つ分出題されるため、量としてかなり多いです。漢字の読み書き以外では部首の知識や語彙力を要する問題が出るので、言葉の知識を確実に身につける必要があります。

普連土学園中学校の国語対策
  • 説明文と物語文の問題を何度も解いて読み慣れておく
  • 漢字は読み書き以外にも部首の知識や語彙力が必要になる

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

計算や小問集合では確実に得点を

序盤は計算や小問集合なので、確実に点数をとるようにしましょう。計算では、分数小数括弧の入り混じった問題が出題されます。小問集合は各単元の基本レベルの問題ばかりです。

全般的に基本問題

小問集合だけではなく、単元別の大問でも、基本を理解していれば解ける問題が多く出ます。そのため、中学受験テキストの基本問題を周回してやり込むのが一番の対策です。中学受験は出題範囲が広いため、どうしてもとりこぼしが出てきます。間違えた問題や間違えやすい問題を付箋や書き込みで管理し、自力でできるようになるまで解き直しましょう。類題にもたくさん挑戦しておいてください。

平面図形をやり込もう

頻出単元のひとつに平面図形が挙げられます。点の移動の問題であったり、面積を求める問題であったりが過去には出題されています。いかにも中学受験らしい問題が出ることが多いので、問題集の該当単元をやり込んできっちり理解しておきましょう。

場合の数をやり込もう

場合の数も頻出単元のひとつです。場合の数は後半に出てくることが多いですが、問題自体は典型的な内容です。単元をやり込んでおいてください。

大問は前半の小問だけでも解く

大問は三つ前後の小問によって構成されます。前の小問で出した答えを用いて解く問題も多いので、連鎖的なミスを発生させないようにしましょう。

算数一科目の入試は小問だけで数が多い

算数一科目の入試は小問50問の出題で、問題文はコンパクトなものばかりです。しかし、後半にいくと基本問題だけでは苦戦する内容も出てきます。基本問題を確実に解けるようにし、多少難しい問題も解けるように仕上げていきましょう。数が多いので、スピード感をもって処理できるようにならなければなりません

会話文形式の問題に慣れておこう

四科の入試に出題される会話文形式の問題は、普連土学園中学校の算数の中では例外的に問題文が長く、「読み解く力」が必要とされます。毛色が違う問題に慌ててしまうといけないので、過去問をやって慣れておいてください。

普連土学園中学校の数学対策
  • 基本レベルの問題を確実に得点できるように何度も周回する
  • 間違いやすいところを管理する癖を付ける
  • 「平面図形」「場合の数」は頻出単元なのでやり込む
  • 一科の場合は多少難しい問題も解けるように、四科の場合は「読み解く力」をつける

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

基本的な知識を生かして計算問題を解こう

実験や観察からの出題が多いので、その結果を問題文やグラフ、図表に落とし込んだ計算問題が出題されます。そんなに難しくはないですが、計算慣れしていないと手こずるので、問題集だけで数が足りないようであれば演習問題集を活用し、なるべく数をこなしておいてください。

作図の問題も出る

光の屈折をはじめ、作図の問題が出題されることがあります。理屈を理解していないと、作図の問題は解けません。問題集の説明を読み込んで、図解をノートに写してみてください。問題集に類似する作図問題があれば解いておきましょう。

図表の問題が多い

図表から数字やデータを読み取らないと解けないタイプの問題が多いです。つまり、ただ問題文を読んで解くだけの問題に比べて時間がかかります。素早く処理できないとタイムアウトです。当日焦らずに済むよう、過去問で処理速度をイメージトレーニングしておきましょう。できるだけ多く類題も解いておきます。

普連土学園中学校の理科対策
  • 計算慣れするために演習問題集も使って数をこなす
  • 作図に対応できるように理屈をしっかりと理解する
  • 過去問で素早く解き進めるスピード感を身に付ける

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

日頃から社会問題を考えて

普連土学園中学校の時事問題は、社会に日頃から関心を抱いている子供であれば、解きやすい内容も多いです。しかし、そうではない子供は苦戦せざるを得ないでしょう。そのため、リアルタイムでニュースを追いかけることをおすすめします

特に戦争や制度のいびつさによって踏みにじられている人々に注目してください。普連土学園中学校は「すべての人間に対する尊敬の念」を大切にする学校です。社会の出題傾向にもそうした姿勢は反映されています。

基本問題では点差がつかない

基本問題も多く出題されますが、点差がつきやすいのはやはり記述や思考力を問う問題です。そうした問題で得点するためには、社会問題への興味関心、文章や資料からヒントを正しく読み取る力などが必要となってきます。基本レベルの知識は問題集を周回して固めておき、思考力型の問題にも慣れておきましょう。

地理関連のデータを入れ直そう

どの分野からもほぼ均等に出題されるため、最初に学んだ分野である地理は、改めて覚え直しておきましょう。特に地域ごとのデータについては改めて入れ直してください。農産物や工業、気温、その他さまざまなグラフを押さえておきます。

普連土学園中学校の社会対策
  • 日々ニュースをチェックし、特に弱者に注目する癖を付ける
  • 記述力・思考力を身に付けるために問題集で「正しく読み取る力」を養う

普連土学園中学校の入試は受験方式に合わせた対策を

普連土学園中学校の入試は受験方式に合わせた対策を

普連土学園中学校の入試問題は、四科・二科・算数一科目・帰国生などさまざまなバリエーションがあります。受験方式にあわせて問題の出題傾向も大きく変わるため、自身の受ける回に合わせた対策が必要となりますので注意しましょう。

国語は、四科・二科のどちらを受けるかによって、記述問題中心か選択問題中心かが変わります。自身の得意不得意を考えた上で受験する回を選んでください。知識問題は大問三つ分と多めです。

算数は、四科か二科か、それとも算数一科目かで問題の構成が大きく変わります。四科と二科の違いは最後の会話形式の出題があるかどうかですが、算数一科目の受験では大問はなく小問のみとなります。内容自体は比較的平易ですが、差をつけるためある程度難しい問題もスピーディーに解かなければなりません。

理科は計算や作図、図表などを通して作業力思考力が問われます。社会は基礎力と思考力の両方が必要です。加えて、自分たちの生きる社会をどう受け止めているのかが問われます。

平易な問題が多い分、いかに失点しないかが合否の分け目となりますし、点差をつけるための歯応えのある問題を一問でも多く解く力が求められるといえるでしょう。

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