中学受験をしていると子どもに関する悩みがよく出てきます。近くに相談できる人がいれば良いのですが、パートナー以外に相談する相手がいないというケースもよくあります。さらに考え方や方針の違いでパートナーに対しての悩みも出てくると、人に相談することもできず鬱屈してしまうことがよくあります。
この記事では中学受験をする子どもを持つ保護者が持つ悩みや相談の中で、特に多いものを紹介します。受験が終わるまでは悩みが尽きることは無いと思いますが、この記事を読んで少しでも悩みが軽くなればと思います。
子どもの受験に対する意識が低い

中学受験をする子どもを持つ多くの保護者が抱く不安の最たるものが「子どもの受験に対する意識が低い」というものです。学年や時期、性格によって程度の違いはありますが、中学受験に対して高い意識を持てない子どもを見ていると親はヤキモキしてしまいますよね。
そんな意識の低い子どもに対して親がとるべき行動としては「見守る」か「意識を高められるように促す」の2種類あります。
まずは信頼できるプロ家庭教師や塾の先生に子どもの意識が低いことを相談して見ましょう。その際に、時期が来れば大丈夫と言われれば多くの場合「見守る」ことをお勧めします。プロ家庭教師も塾講師も多くの中学受験生を見ています。プロの目から見て学習進度が問題無ければ、意識が高く見えなくても大丈夫な場合がほとんどです。特に男の子の場合は危機感を持つのが小学6年生の夏であったり、遅いと12月に入ってからという子もいたりします。それでも学習進度さえ守れていれば大丈夫です。親が危機感を持っていても子どもに無理に緊張感を持たせても学力の向上には繋がりません。信頼して相談できる講師が言うことを信じて見守ることが最善です。
しかし、成績が下降している時には学習進度が適切でない可能性が高く、それでも問題無いと言われるようであれば家庭教師の変更や転塾を考えた方が良いかもしれません。
講師に相談した際に学習進度が順調でないと言われた際には、意識を高められるように促すことが必要です。まずは目的意識を子どもに持たせましょう。なぜ中学受験をするのか、受験して将来どうなりたいのか、短期的でも長期的でも良いので、今一度子どもに中学受験をする意志の確認をしましょう。意志の確認が出来たら自分の成績を見つめ直させ、現在の学習進度では目標に到達できないこと、目標を達成するためにどのくらいの努力が必要であるかといったことを話し合いましょう。
この時、絶対に感情的にはならず、子どもの成長を考えて話してあげることが肝要です。
話し合いの結果として、中学受験をしたくないと言う子どももいるかもしれません。一時の感情で受験を忌避していることがほとんどですが、何か理由があって受験をしたくないと考えている場合もあります。その際にはできるだけ子どもの意志を尊重してあげましょう。志望校を変えることや、究極的には受験そのものを辞めることも考える必要があるでしょう。
子どものモチベーションが下がっている

長丁場の中学受験では、子どものモチベーションを保ち続けるのは難しいものです。モチベーションが下がる理由はいくつかあるので、それぞれの原因を上手く取り除いたり軽減してあげたりして、受験本番まである程度のモチベーションを保ってあげられるようにしてあげましょう。
モチベーションを上げるためには将来に対する期待感を持たせること、親が認めてあげること、学習内容が理解できる勉強環境を整えてあげることが重要です。
受験勉強を長く続けていると受験後の未来まで考えが及ばなくなってしまう事があります。親子で一度、中学入学後やさらにその先の未来について子どもと話すと良いでしょう。自分の成長した姿への期待感でモチベーションが上がるはずです。
子どもが一番認めてもらいたい相手は「親」です。勉強しているとスランプ期に入ることがあり、その時には子どもは自分の力を信じることができずモチベーションが下がる傾向にあります。しかし、着実に勉強をしていれば必ずスランプは抜け出せます。焦らせることなく、子どもの日頃の頑張りを認めてあげ、それを言葉にしてあげ、辛いスランプの時期も諦めることなく乗りえさせましょう。
受験勉強で、難しい問題にぶつかり続けるとモチベーションが低下してしまいます。塾では常に一定の進度で授業が進むため、理解できないまま次の授業にうつることがあります。引っ込み思案な子どもの場合、講師への質問がうまくできずにズルズルと授業が分からないままになり、解けない問題をやり続けることになりかねません。そんな時には家庭教師を利用すると良いでしょう。理解できていないところを丁寧に説明してもらい、解決することで徐々に解ける問題が増え、自信がつき、モチベーションが向上します。
勉強をしているけれど成績が上がらない

勉強をしているのに成績が上がらないのには「基礎ができていない」もしくは「勉強の仕方が間違っている」というのが大きな理由だと言われています。
中学受験には多くの覚えるべき内容が存在します。特に進学塾は進度が一定であり、子どもひとりずつの理解度は勘案されません。そのため、子どもは毎回の授業や宿題をこなすのに精いっぱいになってしまい、肝心の基礎ができていなかったということが起きてしまいます。特に真面目に宿題などをこなす子は机に向かっている時間が長いため、親は意外と基礎ができていないことを見逃しがちです。プロ家庭教師であればキチンと子どもの状態を把握してくれるのですが、集団塾はケアしてくれないことがよくあります。子どもが理解できていないところを把握して、基礎ができていなければ迷わずに基礎に立ち戻り、しっかり基礎を完成させてあげましょう。元来がまじめな子であれば、基礎力さえつければ成績は自ずと向上するでしょう。
勉強の仕方が間違っている子の主な特徴としては「やった感」のある勉強法をとっていることにあります。「間違えた所を赤ペンで訂正する」「書き取りに時間をかける」この2つを行っている場合は机に向かう時間は多いため親子ともに「やった感」が満たされます。しかし実際は子どもの学力向上にあまり役に立ちません。問題を解いて、間違えた部分は赤ペンで訂正するという勉強を繰り返していても単元の理解力は深まりません。間違えた部分は「何が間違っていたのか」を理解し、類題を解いてみて身に付ける方法をとるようにしましょう。
書き取りに時間をかけている場合も、それがすぐに理解には繋がりません。同様のケースとして「まとめノートの作成」もあります。どちらも作業時間は多いのですが、理解・納得に繋がりにくいため効果的とは言えません。
家庭教師や塾を活用し、問題をちゃんと解き、間違えた場所はなぜ間違っているのかを理解して、各単元の理解を深めるようにしましょう。
塾を変えようか迷っている

「塾に通っていても成績が上がらない」という際には転塾を考える方もいらっしゃいます。集団授業の学習塾は多くの子どもが在籍しているため、残念ながら塾は子どもひとりひとりに密接に関わることはできません。そのため保護者がしっかりと子どもを管理することが必要になるため、それができていない場合には転塾しても成績が向上しないでしょう。長く在籍しているのに塾で成績が向上しないと感じていたら、勉強法を見直したり、家庭での学習をちゃんと見てあげたりする方が良いでしょう。つまずいている部分をそのままにしているケースもあるので、その場合には家庭教師を使って基礎の再構築をするという考えもあります。
子どもと講師の相性が良くない。塾の担当者が不親切である。塾内での人間関係が良くない。こういった状態が認められる場合に限っては転塾をした方が良いでしょう。講師との相性はとても重要であり、担当者が信頼できなければ子どもを預けるべきではありません。塾内の人間関係が良くない場合には子どもの精神に無用な負荷がかかるので、精神衛生上良くないので転塾した方が良いでしょう。
家庭教師が合っていない気がする

子どもと家庭教師の相性は非常に重要です。子どもと合っていない講師に続けられても成績の伸びは鈍いでしょう。しっかりとした本部を持つ家庭教師であれば講師の変更にはキチンと応じてくれます。相性が悪いかなと感じたら、早めに本部に連絡をとりましょう。
少し厄介なのがフリーランスのプロ家庭教師です。実績はあるため信頼はできますが、本部を持たないため講師の交代がききません。非常に優秀なプロ講師でも子どもとの相性ばかりは如何ともしがたいので、交代してもらうしかありません。その際には契約打ち切り扱いとなるため、事前の契約で違約金が出てしまうケースがあるかもしれません。フリーランス家庭教師との契約時には、違約金の発生や講師交代ができないというリスクなど、しっかり契約内容を確認しておきましょう。
塾と学校の両立が難しい

中学受験のための勉強に時間をとられ、学校の宿題もやらなければならない。そうすると時間が全然足りないなんていうことを感じる方も多くおられます。小学校の行事や宿題を蔑ろにする保護者が稀にいますが、そういった方はたいてい受験も失敗しています。どちらもしっかり両立できるように子どもをマネージメントしてあげましょう。
無理に勉強や習い事を詰め込んで子どものキャパシティーオーバーに追い込んでいないか確認しましょう。意外と見逃しがちなのが移動時間です。学校から家まで、家から塾までといった移動時間が浪費されているケースがあります。併塾している場合は特にその傾向が出てしまいがちです。東京都心の交通網は発達していますが、電車が混みあうことも多く、それによって子どもの疲労が溜まりがちです。移動時間を気にしなくて済む家庭教師を活用するなど、有限である時間を有効活用できるよう、タイムマネジメントをしっかり行いましょう。
第一志望校が決まらない

中学受験の第一志望を決めるというのは、とても難しい作業です。「偏差値が本来希望していた学校に届いていない」という問題に直面したときに、改めて第一志望を決め直す必要があります。学費などの関係で必ず公立の中高一貫校を目指されている場合には、無理に合格圏ギリギリの学校を狙うことはせずに、安全圏の学校に照準を絞ると良いでしょう。公立中高一貫校での濃密な6年間の成長は、多少の偏差値の変動では代えがたい経験となります。
私立学校に行きたいと考えている場合には、公立同様に偏差値を基本として考えますが、校風や通学時間、女の子の場合には制服も見ながら一緒に考えてあげると良いでしょう(女の子は制服の可愛さでモチベーションが上がることもあります)。子どもは受験直前のラストスパートで急成長することもあるので、予算と子どものやる気さえあれば、第一志望より難しい「チャレンジ校」を受験するのも良いでしょう。ただし、中学受験は大学受験とは異なり試験日が重なることがよくあります。東京都の場合は例年、2月の頭に受験日が集中するので注意しましょう。
第一志望校は親の一存で決めるのではなく、「子どもと一緒に決定した」ということが重要です。自分で決めた学校に受かるために頑張るというモチベーションが生まれます。
併願校が決まらない

万が一にも第一志望に叶わなかった場合のことも考えて併願校を検討する必要が出てきます。現状の偏差値から5ポイント以下の学校は安全圏と言えます。校風や通学時間を踏まえて、最低一つは安全圏の学校を併願校に入れると良いでしょう。あまりに偏差値が下の学校を視野に入れると子どものやる気が落ちるケースもあるため、あまり多くの学校を選ばずに、現状の偏差値よりも高いチャレンジ校、現状の偏差値に近い適正校、現状偏差値より5ポイント以下程度の安全校の3校くらいに絞ると良いでしょう。
前述の通り、中学受験の場合は受験日が被ることが多いです。東京の場合は1月に受験できるところもあるので、まずは練習も兼ねて受験し、2月の頭に第一志望を受験。可能であればその近隣で滑り止めとして安全圏の学校をうけるのが良いでしょう。
2次募集をかける学校もあるので、万が一のことを考え、それぞれの2次募集以降のスケジュールも確認しておいた方が良いでしょう。
いつから準備をすれば良いのか分からない

中学受験で多いのは小学3年生の3月、つまり小学4年生になる直前に家庭教師を雇ったり入塾試験を受けたりすることが多いです。それ以前から先取りして準備を進める方もいらっしゃいますが、多くの場合は4年生からのスタートで間に合います。それ以前の準備に関しては体力づくりや親子で様々な体験をすることなど、子どもの充実した時間づくりに充てた方が良いでしょう。
パートナーが受験に非協力的

中学受験に対してパートナーが非協力的だという話をよく聞きます。特にパートナーが中学受験を経験していない場合に顕著です。一番近しい存在であるパートナーが協力的でないのは本当に辛いですよね。教育に関する価値観の違いなどで軋轢が生まれてしまう事もありますが、それで家庭環境が悪くなると子どもの精神面に悪影響を与えてしまいます。
価値観がズレたまま受験を行うと、やがてお互いの嫌な部分などが際立ち、教育と関係ない部分でも対立が生まれてきてしまいます。受験を決める際には必ずお互いの意見を交換し、なぜ受験させるのか、子どもの意志はどうなのか、受験を終えた子どもにどう成長して欲しいのかといったことをしっかり話し合いましょう。そして、全面協力まではいかなくとも、受験に対して反対するような行動は慎んでもらうようにしましょう。これでお互いのストレスはかなり軽減されるはずです。
受験は反対派からすれば面倒な物です。しかし、その面倒を乗り越えた先に、子どものより良い未来があるはずです。受験がもたらす未来をパートナーに示して納得してもらうのが良いでしょう。
中学受験で子どもはもちろん、親もストレスが溜まります。それと同様にパートナーもストレスが溜まっているはずです。厳しい中学受験の中では相手を思いやるのは難しいこともありますが、良い家庭環境が子どもの良い未来を創り出します。中学受験をする一番の目的は、子どもが将来幸せになることのはずです。子どもを幸せにするための試練である中学受験。それが家庭を不和に陥らせるものにならないように、パートナーとしっかり話し合い、共に中学受験を乗り越えましょう。