• 2024年3月29日
  • 2024年5月24日

豊島岡女子学園中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

豊島岡女子学園中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

豊島岡女子学園中学校は東池袋にあり、高い偏差値で知られる人気の難関校です。御三家を受ける子供たちの併願校としても人気があります。この記事では、豊島岡女子学園中学校を目指す家庭に向けて、出題傾向や勉強法を紹介します。

そもそも豊島岡女子学園中学校ってどんな学校?

そもそも豊島岡女子学園中学校ってどんな学校?

豊島岡女子学園中学校は、旧加賀藩士夫人河村ツネとその娘たちによって開校された、女子裁縫専門学校を前身としています。そのため、授業五分前に「運針」の時間を設けているのが特徴です。

教育方針として、「道義実践・勤勉努力・一能専念」を掲げ、道義や優しさ、思いやりなどを教えています。品位ある女性の育成のため、和室・洋室で礼法・マナーを指導していて、創立以来の教育の精神を受け継いでいるのです。

大学受験だけを目指すカリキュラムではなく、すべての教科を満遍なく学んでいきます。その中でも英語には特に力を入れていて、英会話の少人数授業を行い、英単語などの基礎学力を定着化させるために月例テストを実施しています。

また、グローバル教育に注力していて、希望者はニュージーランド(ハミルトン)、カナダ(レッドディア)、イギリス(ストラウド)の海外研修に参加できます。現地の家庭にホームステイし、現地校のキャンパスを借りて、ネイティブの先生や年齢の近い現地の生徒たちと一緒に授業を受けます。

他にも、さまざまなディスカッションやプロジェクトに取り組む「Global Studies Program」や、Science、Mathを通して英語を学ぶ「STEAM英語」、外国人教員によるオールイングリッシュの少人数授業「English Academics」、昼休みにネイティブの先生と話す「English Language Table」など学べる環境が用意されています。さらに、世界の抱える諸問題を議論する「模擬国連」、海外への進学を検討する家庭への説明会である「海外大学進学セミナー」なども実施しています。

その卓越したカリキュラムから難関大学への進学実績は高く、2023年度は豊島岡女子学園高等学校から東京大学に30人(内現役20人)が合格しています。

豊島岡女子学園中学校の入試概要

豊島岡女子学園中学校の入試概要

豊島岡女子学園中学校の入試について見ていきましょう。

2024年度の入試

2024年度の入試は2月2日の第一回が160名の募集、2月3日の第二回と2月4日の第三回が各40名の募集でした。試験科目は国語、算数、社会、理科で、入学選抜料は一回あたり25,000円です。合格発表と入学手続きはいずれも試験当日の19時から翌日12時までの間、インターネット上で行われました。ちなみに、筆記試験のみで面接はありません。

2024年度の入試倍率

豊島岡女子学園中学校の入試倍率は一回目が受験者904人に対し、合格者389人、実倍率は約2.3倍。二回目は受験者456人に対し合格者68人、実倍率は約6.7倍。三回目は受験者467人に対し合格者74人、実倍率は約6.3倍でした。なお、これらの倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。

2023年度の入試統計

一回目二回目三回目
受験者904名456名467名
合格者389名68名74名
実質倍率約2.3倍約6.7倍約6.3倍

豊島岡女子学園中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

豊島岡女子学園中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

豊島岡女子学園中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は説明文と物語文の読解

国語の試験時間は50分で配点は100点、大問はふたつです。漢字の書き取りと知識問題が少し出る以外はすべて読解文であるため、読解が苦手で知識問題で点を稼ぎたい人にとっては解きづらい問題となります。文章の字数は7000字から8000字程度です。

説明文と物語文というふたつの読解文が出題されますが、説明文のほうが難しい傾向にあります。哲学的な話あるいは科学的な話など、テーマ自体の馴染みのなさに戸惑う子供も多いでしょう。語彙力次第ですが、難しい専門用語を文脈のみで推測しなければならないときもあります。出題形式としては選択問題が中心ですが、抜き出しや説明記述も出るので、記述が不得意な場合は対策が必要です。

物語文は説明文に比べれば比較的読みやすい文章が多いです。なお、物語文でも説明記述と抜き出しがよく出題されます。

算数は立体図形の問題が締め

算数の試験時間は50分で配点は100点、大問は六つです。大問一、二は小問集合で、最後は立体図形の問題で締められます。頻出単元は平面図形立体図形場合の数などです。解くのに時間のかかる問題も多いため、残り時間を常に意識して解かなければなりません。なお、立体図形では切断の問題がよく出ます。

2024年度の算数は第一回の合格者平均点が54.70点と低く、第二回は70.9点、第三回は76.18点なので、そのときによって難易度は異なります。

理科の記述問題は出ない

理科の試験時間は社会と合わせて50分で配点は50点、大問は四つです。理科は各分野から出題されます。記述問題や用語を問う問題はありません。計算問題や知識問題などの問題がバランスよく出題されます。難易度は高く、物理分野や化学分野は特に難しいです。しかし、2024年度の合格者平均点は八割以上(50点中40点台)あるので、高い得点をとらなければなりません。

社会は選択問題が大半

社会の試験時間は理科と合わせて50分で配点は50点、大問は三つです。社会は各分野から出題されます。大問によって分野は大まかに分かれていますが、横断的な出題の総合問題も多いです。問題のほとんどが選択問題によって構成されます。正解の選択肢を見極めるのが難しいので、細かな情報までしっかりと勉強しておく必要があります。ただし、全体的な難易度はそんなに高くありません

ポイント
  • 四科目とも難易度が高く問題数が多いため、正確性とスピードが必要となる
  • 各科目とも出題傾向は読みやすい

豊島岡女子学園中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

豊島岡女子学園中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

豊島岡女子学園中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

総合知識問題は少なめ

漢字や知識の問題も出るには出ますが、数は多くありません。基本的には読解問題が中心になります。漢字や知識の問題は、漢字の読み書き、接続詞の使い方や同じ読み方で違う漢字などさまざまな基礎知識を固めておいてください。

説明記述の字数はそんなに多くない

物語文と説明文の両方で出題される説明記述ですが、指定字数は多くありません。年度によって違いはありますが、50~100字ぐらいです。そのため、要点を短くまとめる練習をしておくとよいです。

語彙力アップと並行して文脈で判断する力を

難しい言葉に注釈がある場合もあればない場合もあります。ない場合、文脈で判断しなければなりません。日頃から問題を解く際、わからない言葉が出てきたら調べる前に一度、前後の文章を読み込んで意味を推測してみてください。その上で意味を調べて頭に入れていきましょう。

豊島岡女子学園中学校の国語対策
  • 要点を短くまとめる記述練習を早い段階からしておく
  • わからない言葉は調べる前に前後から推測する習慣を付ける

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

平面図形・立体図形・場合の数、速さなど頻出単元を掘り下げて

算数の頻出単元は平面図形、立体図形、場合の数、速さなどです。過去問をやって頻出単元の出題傾向を把握しておきましょう。

豊島岡女子学園中学校といえば立体の切断

立体の切断を扱う問題は、非常によく出るので解けるようにしておく必要があります。定番のパターンを頭に入れるところから始めましょう。立体の断面図を想像するのは大変ですが、パターンをいくつか覚えると、応用的に想像できるようになります。

立体の切断以外の立体図形も数多く出題

豊島岡女子学園中学校は立体図形が頻出で、立体の切断以外にもさまざまなバリエーションの問題が出ています。立体図形の問題は解くのに時間がかかりがちです。ただ理解するだけではなく手を素早く動かせるようにならなければなりません。問題集をやり込む際も一問あたりに割ける時間を考えて解くのがよいです。

年度にもよりますし、他の問題を解く速度にもよりますが、最後に出題される難易度の高い立体図形の大問でさえ、10分~15分ぐらいですべての小問を解ききらなければなりません。問題集をやるときもそのぐらいの速度を意識して取り組みましょう。なお、立体の切断を好んで出す難関校はたくさんあるため、他の学校の過去問にも挑戦してみるとよいです。

大問三までをパーフェクトに仕上げる

豊島岡女子学園中学校の算数は難易度順とも言いきれないところがあるのですが、だいたい大問三までは解きやすい問題が出ます。ここで失点すると合格が遠のくので、確実に解けるようにしましょう

大問四以降は難易度が上がりますが、中学受験の問題集で応用問題をきっちりやり込んできた子供であれば、ある程度解けるはずです。ひと捻りした問題ですが、これまで学んできた内容を冷静に組み合わせられれば解けます。

豊島岡女子学園中学校の算数対策
  • 立体図形を中心にやり込む
  • 問題集の応用問題には時間を意識して取り組む習慣を付ける

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

生物・地学分野で点を落とさない

生物・地学からの出題は知識を問う問題の割合が高く、確実に得点できます。中学受験のテキストの解説ページを読み込み、細かな情報まで頭に入れておいてください。近年は、植物・人体・動物・昆虫、地層、月、地球などが出ています。頻出単元を改めて確認しておきましょう。

物理・化学分野は計算問題を完璧に

物理・化学分野では、力のつり合いをはじめ計算問題が多いです。たとえば、浮力の計算では、ただ単純に浮力を求めるのではなく油水分離槽を使うなど、思考力を問われる問題が出されてきました。こうした問題は問題集に載っていなくても、それぞれの性質を正しく理解していれば、頭で考えることができます。解いたことのない問題が出ても動揺せず、これまで培ってきた知識を生かしてどう解けるのかを考えるようにしましょう。過去問をやって、これまでどういう問題が実際に出されてきたのかを学んでください

理科と社会の時間配分に気をつけて

理科と社会の両方で50分と決められているので、理科に時間をとられ過ぎると、社会にも影響が出ます。どのタイミングで科目を切り替えるかをあらかじめ決めておくとよいです。そのためにも、過去問をなるべくたくさん解いて、時間配分のイメージトレーニングをしておきましょう

豊島岡女子学園中学校の理科対策
  • 中学受験テキストの解説ページを読み込んで細かな情報まで頭に入れておく
  • 過去問で社会と合算の制限時間に慣れておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

テーマ別の出題

社会は、ひとつのテーマに関連づけての出題です。中学受験のテキストの範疇からの出題ですが、だからといって言葉だけを覚えていて解ける問題ではありません。社会で用語を覚える際にはただ暗記するのではなく、その背景や他の事柄との関連性とともに覚えるようにしてください。

ほとんどが選択問題。問われている内容に注意

社会の入試問題は、そのほとんどが選択問題によって構成されています。選ぶべき選択肢が「誤っているもの」か「適切なもの」なのかを必ず確認してください。解く際にはその都度、設問に下線を引いておくとよいです。

用語を書く際には漢字のものは漢字で

社会の用語を問う問題では、「漢字で答えを書け」と指定されているものもあります。用語を覚える際に、正確に書けるようにしましょう。国語ではないからといって「とめ」「はね」「はらい」を疎かにしないようにしてください

20字以内の記述が出題

説明記述が20字以内といった文字数指定ありで出題されます。20字という短さの中で言いたいことを手短にまとめる練習をしておきましょう

豊島岡女子学園中学校の社会対策
  • 言葉の丸暗記ではなく背景、事柄との関連性で覚えるようにする
  • 国語と併せて短い文章で要点をまとめる練習をする

難易度の高い問題でも時間内に解く力を

難易度の高い問題でも時間内に解く力を

各科目の対策ですが、国語は説明文が難しめなので読み慣れておいてください。算数は立体図形を中心に頻出単元がはっきりしているので、集中的な対策が必要です。特に立体図形が苦手な自覚がある子供は、六年生の夏休みまでの早いうちに標準的な問題は解けるようにしておいてください。立体の切断は特に重点的に対策するようにしましょう。

理科は物理・化学分野の計算問題で失点しやすいです。生物・地学分野は知識問題の比率が高いので一点でも多くとれるよう、テキストの隅々まで知識を頭に入れましょう。社会はほとんどが選択問題です。選択肢の中から見つけるべきなのが、「誤っているもの」か「適切なもの」なのかをきちんと見極めましょう。

四科目とも難易度が高く、問題数が多いです。正確性スピードの両方が必要となります。奇抜な問題が少ないため、中学受験の問題集をやり込むことが合格への一番の近道です。

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