理科は、暗記しなければならないポイントがたくさんある科目です。そのため、子供たちが苦戦する単元もまたたくさんあります。
「セキツイ動物と無セキツイ動物」もそのうちのひとつです。この記事では、セキツイ動物と無セキツイ動物の特徴や分類について紹介します。
セキツイ動物と無セキツイ動物の違いとは
セキツイとは「脊椎」のことで、頭蓋骨の下から尾骨までを指します。つまり、セキツイとは背骨の意です。
動物を大きく分類すると、背骨のある「セキツイ動物」と背骨のない「無セキツイ動物」に分けられます。
セキツイ動物は5種類に分類
セキツイ動物の分類は以下のとおりです。
- ほ乳類…人間・ネコ・イヌ・ブタ・イルカなど
- 鳥類…ツバメ・ペンギン・ダチョウなど
- は虫類…トカゲ・ヤモリ・カメ・ワニなど
- 両生類…サンショウウオ・カエル・イモリなど
- 魚類…サンマ・メダカ・マグロなど
無セキツイ動物はセキツイ動物以外
無セキツイ動物は、セキツイ動物以外が該当します。具体的には以下のとおりです。
- 節足動物
昆虫類…バッタ・カブトムシ・チョウなど
クモ類…クモ・サソリ・ダニなど
多足類…ムカデ・ヤスデなど
甲殻類…ザリガニ・カニ・エビなど - 軟体動物
タコ・イカ・ナメクジ・マイマイ(カタツムリ)・アサリなど - その他
ミミズ・クラゲ・ヒトデ・ウニなど
セキツイ動物に分類される5種類を見ていこう
セキツイ動物に分類される5種類は以下のとおりです。
人間も含まれる。ほ乳類ってどんな分類?
ほ乳類はその名称のとおり、乳で子供を育てる生き物です。オスとメスが交配することで子孫を残します。卵から生まれるのではなく、母の胎内で栄養を受けて、ある程度成長してから生まれる「胎生」です。
鳥類は恐竜の子孫。飛翔力を有さないものも
多くは飛翔力を有しますが、ペンギンやダチョウのようにそうではないものもいます。鳥類は体温が気温の影響を受けない恒温動物で、卵生です。鳥類は、絶滅期を生き残った恐竜の子孫だと考えられています。
は虫類は地面を這って暮らす生き物
は虫類の「は」は漢字で書くと「爬」です。これは「地を這う」という意味を持つ漢字で、は虫類はその字のとおり地面を這って暮らしています。たまに「虫」という漢字から昆虫を想像する子供もいますが、昆虫ではありません。では、なぜ虫という漢字が入っているのでしょうか。それは虫という漢字は、実は蛇の見た目に由来しているからです。つまり、は虫類は、地を這う蛇に類するものを意味します。
カエルだけじゃない、両生類の生き物。もともとは両棲類?
もともとの欧名の訳は「両棲類」でしたが、「棲」の字が常用漢字ではなかったため、「両生類」となりました。「両方に棲む」、つまり、水と陸のどちらにも暮らす生き物というのが本来意味するところです。現生のものは、「有尾目(サンショウウオなど)」「無尾目(カエル類)」「無足目(アシナガイモリ類)」の3群のみ。そのため、サンショウウオ・カエル・イモリが両生類と覚えておけば間違えないでしょう。
水の中で一生を暮らす魚類
魚類は水中で暮らす生き物です。エラ呼吸をし、ひれを持ち、体はウロコで覆われています。一般的に「魚」と呼ばれる生き物です。セキツイ動物の半数以上を占める、多くの種数を誇っています。
セキツイ動物5種類を比較して特徴をつかもう
セキツイ動物5種類を比較した際に注目すべき特徴は以下のとおりです。
セキツイ動物の出産の仕方。胎生と卵生
セキツイ動物で、子供がおなかの中である程度育ってから生まれてくる「胎生」なのは、ほ乳類のみです。それ以外のセキツイ動物は全て卵で生まれてくる「卵生」です。なお、「卵生」とひと口に言っても、大きく二種類分かれます。殻のある卵と殻のない卵です。
以下のとおり覚えてください。
殻のある卵……鳥類・は虫類
殻のない卵……両生類・魚類
セキツイ動物の呼吸の仕方。肺呼吸とエラ呼吸
セキツイ動物の呼吸の仕方は、人間と同様に肺で呼吸する肺呼吸と、エラで呼吸するエラ呼吸に分かれます。分類は以下のとおりです。
肺呼吸……ほ乳類・鳥類・は虫類・両生類(成長後)
エラ呼吸……魚類・両生類(幼生)
注目したいのは両生類です。幼生のときはエラ呼吸で、成長後に肺呼吸になります。カエルで考えるとわかりやすいでしょう。おたまじゃくしのときはエラ呼吸ですが、カエルになってからは肺呼吸です。
セキツイ動物の体温調整。恒温動物と変温動物
人間の平熱は、季節によって大きく上下することはありません。それは人間が恒温動物だからです。しかし、生き物の中には気温の影響で、体温が変化するものたちがいます。そうした生き物を変温動物といいます。
具体的な分類は以下のとおりです。
恒温動物……ほ乳類・鳥類
変温動物……は虫類・両生類・魚類
セキツイ動物は毛のある生き物とそうでない生き物に分かれる
人間をはじめとするほ乳類には毛があります。同様に、体がふさふさした毛でおおわれている生き物というと、鳥もそうです。しかし、それ以外の生き物は違います。以下のとおり覚えましょう。
毛が生えている……ほ乳類・鳥類
毛が生えていない……は虫類と魚類(ウロコ)、両生類(粘液で湿った皮膚)
セキツイ動物の中で間違えやすいポイントはどこ?
セキツイ動物の中で間違えやすいポイントは以下のとおりです。
は虫類と両生類の違いに注意。ヤモリはは虫類・イモリは両生類
もともと、は虫類は両生類から進化しました。は虫類と両生類の分類を考えるにあたって、迷いやすいのがカメやワニです。水辺で暮らすイメージが強いため、「両生類だったかな」と勘違いする子供が多くいます。カメもワニもは虫類です。
両生類は幼生のうちは、水中で生活しています。ほぼすべての種が淡水で生きていて、産卵の場も水中。カメやワニはそこまで水に依存していないため、は虫類に分類されます。
なお、は虫類と両生類で「どっちがどっちだっけ?」と迷いやすいものにヤモリとイモリも挙げられます。ヤモリは家を守る「家守」、イモリは井戸を守る「井守」だと覚えてください。家は陸なのでヤモリはは虫類。井戸は水なのでイモリは両生類です。
クジラやイルカは魚類ではなくほ乳類。ウナギは魚類
クジラやイルカは、よく魚類と間違えられます。海の中に暮らしているので一見魚のようですが、ほ乳類です。出産後はしばらくの間、子供を乳で育てます。
ちなみに、実は「クジラ」という分類も「イルカ」という分類も厳密にはありません。イルカはクジラ類ハクジラ亜目に属する種の中で、比較的小さいものがそう呼ばれがちというだけです。
ウナギはその形状から「魚類?」と疑問に思う子供が少なくありませんが、魚類に該当する生き物です。
コウモリは空を飛ぶから鳥類? 正解はほ乳類
コウモリは空を飛びますが、鳥類ではありません。卵生ではなく胎生で、多くのコウモリはさかさまの姿勢のまま出産します。子供が落ちないよう、出産後、上手に支える様子は見事です。人間と同様、へその緒で子供とつながっていて、生まれたばかりの赤ちゃんは母乳を飲んで育ちます。
カモノハシとハリモグラは卵を産むほ乳類
セキツイ動物の分類の中には、例外的な生き物も含まれます。たとえば、カモノハシとハリモグラは卵を産みますが、乳を与えて子供を育てるためほ乳類です。乳は皮膚にしみ出てきます。
卵生が基本なのに! 実は多い胎生魚類
魚類は卵生が基本ですが、実は胎生の魚類もいっぱいいます。有名でよく知られている魚としては、サメ・エイ・グッピー・メバル類。ほかにも、ウミタナゴやオキタナゴなどが該当します。ほ乳類と間違えないよう注意しましょう。
無セキツイ動物について詳しく見ていこう
無セキツイ動物については以下のとおりです。
節足動物の特徴や種類って?
節足動物は、関節や外骨格を持つ無セキツイ動物のグループです。具体的には昆虫類・クモ類・多足類・甲殻類などが挙げられます。それぞれ見ていきましょう。
体のつくりに注目。昆虫類の特徴とは
昆虫類の特徴は、頭部・胸部・腹部の3つに体が分かれる点です。胸には6本の脚と4枚の羽根があり、触覚を持ちます。気温に体温が影響される変温動物です。
虫だけど昆虫じゃない? クモ類の特徴とは
クモを昆虫だと勘違いしている人は多いです。しかし、クモの脚の数は8本で、昆虫類の6本より2本も多くあります。また、体のつくりも、頭部と胸部と腹部からなるのではなく、頭胸部と腹部です。クモだけではなく、ダニやサソリもクモ類に含まれます。
長い胴とたくさんの足。多足類の特徴とは
多足類には、ムカデやヤスデなどが挙げられます。どれも胴が長く、頭部と胴部の2つに分かれる体のつくりです。その名のとおりたくさんの足があり、陸上で生活しています。
アレルギーで知られる甲殻類。エビ・カニ以外にはフジツボやダンゴムシも
甲殻類は主に水環境で暮らしていて、よく知られているのはエビ・カニ・ザリガニ。ほかには、オキアミ、フジツボ、ミジンコも甲殻類です。陸上に適応した生き物としてはダンゴムシやワラジムシが挙げられます。
軟体動物の特徴や種類って?
軟体動物は、海にも陸にも暮らしています。主には海で、アサリなどの貝類や、イカ、タコ、ウミウシ、クリオネなどがいます。淡水に暮らしているものとしては、タニシ・カワニナ・シジミ・カラグガイ。陸上にはマイマイ(カタツムリ)やナメクジがいます。
節足動物や軟体動物以外の無セキツイ動物は?
節足動物と軟体動物だけが無セキツイ動物ではありません。そのほかとしては、ミミズ・ゴカイ・ヒル・クラゲ・ヒトデ・ウニ・ミドリムシ・アメーバなどが一例として挙げられます。中学受験対策に覚えておきましょう。
無セキツイ動物で間違えやすいポイントはどこ?
無セキツイ動物で間違えやすいポイントは以下のとおりです。
イカは「背骨」があるから魚類じゃないの? 軟体動物なのはなぜか
イカをさばくと、中から骨のような透明がかった固いものが出てきます。料理のレシピなどではよく「中骨」として紹介されている部分です。
そのため、「あれが背骨ではないの? 背骨があるなら、セキツイ動物でしょ。魚類なんじゃないの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
実はあの骨のようなものは軟甲といい、イカが昔、貝のような姿をしていた頃の名残りなのです。イカは背骨を持たない軟体動物であり、魚類には該当しません。
ダンゴムシ・ワラジムシは多足類じゃない。陸にいるけど甲殻類
ダンゴムシ・ワラジムシは7対計14本の脚を持ちます。そのため、多足類と誤答してしまう子供は多いです。陸に暮らす甲殻類であることを覚えておきましょう。
理科は暗記も大切。セキツイ動物・無セキツイ動物を語呂合わせで
セキツイ動物・無セキツイ動物は複雑で、まるまる覚えるのは大変です。ここは語呂合わせで対策をしましょう。
セキツイ動物5種類の語呂合わせでの覚え方
「飼っていた魚と鳥は、両方無事でホッ」
飼っていた魚(魚類)と鳥(鳥類)は(は虫類)、両(両生類)方無事でホッ(ほ乳類)
無セキツイ動物の語呂合わせでの覚え方
無セキツイ動物の語呂合わせは、それぞれ以下のとおりです。
無セキツイ動物の分類の覚え方
「さっそく他の質問か、なんだい?」
さっそく(節足動物)他(その他)の質問か、なんだい(軟体動物)?
無セキツイ動物の節足動物について語呂合わせでの覚え方
「タコ食うと、さっそく効果あり。咳が出ないよ」
タ(多足類)コ(昆虫類)食(クモ類)うと、さっそく(節足動物)効果(甲殻類)あり。咳が出ないよ(無セキツイ動物)
※「節足」の読み自体は「さっそく」ではなく「せっそく」なので注意。
中学受験対策にも。セキツイ動物と無セキツイ動物を楽しんで学ぼう
生き物の秘密に迫るのは楽しいものです。出産の仕方、呼吸の仕方、体温、毛が生えているかどうかなど、われわれ人間との違いを学んでいきましょう。その上で、覚えきれないところはぜひ記事内の語呂合わせで、頭に入れてください。
中学受験に挑む家庭は、分類において例外扱いになる生き物にも注目してください。ミスしやすいところですから、失点しないよう押さえておきましょう。
理科は暗記の多い科目です。いかに覚えるポイントを絞り、優先順位をつけるかが問われます。ときには「自力では難しい」と行き詰まってしまうこともあるでしょう。そうした場合、家庭教師をおすすめします。集団授業塾とは異なり、その子供に最適化したカリキュラムを用意することが可能です。