明治大学付属八王子中学校は、その名のとおり明治大学の付属校として人気を集める共学校です。2024年度に、「明治大学付属中野八王子中学校」から「中野」を除いた現校名へと改名しました。この記事では明治大学付属八王子中学校を目指す家庭に向けて出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも明治大学付属八王子中学校ってどんな学校?
明治大学付属八王子中学校は東京都八王子市にある共学校です。建学の精神は『質実剛毅』『協同自治』。六年間をかけて、生徒ひとりひとりが自分の好きなものを見つけられるよう、学校として教育を通して後押ししています。
明治大学の付属校ということで、明治大学への進学を見据えて子供を入学させる家庭がほとんどです。実際、2023年度は卒業生313人のうち、279人が明治大学に進学しています。もちろん、他大学に進学する生徒もいます。
なお、明治大学付属八王子中学校には国公立大学併願制度があります。明治大学への推薦入学資格を獲得した上で、全国の国公立大学および省庁所管の七つの大学校(防衛大学校・防衛医科大学校・気象大学校・水産大学校・海上保安大学校・職業能力開発総合大学校・国立看護大学校)を一般で受験できる制度です。
この制度を活用する生徒も毎年一定数いて、2023年度は国立看護大学、筑波大学、東京外国語大学・東京農工大学などに合格しました。
希望する進路に進めるよう、各学年のカリキュラムも充実しています。自学自習の定着化にも注力していて、自己管理の方法を教えています。学習習慣を身につけ、具体的な学習方法を学び、学力を積み上げられるよう生徒をサポートしているのです。
勉強だけではなく、クラブ活動も充実していて運動部・文化部ともに種類が豊富です。運動部は中学生と高校生がバラバラの部活もあれば、一緒に活動する部活もあります。文化部や生徒会活動は、中学生と高校生が力を合わせて活動する形態です。なお、クラブ活動には生徒の七割以上が参加しています。
明治大学付属八王子中学校の入試って?
明治大学付属八王子中学校の入試について見ていきましょう。
2025年度の入試
2025年度のA方式入試は、第一回が2月1日で募集人数が男女100名、第二回が2月3日で男女40名の募集です。出願期間は第一回が1月10日9時から1月31日12時まで、第二回が1月10日9時から2月2日12時までとなっています。受験料は30,000円です。B方式入試は2月5日で男女約20名募集、出願期間は1月10日9時から2月4日12時までとなっています。受験料は20,000円です。どちらの試験も面接はありません。A方式は四科目で、B方式は四科目の総合問題(120点60分)に挑みます。
2024年度の入試倍率
A方式では男子受験者数240名、合格者数76名、実質倍率3.2倍、女子受験者数209名、合格者数68名、実質倍率3.1倍。A方式第二回では男子受験者数197名、合格者数31名、実質倍率6.4倍。女子受験者数170名、合格者数26名、実質倍率6.5倍でした。B方式では、男子受験者数128名、合格者数15名、実質倍率8.5倍、女子受験者数111名、合格者数17名、実質倍率6.5倍となっています。
男子の2024年度入試倍率
受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|
A方式(第一回) | 240人 | 76人 | 約3.2倍 |
A方式(第二回) | 197人 | 31人 | 約6.4倍 |
B方式 | 128人 | 15人 | 約8.5倍 |
女子の2024年度入試倍率
受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|
A方式(第一回) | 209人 | 68人 | 約3.1倍 |
A方式(第二回) | 170人 | 26人 | 約6.5倍 |
B方式 | 111人 | 17人 | 約6.5倍 |
明治大学付属八王子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
明治大学付属八王子中学校のA方式における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。
国語は抜き出し以外の記述問題が出ない
国語の試験時間は50分で配点が100点、大問二つの構成です。大問ひとつにつきそれぞれ15問出題され、計30問で構成されています。読解文として出題されるのは物語文と論説文です。大問一・二、それぞれの最後に漢字が出題されています。
難易度としては論説文のほうがやや難しいことが多く、物語文は標準的です。字数は一万二千字ほど出る年度もあり、中学受験の国語の中でもかなりのボリュームだといえます。ただし、抜き出し以外の記述問題が出題されない分、解く時間の確保はしやすいでしょう。
算数は小問集合が多い
算数の試験時間は50分で配点が100点、大問は五問程度です。大問一は計算、大問二、三は小問集合の構成になっています。単元別の出題は大問四、五です。過去二年間の出題傾向では第一回を受験する場合、大問四が速さ、大問五が立体図形となっています。2022年度は違うため、2025年度がどうなるかはわかりません。
小問集合はやや難しい問題も混ざっていますが、基本レベルが多いです。とにかく、大半が小問なので、計算と小問集合でどれだけ確実な点がとれるかが問われる構成となっています。
理科は網羅的な出題
理科の試験時間は30分で配点が50点、大問は年度によって異なります。大問数が多くなればなるほど、各単元からの出題範囲の幅も広がるので注意です。難易度としては標準的な問題が多いですが、歯ごたえのある問題も混在しています。実験や観察など問題にグラフや図表が組み込まれている内容が多いです。計算問題、選択問題などがメインとなって出題されています。
社会は時事と絡めた問題も
社会は試験時間が30分で配点が50点です。大問は三つで各分野からの出題となります。選択問題や用語を答える問題が多いですが、短い説明記述も出題されています。会話文形式の出題も多く、設問の文章量はそれなりにあるので気をつけましょう。
基本的な知識を問われる問題が多いですが、時事と絡めての出題も目立ちます。公民の分野では、政党の議席数を得票数から求める問題も出題されました。このように日頃テキストで解かないタイプの問題が出ることもあります。
- 国語は字数が多くボリュームがあるが抜き出し問題以外の記述問題はなく、数学はやや難しい問題が出るがほとんどが基本レベル
- 理科は出題範囲が広く計算問題、選択問題がメインで出て、社会は日頃テキストで解かないタイプの問題が出ることもある
明治大学付属八王子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
明治大学付属八王子中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
速読に慣れよう
国語の文章量が多い学校なので、速読に慣れる必要があります。文章を読み飛ばさずに済むよう練習しましょう。
読書が苦手でどうしたらよいかわからない子供は、音読から始めてみてください。よどみなく読めるようになってから黙読、速読、とレベルアップしていきます。段階を踏まないと、読みながら内容を追う技術がなかなか身につきません。
一万字近い学校(麻布など)の過去問を使って実力を試してみるのもよいです。一分間で700字前後を読めるようになりましょう。
論説文の構成を把握できるように
論説文の構成を把握できるようにしておきましょう。形式段落に番号を振り、意味段落ごとの内容を要約する練習をしてください。
物語文は切り分けて考えよう
物語文を理解するためには、まずどんな人物が出ているかを整理してください。作品内での時間の経過や場面の変化にも注意するとよいです。そのあと、各登場人物の心情描写を追いかけていきます。
漢字で確実に点をとろう
漢字で点数がとれるように、日々の漢字学習を欠かさないようにしましょう。塾や家庭教師に漢字テストを行ってもらっている場合は、間違えた問題の復習を欠かさずしてください。
抜き出しを正確に
抜き出しの問題が出題されます。前後をよく見て抜き出す練習をしてください。
抜き出した言葉を当てはめて文章の意味が通るのか、読み返す作業を忘れないようにしましょう。ケアレスミスをする子供がたくさんいます。
読みながら傍線を引こう
長い文章なのでまず見直している暇はないでしょう。一回で要点を押さえて解く必要があります。傍線を引いてポイントを押さえてください。
- 速読に慣れる必要があるため、1分で700文字の文を読めるようにする
- 問題集などで前後をよく見て抜き出す練習と、日々の漢字練習が重要
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算練習をしておこう
大問一では計算問題が複数出ます。解けるようにしておきましょう。計算問題は少数や分数やカッコが混在しているため、注意して解かなければならない問題ばかりです。
そのため、常日頃から計算に慣れていないとミスをしやすい傾向にあります。まずは数をこなすことが重要です。それでもミスが減らなければ、計算を解く過程にケアレスミスを引き起こす原因があるのかもしれません。一度分析してみましょう。
過去問で出題傾向を把握しよう
出題傾向が比較的はっきりしているため、過去問を一度解いておくとよいでしょう。なんといっても小問集合の占める割合が大きいので、どんなレベルの問題がどんな分野から出題されているのかをあらかじめ把握しておくと、勉強の効率がアップします。
頻出単元としては平面図形、単位の計算、食塩水の濃度、速さ、割合などです。特殊算も覚えておきましょう。
小問集合は大問で難易度が分かれる
同じ小問集合でも、大問二と大問三では難易度も異なります。基本的には大問三のほうが難しいです。どちらの大問にどのぐらい時間を割くかなど、だいたいの目安を決めておきましょう。実際、その時間配分でうまくいくか試しておきましょう。
見直しの優先順位を決めよう
解きながら見直しの優先順位を決めていきましょう。不安が残る問題から見直すと効率的です。どの問題から見直すかがひと目でわかるよう、問題用紙にマークを書き入れておいてください。
- 分数や少数の問題でケアレスミスをしないように、数をこなして計算に慣れておく
- 出題傾向がはっきりしているので、過去問をやり込む
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
全分野からのさまざまな単元が出題
理科は大問の数が多い分、全分野からさまざまな単元が出題されます。
網羅的な復習が必要ですが、特によく出る単元は浮力、中和反応、力のつり合い、音、電気、光、昆虫、植物などです。また時事問題と絡めた出題もあります。理科関連のニュースを積極的にチェックして対策しておきましょう。
絵や写真、図表など情報量が多い
理科の問題は、絵や写真、図表を使ったものが多く、解く前から身構えてしまう人もいることでしょう。しかし問題自体は基本的な理解ができていれば、解ける難易度なので、あせらず問題文を読み込んでください。
実験や観察を中心に網羅的な対策を
理科は、実験・観察の大問が出題されるため、計算問題とともにしっかりと対策しておくことが重要です。出題範囲は網羅的に学習しておきましょう。
- 理科は全分野から様々な問題が出るのに加え、時事問題も出るため日頃からニュースなどをよく見ておく
- 絵や写真を使った問題が多いため、問題集をやり込み慣れておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
並べ替えの問題を解けるように
社会は時代順で並べ替える問題がよく出るため、出来事の関連性を押さえておく必要性があります。
長いスパンの歴史から出題されるケースも多いので、一時代の中の順番だけではなく大きな流れを把握しておいてください。
正誤を選択する問題も多い
選択肢の中の正誤を見極めるタイプの問題もよく出ます。問題によっては、すべてが正しい可能性もあるので、注意して臨みましょう。歴史においては出来事の内容を細かなところまで押さえておかないと間違えてしまいます。漠然と用語を覚えるだけではなくて、説明できるところまで仕上げてください。
都道府県の形を覚えよう
地理では、都道府県の形が描かれた絵を使った問題が出題されやすいです。都道府県の形を頭に入れるためにも、白地図で勉強したり都道府県カルタに取り組んだりするとよいでしょう。
時事問題に注意
公民だけではなく地理でも、時事問題を絡めて出題してくる場合があります。その中には基礎知識を問うだけではなく思考力を問う問題もあるため注意が必要です。しかし、問題自体は見慣れないかもしれませんが、内容が難しいわけではありません。
問題文を熟読すれば解けることが多いはずなので、諦めずに挑んでください。身構えずに済むよう、過去問でどんな問題が出ているかチェックしておきましょう。
- 並べ替えの問題を解けるように、一時代の中の順番だけでなく歴史の大きな流れを把握しておく
- 時事問題を絡めた問題で思考力を問われることもあるため、過去問をやり込みどんな問題が出てくるか把握しておく
過去問を参考に各科目の対策を
明治大学に進学する未来を見据えて、明治大学付属八王子中学校を受けるのはよい選択です。付属校とひと口にいっても内部進学率は学校によってまちまちですが、明治大学付属八王子中学校の場合は、約九割の子供が明治大学に進学できています。しかし、人気校として相応の倍率を誇るので対策が必要です。
国語は出てくる文章自体はそんなに難しいものではないです。物語文と論説文の両方を速読できるよう、練習しておきましょう。あわせて漢字の復習もしておいてください。
算数は小問集合がメインです。平面図形や特殊算、食塩水などが出題されやすい傾向にあります。過去問をやり込んで対策を立てましょう。
理科は全分野から出題される上、大問の多さから網羅的な対策が必要です。社会は、まず歴史では時代の流れが重要なので説明できるようにしてください。地理は各都道府県の形や情報を頭に入れましょう。