東京電機大学中学校は東小金井駅から五分ほどの場所にある、さまざまなプログラムを用意している共学の学校です。この記事では東京電機大学中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向や勉強法を紹介します。
そもそも東京電機大学中学校ってどんな学校?
東京電機大学中学校は共学校で、男女ともに理工学系への進学率が高いのが特徴です。「人間らしく生きる」を校訓として掲げています。「視野の広さ」「冒険心」「専門性」「共感力」「向上心」の五つの力に重きを置いて、生徒を育成している学校です。生徒の男女比は男子のほうが圧倒的に多く、高校になるとその差はさらに広がります。中学の男女比は約二対一、高校から入学する生徒を受け入れたあとの男女比は約三対一になる年度が多いです。
教育の特徴として、「理科教育」「情報教育」「探究学習」「グローバル教育」への注力が挙げられます。「理科教育」では中高を通して100以上の実験・観察を実施していて、オリジナル教材も豊富です。「情報教育」ではタブレットやPCを用いてアイデアを表現する方法を学んでいます。「探究学習」では問いを立てて研究テーマを設定していますし、それを形にする技術も身につけています。「グローバル教育」では、英語研修、英会話・英語コミュニケーション、英語検定試験、マレーシア英語研修、体験型英語学習施設での英語学習などそのラインナップはさまざまです。カンボジアボランティアツアーや、東北スタディツアーといったフィールドワークも行っています。
項目 | 特徴・概要 |
---|---|
理科教育 | 中高で100以上の実験・観察を実施、オリジナル教材が豊富 |
情報教育 | タブレット・PCを使ってアイデアの表現方法の習得 |
探究学習 | 研究テーマを設定して形にする技術の習得 |
グローバル教育 | 英語教育のラインナップとフィールドワークが豊富 |
卒業後の進学先として2025年度は国公立大学に24名、他にも早上理に18名、GMARCH同立に87名、成成武明学に16名、日東駒専に75名、理工系4大学に103名という結果を残しています。なお、東京電機大学への内部推薦は現役48名、一般入試は現役3名、既卒3名です。内部進学希望者は、高校二年次に理系コースを選択しなければなりません。加えて、一定の成績基準を満たすことが条件です。
東京電機大学中学校の入試概要
東京電機大学中学校の入試概要を見ていきましょう。
2025年度の入試
2025年度の入試は第一回が2月1日土曜日午前で50名、第二回が2月1日土曜日午後で50名(特待生を含む)、第三回が2月2日日曜日午前で25名(特待生を含む)、第四回は2月4日火曜日午後で25名。出願期間は第一回と第二回が1月10日金曜日9時から1月31日金曜日15時まで、第三回が1月10日金曜日9時から2月2日日曜日5時まで、第四回が1月10日金曜日9時から2月4日火曜日8時までです。各試験、一回25,000円で、二回同時出願が38,000円、三回以上同時出願は50,000円に設定されています。
2025年度の入試倍率
受験者数は、男子は二科44名、四科119名。女子は二科21名、四科31名でした。合格者数は男子二科12名、四科39名で女子は二科12名、四科21名、第一回の実質倍率は総合で見ると約2.6倍です。第二回は選択一科で、受験者数は男子383名、女子121名。合格者数は男子114名、女子67名で、第二回の実質倍率は総合で見ると約2.8倍です。第三回は男子二科36名、四科109名で、女子二科18名、四科19名。合格者数は二科が男子5名、四科が男子24名。二科が女子11名、四科が14名です。実質倍率は総合で見ると約3.4倍です。なお、実質倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|---|
第一回 (2科/4科) | 男子2科 | 44名 | 12名 | 約2.6倍 |
男子4科 | 119名 | 39名 | ||
女子2科 | 21名 | 12名 | ||
女子4科 | 31名 | 21名 | ||
第二回 (選択1科) | 男子 | 383名 | 114名 | 約2.8倍 |
女子 | 121名 | 67名 | ||
第三回 (2科/4科) | 男子2科 | 36名 | 5名 | 約3.4倍 |
男子4科 | 109名 | 24名 | ||
女子2科 | 18名 | 11名 | ||
女子4科 | 19名 | 14名 |
東京電機大学中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
東京電機大学中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。ここで紹介するのは第一回・第三回についてです。
なお、ここで紹介している、第一回・第三回の二科・四科受験において、国語・算数は共通問題となります。
国語は途中に作文があるのが特徴
国語の制限時間は50分、配点は100点です。大問は六つ程度。説明文と物語文の大問が一題ずつ出題され、百字以内の作文があるのが特徴です。また漢字の読み書きも出題されます。作文以外の記述は抜き出しなどが多く、あまり長い問題は出ません。選択問題は選択肢の文章がやや長めの問題も出ます。
算数は解答用紙の記述に注意
算数は制限時間50分で配点は100点です。大問は五つ程度。大問一で計算問題が三つほど、大問二で小問集合が八つほど、大問三以降は単元別の出題で考え方や途中式を書かなければなりません。立体図形や平面図形、特殊算、場合の数、速さ、数の性質などが出題されます。問題の難易度自体はけっして高くないため、標準的な問題を解く力を定着化させることが必要です。
理科は大問で問題数に差があり
理科の制限時間は社会とあわせて50分、配点は60点です。大問は三つ程度。各分野から出題されています。大問一の分量が多いですが、これはさまざまな分野から出題されているためです。大問別で分野が分かれているわけではないので、注意が必要となります。大問二と三は分野別の出題で、ひとつのテーマを掘り下げておく必要があります。
社会は記号問題が大半
社会の制限時間は理科とあわせて50分、配点は60点です。大問は三つ程度で、分野別に分かれています。基本的には記号を選択させる問題が多いですが、語句を記入するタイプの問題も出題されます。基礎知識を問う問題がメインです。図表が多く、たとえば地理では雨温図や地図を理解している必要があります。
(補足)一般入試「第二回」について
国語または算数の一科で、試験時間が60分、配点100点、第四回は国語・算数・理科・社会から二科を選択、試験時間が70分、配点は各100点に設定されています。
東京電機大学中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
東京電機大学中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
説明文と物語文を両方読めるように
説明文・物語文から大問がひとつずつ出題されるため、苦手な人は読み込めるようにしておきましょう。特に説明文は文体の固さに苦手意識を持っている子供が多いので、練習が必要です。読解文の問題集をやり込んでいきましょう。
漢字の練習をする
漢字の読み書きの練習が必要です。出題されるのはどれも難しくない熟語なので、確実に読み書きできるように仕上げておきましょう。毎日漢字テストを実施し、書けなかった漢字は後日再挑戦してください。間を空けて復習するルーティンを作ることが肝心です。覚えた直後はクリアできても、時間とともにどうしても抜け落ちてしまうので、周回して何度も記憶し直す作業が求められます。
作文対策をしよう
抽象的なテーマであっても、具体的に書けるようにしておきましょう。過去問でどんなテーマが出ているかを確認し、練習してください。添削は塾や家庭教師の先生に頼みましょう。文体の揃え方や、冗長にならない文章の書き方を学んで実践しましょう。
- 毎日漢字テストを行い確実に読み書きできるようにしておく
- 作文は過去問を活用して練習し、必ず先生に添削してもらうようにする
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算の勉強
大問一では計算問題が出題されるため、確実に解けるようにしておきたいところです。計算問題でミスをしやすい人は、計算をたくさん解いて、計算慣れするようにしましょう。分数や小数やカッコを混ぜた計算が出るので解けるようにしてください。
小問集合で失点しないように
小問集合で出題されるのは各単元の基礎の問題ばかりです。一行問題のような簡単な問題は確実に解けるようにしておきましょう。もし大問二で解けない問題があれば、それはその単元が基礎の段階から理解できていないということです。問題集をやり込んでください。また、特殊算をちゃんと使いこなせるようにしておきましょう。
解き方を書き出せるように
単元別の出題では、解答欄が用意されていて、解き方を書き込めるようになっています。要点を押さえた解答を作成できるようにしておいてください。日頃から途中式を省く癖がついている子供は特に注意する必要があります。いざ書くとなったときに、採点者に伝わる書き方でまとめられないためです。あらかじめ練習をしておくようにしましょう。解答欄はけっして大きくないので、字の大きさのバランスなど、過去問で確認しておいてください。
単元別の出題は頻出単元を押さえておく
単元別の出題の部分は頻出単元の傾向がはっきりしているので、立体図形や平面図形、特殊算、場合の数、速さ、数の性質などをやり込んでおくようにしましょう。苦手な子供が多い立体図形は、類題をたくさん解いて慣れておいてください。過去には、立体の切断や移動する点などが出題されています。平面図形は比を使った問題を解けるようにしておきましょう。全体の難易度としては標準レベルが多いので、問題集の標準レベルでミスした問題は自力で類題が解けるレベルまで仕上げてください。
- 計算・小問集合では全問正解できるように問題集をやり込む
- 頻出単元を押さえ、途中式は採点者に伝わる書き方ができるように練習しておく
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
解説ページを読み込んでおこう
理科は基礎的な知識を問う選択問題が多く、満遍なく基礎を頭に入れるのがカギです。中学受験テキストの各単元の解説ページを読み込んで、基本的な知識を定着化させましょう。一問一答のページをやり込むことも得点につながります。各単元の用語や基礎知識を頭に入れ直しておいてください。
2025年度の平均点は六割前後
2025年度、理科は六割前後の平均点でした。問題の難易度が基礎レベルな割に、意外と点数は伸びていません。そのため、基礎を隅々まで仕上げていれば得点でリードできる可能性があります。苦手な単元をひとつずつ潰していきましょう。
図表が多いので注意
図表を使った問題が多いので、隅々まで確認して解くようにしましょう。図表が多い問題では、解くための情報を揃える前に、反射で答えを書き出す子供が一定数います。提示されたすべての条件を確認してから解く姿勢が大切です。
- 解説ページをよく読んで基礎知識を定着させておく
- 図表と問題文を隅々まで確認する習慣をつける
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
選択問題が大半
選択問題が多く理科と同様、得点しやすいテストだといえます。問われる知識も基礎が多いです。社会もまた理科と同様に解説ページを読み込んで勉強したり、一問一答のページを生かしたりしてください。
社会の平均点は理科と同様
社会の平均点と理科の平均点は大きくは変わりません。社会もまた、2025年度は六割前後の平均点なので、七割以上とって点差をつけたいところです。社会は用語を選ぶ問題、正しい選択肢を選ぶ問題などがよく出ます。選択肢として提示されている文章の長さは短く、問われているのはあくまで基礎知識が定着しているかどうかです。基礎知識を固めてください。
資料から情報を読み取れるようにしよう
地図や雨温図、人口の表、グラフなどから必要な情報を読み取れるようにしておきましょう。地理や政治経済分野で特に多く用いられます。各地域の特徴を頭に入れておき、提示されたデータがどこを表しているのかわかるようにしておくとよいです。地理を中心としたこうしたデータは、覚え直したつもりでも定期的に復習しないと抜けていくので、間を空けてチェックしてください。地理は社会の受験勉強において最初に取り組む分野であり、記憶が抜けがちでもあります。
- 解説ページや一問一答のページを活用して基礎知識を定着させておく
- 地理を中心としたデータは何度も覚え直し記憶抜けがないようにする
基礎・標準レベルの問題が多くミスをしないことが肝心
全体的に基礎・標準レベルの問題が多いです。ケアレスミスをしないよう、注意して取り組んでください。
ただし、国語に関しては百字以内程度の作文があるため、苦手な子供は念入りな準備が必要です。下限字数も条件に組み込まれているので、必ず指定字数内に収めましょう。字数が足りずに得点できないのはもったいないです。
算数は計算や小問集合でパーフェクトを出すことを目指してください。そのためには、頻出単元を中心に、苦手な単元を克服しておく必要があります。また、解答欄を埋める際には、採点者に要点が伝わるように途中式や考え方を整理してまとめなければなりません。
理科は基本レベルが多く、選択問題中心なので解きやすいです。ただし、図表が多いのでスムーズに情報を読み取る練習をしておいてください。社会は選択問題が多く、選択肢自体もミスリードを誘うものは少ないです。知識が定着化しているかを問う内容なので、確実に解けるよう知識を入れ直しておいてください。