• 2025年10月6日

頌栄女子学院中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

頌栄女子学院中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の出題傾向と勉強法

頌栄女子学院中学校は、聖書の教えを基礎に据えて女子教育を行っている学校です。この記事では、頌栄女子学院中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向と勉強法を紹介します。

そもそも頌栄女子学院中学校ってどんな学校?

そもそも頌栄女子学院中学校ってどんな学校?

頌栄女子学院中学校は、キリスト教の教えに重きを置き、女子教育を行っている中高一貫校です。明治17年に開校した頌栄学校を前身としています。「讃美と奉仕」を学院標語に掲げていて、高雅な品性や豊かな国際感覚の涵養、社会のために貢献奉仕できる人格の形成を目指している学校です。

グローバル英語教育に力を入れていて、中学では英語が週6時間あります。英語の四技能「読む」「書く」「聞く」「話す」を育成するカリキュラムです。中学二年生ではスピーチコンテストを実施。クラスメイトの前でスピーチを行います。その中で、クラス代表に選ばれた生徒はグローリアホールでの発表の機会を与えられます。英語での読書も義務付けられていて、図書館設置のEnglish Library(洋書蔵書数5,000冊以上)やオンラインを利用しての読書が可能です。

語学研修も充実していて、中学二年生対象の軽井沢英会話研修や、中学三年生対象のカナダ語学研修があります。高校になってからも語学研修はあり、行き先はイギリスです。オールイングリッシュの5日間のプログラムで中学二年生(帰国生)、三年生も参加できるグローバルスタディーズプログラムもあります。英語の他にICT教育宗教教育探究学習などにも力を入れています。

2025年3月卒業の生徒の進路内訳は198名中、国公立・早慶上智が51%、その他四年制大学が35.4%でした。

頌栄女子学院中学校の入試概要

頌栄女子学院中学校の入試概要

頌栄女子学院中学校の入試について見ていきましょう。

2025年度の入試倍率

2025年度の入試倍率は第一回の受験者数が222名、合格者数が110名で実質倍率は約2倍でした。第二回の受験者数は346名で、合格者数が115名、実質倍率が約3倍。第一回より第二回のほうが倍率は高めでした。

帰国生入試は12月の1科入試が受験者数64名、合格者数52名、実質倍率約1.2倍。3科入試が受験者数61名、合格者数44名、実質倍率約1.4倍でした。帰国生入試は2月に1科入試のみ実施され、10名受験し2名合格の、実質倍率5.0倍でした。

2026年度の入試

第一回入試は2月1日(日)で、4科入試と英語利用入試(国語・算数・英語資格)があります。英語利用入試の出願資格は実用英語技能検定3級以上です。募集人数は100名。出願期間は2026年1月10日(土)0:00~1月27日(火)16:00となっています。

第二回入試は2月5日木曜日で、第一回と同様、4科入試と英語利用入試(国語・算数・英語資格)があります。こちらも100名の募集です。出願期間は2026年1月10日(土)0:00~2月4日(水)16:00に設定。英検によるみなし得点は、1級150点、準1級130点、2級110点、準2級プラス100点、準2級90点、3級70点となっています。なお、2026年度は第一回入試・第二回入試とも面接はありません

帰国生入試は12月6日(土)で、英語入試と3科入試の二種類があります。どちらも受験に面接が組み込まれていて、保護者同伴です。帰国生入試の募集人数は特に定められていません。出願期間は11月6日(木)0:00~11月27日(木)16:00です。帰国生入試は2025年度まで12月と2月に分かれていましたが、2026年度は、2月には実施されません。受験料は一般入試、帰国生入試ともに25,000円です。一般入試で併願した場合は40,000円になりますが、同時出願の場合に限定されます。

入試区分受験科目募集人数
第一回4科100名
英語利用
第二回4科100名
英語利用
帰国生英語不定
3科

頌栄女子学院中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

頌栄女子学院中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

頌栄女子学院中学校の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は長文から知識問題まで

国語の試験時間は40分、配点は100点です。大問は三つほど。国語は長文問題の大問が一つもしくは二つです。長文問題が一つのときは、語彙力を問う問題が中心となる総合知識問題が代わりに出題されます。漢字の書き取りも出題されるので、とめ・はね・はらいを含めて間違えないようにしましょう。読解の問題の中にも、文中の慣用句などの意味を問う問題がよく出ます。

算数は図形が頻出

算数の試験時間は40分、配点は100点です。大問は五つほどで、大問一が小問集合、大問二以下が単元別の出題です。解法を解答欄に書き込む問題や、図を書き込む問題なども出題されます。大問一の小問集合は基本的な問題ばかりです。頻出単元は図形で、特に立体をイメージする力を身につけておきたいところです。

理科は各分野からの出題

理科の試験時間は40分、配点は100点です。大問は四つで、各分野から出題されています。基本レベルの問題が多いですが、思考力を問う問題も多く、たとえば2025年度の理科では「春に正しい時刻を刻んでいた振り子時計は、夏と冬ではどのように時を刻むと考えられますか」という問題が出題されました。これは解答欄で三行にもわたる記述問題です。温度によって金属が収縮したり膨張したりするという、基本的な知識を活用できるかが問われる内容でした。知識を生かして思考を深める力が必要です。

社会は時事に関連する問題が多い

社会の試験時間は40分、配点は100点です。社会は時事問題を切り口にしています。世の中に対してちゃんと関心を持っているかどうかが問われる問題です。2025年度はロシアとウクライナの戦争やアイヌへの差別の問題などを扱っています。また、アイヌの人権啓発に関するパンフレットに潜むマイクロ・アグレッションについて記述させる問題などが出題されました。人権啓発を謳いながら、マジョリティ側が提示した文言自体に実は排他性が潜んでいるのではないかという問題提起でした。日頃から社会で起きている出来事や、差別や排除について関心を寄せているかどうかが問われます

ポイント
  • 国語は速読が必要な長文問題が出題され、算数は立体図形を中心とした図形問題が頻出する
  • 理科は基礎知識を生かした思考力問題が出題され、社会は時事や社会問題からの出題が多い

頌栄女子学院中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

頌栄女子学院中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

頌栄女子学院中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

漢字はとめ・はね・はらいまでしっかりと

漢字は「とめ」「はね」「はらい」まで正しく書けるよう仕上げることが大切です。どの線が長く、どの線が短いのか、といった細部も大切で、筆圧が弱い子供ほど判然としない字になりがちなので、細かく添削してあげることが必要です。字は習慣なので、雑な書き方に慣れてしまうと直すのが難しいので、早いうちからの声かけをおすすめします。

速読ができるように

読解問題はひとつのときも、二つのときもありますが、全体の文章量としてはボリュームがあるので速読ができるようにしておきましょう。読むのが遅い子供は、字を見つめているうちに視線が泳いでしまっているケースが多いです。集中して読むのが不得意な子供には、読んでいる行に定規を添えてみるといった工夫から始めてください。ある程度読めるが速読は難しいという場合は、段階的なステップアップが必要です。一分につき100字ずつアップしていけるとよいでしょう。

語彙力を増やそう

言葉の意味を問う問題がよく出るので、語彙力を増やす必要があります。慣用句、ことわざ、熟語を覚えていきましょう。読解文を読んだ際にわからない言葉があれば、必ず頭に入れるようにし、次の単元に進んだときに前回分を振り返る時間を設けます。知識は抜けていくものなので、定期的に頭に入れ直す作業が欠かせません。

頌栄女子学院中学校の国語対策
  • 漢字で失点しない様に細部まで丁寧に書く習慣をつけておく
  • 速読と語彙力は必須になるため毎日一定時間を費やして定着させる

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

計算問題では確実に得点しよう

小問集合の一問目もしくは一・二問目で、計算が出題されるため、まずはそこで得点できるようにしてください。分数小数括弧を使った計算を確実に解けるように仕上げましょう。

各単元の基本が取りこぼしなく解けるように

小問集合では、各単元の基本が出題されるので、解けるようにしておきましょう。中学受験の範囲は広いので、どうしても取りこぼしてしまう単元が出てきますが、自分の弱点を模試の結果等で確認し、ピンポイントで復習するようにします

数の規則性の問題はスラスラ解けるように

数の規則性の問題が出題されていますが、苦手な子供はタイムロスしやすい単元なので、ただ解けるだけではなくスピーディーに処理できるようにしておいてください。過去問を通して適切な時間配分ができるようにしておきましょう。

立体図形を中心に図形の対策を

頻出単元には図形が挙げられます。特に立体図形はよく出ているので、解けるようにさまざまなパターンに慣れておきましょう。立体の切断をはじめ、立体をイメージする力があるかどうかが問われる問題が多いので、立体が苦手な子供は早いうちから対策して、問題のパターンを頭に入れておきましょう。

頌栄女子学院中学校の算数対策
  • 模試を活用して弱点の洗い出しと復習を行い、過去問で時間配分を身につける
  • 立体図形は頻出のため様々なパターンに慣れるなど早めから対策をする

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

名称を漢字で書けるように

記号を選択するタイプの問題も出ていますが、その一方でしっかり書かせるタイプの問題も出ています。漢字で書かなければならない語句は漢字で書けるようにしておいてください。

計算問題が解けるように

計算が必要な問題がいくつか出題されるので、スピーディーに解けるようにしておきましょう。そのためには表やグラフから必要な情報を読み取る力が欠かせません。情報を読み取って素早く解くタイプの問題に慣れておきましょう。計算問題は解き方が理解できていても、ある程度数をこなさないとなかなかスピードが身につきません。類題にできるだけたくさん挑んでおいてください。

基礎を生かした思考力を身につけよう

基礎知識が身についているかを問う問題が中心ですが、思考力を問う問題も出題されます。考えた内容を解答に落とし込む力も必要です。記述問題は複数出題されています。理科にしては記述問題の解答欄は行数が多めです。対応できるように、過去問をやり込みましょう。

頌栄女子学院中学校の理科対策
  • 語句を書かせる問題が出るので語句は漢字で書けるようにしておく
  • 思考力を問う記述問題が出るため情報を読み取るスピードを鍛える、過去問で解答の文章量に慣れておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

社会に対する問題意識を深める必要性

社会は知識だけを問う試験ではありません。時事問題と関連付けながら総合問題が展開するので、基礎知識はもちろん、思考力や読み取る力、記述する力が求められます。毎日ニュースをチェックしてください。ただし、頌栄女子学院中学校の問題はマイクロ・アグレッションを問うような、日頃から問題意識を持っていないと解けない問題も出るので、表層的な情報では立ち向かえません。TBSラジオの『荻上チキ・Session』のように、専門家を招いて解説をお願いするタイプの番組を聴いておくのがおすすめです。ラジオクラウドのアプリからだとテーマ別に選んで聞けます。NPO放送批評懇談会が主催するギャラクシー賞を複数回受賞している番組です。

語句を書かせる問題は漢字が必須

理科と同様、記号問題が出題される一方で記述問題も多いので、語句を漢字で正確に書けるようにしてください

グラフや図表、資料からの読み取りができるよう

グラフや図表、資料を使った問題も出題されます。問題を解くために必要な情報を読み取れるよう練習しておきましょう。資料集に載っている資料だけが出題されるわけではないので、知らない資料に出会っても冷静に臨めるようにしたいところです。

頌栄女子学院中学校の社会対策
  • 毎日ニュースをチェックして時事や社会問題への関心を養っておく
  • 語句を漢字で書けるように日頃から漢字での記入を習慣づける

基礎をしっかりと身につけた先の思考力

基礎をしっかりと身につけた先の思考力

頌栄女子学院中学校では身につけた基礎知識を生かして、思考力を問われるタイプの問題が出題されます。思考力を問う問題はある程度慣れておかないと、落ち着いて解くことが難しいので、過去問やそれに類する問題を解いておきましょう。

国語は漢字や語彙といった知識と速読を生かした読解力の両方が必要です。どちらもすぐに身につくものではないので、コツコツ積みかさねて準備しましょう。算数は立体図形が頻出なので、苦手意識が強い子供は特に早めの対策がおすすめです。

理科は基礎知識を問う問題が中心ですが、それを生かして思考力を発揮できるかどうかも問われます。社会は、中学受験に必要な基礎知識を問うと同時に、今を生きている人間としての問題意識が欠かせません。日頃から時事社会問題に関心がないと、失点してしまうタイプの問題が出るので専門性の高いメディアから知識を得て、考える習慣をつけましょう。

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