巣鴨中学校は上池袋にある中高一貫教育を行っている男子校です。この記事では巣鴨中学校を目指す家庭に向けて出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも巣鴨中学校ってどんな学校?
巣鴨中学校は難関校のひとつとしてよく知られる中高一貫の男子校です。巣鴨の教育の中でも特徴的なのが数学です。巣鴨中学校では二年生までに中学校の内容を終えてしまいます。難関中学校では進度がスピーディーなこと自体は珍しくありません。しかし、巣鴨中学校は生徒への働きかけの手厚さで知られています。
早いうちに学習習慣や勉強法が身につくよう、小テストでこまめな実力チェックを行ったり、フォローアップ講習を行ったりすることで、授業についていけない生徒が出ないよう見守っているのです。逆に、もっと勉強したいという熱意ある生徒にはステップアップ講座を提供しています。
一番特徴的なのは中学三年・高校一年において成績上位者を集めた上位クラスを設置していることです。普通クラスと同じ進度ではありますが、問題の掘り下げ方がより深くなります。入試でも算数選抜を設けていて、定員240名のうち20名を募集しています。数学教育に注力する学校であることは間違いありません。
国際教育にも熱心で、イートン校サマースクールや、国内で合宿しながらイギリス人講師に学ぶ巣鴨サマースクール、一流講師たちによるレッスンを受けられるTokyo Spring School、カナダ、オーストラリア、イギリスのいずれかを選べるターム留学をはじめたくさんのイベントや取り組みがあります。
2024年度の難関大学合格者数
難関大学の合格率の高さで知られ、2024年度は東京大学5名(内現役3名)、旧帝大13名(内現役9名)、一橋大学・東京工業大学2名(内現役1名)、早稲田大学28名(内現役15名)、慶應義塾大学は26名(内現役10名)、国公立大学67名(内現役33名)、国公立大学医学部医学科16名(内現役6名)、国公私立大学医学部医学科92名(内現役16名)、国公私立大学医歯薬系学科115名(内現役28名)でした。
大学 | 合格者数 |
---|---|
東京大学 | 5名(内現役3名) |
旧帝大 | 13名(現役9名) |
一橋大学・東京工業大学 | 2名(現役1名) |
早稲田大学 | 28名(現役15名) |
慶應義塾大学 | 26名(現役10名) |
国公立大学 | 67名(現役33名) |
国公立大学医学部医学科 | 16名(現役6名) |
国公私立大学医学部医学科 | 92名(現役16名) |
国公私立大学医歯薬系学科 | 115名(現役28名) |
巣鴨中学校の入試概要
巣鴨中学校の入試概要は以下のとおりです。
2024年度入試
2024年度の入試はⅠ期が2月1日午前で80名募集でした。算数選抜は2月1日午後で20名募集、Ⅱ期が2月2日で100名募集、Ⅲ期が2月4日で40名募集です。出願期間はⅠ期と算数選抜が1月10日9時から1月31日18時まで、Ⅱ期が1月10日9時から2月1日23時50分まで、Ⅲ期が1月10日9時から2月3日23時50分までです。Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期が25,000円で、算数選抜は10,000円の受験料です。
2024年度入試倍率
2024年度の入試倍率は、Ⅰ期が309人受験で105人合格、実質倍率は約2.9倍です。算数選抜は652人受験で284人合格、実質倍率は約2.3倍。Ⅱ期が405人受験で157人合格、実質倍率は約2.6倍、Ⅲ期が312人受験で49人合格、実質倍率は約6.4倍です。実質倍率は小数点以下第二位を四捨五入しています。
受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|
Ⅰ期 | 309名 | 105名 | 約2.9倍 |
算数選抜 | 652名 | 284名 | 約2.3倍 |
Ⅱ期 | 405名 | 157名 | 約2.6倍 |
Ⅲ期 | 312名 | 49名 | 約6.4倍 |
巣鴨中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
巣鴨中学校の入試における出題傾向を紹介します。
国語は読解文が二問で文章量は少なめ
国語は制限時間50分で配点は100点です。大問は三つで、内二つが論説文と説明文、たまに随筆文。残り一つが漢字です。
字数は6000字前後なので、難関校としては多くない分量だといえます。読解文が二問ある学校の場合、説明文もしくは論説文と、物語文の組み合わせが一般的ですが、巣鴨中学校はそうではないので注意が必要です。
巣鴨中学校は算数選抜を設けるほど、算数に重きを置く学校なので、国語でも論理的思考力が求められます。漢字は書き取りが十問です。一般的な出題で、書きにくいものを出すわけではありません。
算数は大問二以降単元別の出題
算数は制限時間50分で配点は100点です。大問は四つで、大問一が小問集合、大問二以降は単元別の出題となっています。頻出単元は平面図形・立体図形、速さ、割合と比です。
特殊算もよく出ます。大問一の小問集合以外は解答欄に式を書くスペースがあるので、注意して臨みましょう。
問題数自体はさほど多くありませんが、その分一問あたりの配点が高いですし、難易度の高い問題もあります。
理科は問題が多く時間との勝負
理科は制限時間30分で配点は50点です。大問四つの構成となっています。ただでさえ問題数が多いのに、計算問題の占める割合が大きく、さらには記述問題もあるため、どうしても解くのには時間がかかります。
そのため、理科は残り時間との勝負にならざるを得ません。計算問題は物理分野からが一番出題されやすいですが、他の分野からも出ます。
なお、知識問題も多く、基礎知識だけで解くには難しい問題が出ます。
社会は地理・歴史が多め
社会は試験時間30分で配点は50点です。大問は三つで、地理、歴史、公民が割り当てられています。地理や歴史の半分ぐらいの量しか公民分野は出ません。
ただし、公民分野は問題数が少なくても、問題文や資料のボリュームがあります。出題形式としては、選択問題や正誤判定などが多いです。
用語を問われる問題も出ます。記述問題も複数出題されるので、対策が必要となります。
- 国語は文章量が多くない分量の読解文が二問出題され、論理的思考力が必要になる
- 算数は平面図形・立体図形、速さ、割合と比が頻出単元で一問あたりの配点が高い
- 理科は計算問題の占める割合が大きく、時間配分が鍵になる
- 社会は地理・歴史が多く公民は少なめで、記述問題も出題される
巣鴨中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
巣鴨中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
説明文・論説文がこなせるように
物語文に比べて説明文・論説文が苦手な子供は多いです。しかし巣鴨中学校では説明文および論説文がふたつ出題される傾向にあります。そのため、苦手な子供はなかなか点数がとれません。まずは問題数をこなして、文章に慣れてください。
どうしても物語文に比べると、難しい語彙や固い文体に苦手意識を持つ子供が多いです。形式段落と意味段落を把握し、どういう風に論が展開しているのかを理解する必要があります。「数学の巣鴨」だけあって、求められているのはあくまで論理的な思考力です。
漢字は常日頃から
漢字の書き取りが十問出るため、常日頃から勉強しておきましょう。難しい漢字を選りすぐって出題するわけではありません。出るのはあくまで標準的な問題です。そのため、テストまでにいかに復習できるかが問われます。
難易度は高くないので確実に得点しよう
巣鴨中学の国語は、他の科目に比べれば、点数がとりやすいテストです。総合知識問題は基本的な内容が出ますし、読解文で扱う文章もけっして難しくありません。論理的思考ができれば得点に結びつく問題が出ます。
- 問題数をこなして文章に慣れ、論理的な思考で論の展開を意識するよう心掛ける
- 漢字で点を稼げるように、とにかく復習することを怠らない
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
小問集合でなるべく点を落とさないよう工夫しよう
小問集合には計算問題は出ません。大問一であるにもかかわらず、歯応えのある問題がすでに数多く混在しています。できる限り点数を落とさないだけの実力をつけておきたいところです。
そうはいっても、算数が苦手な子供にとっては厳しいレベルでしょう。その場合は失点を最小限にするため、解ける問題、解けない問題の見極めを素早くできるようにしてください。
大問が四つでも時間が足りない
算数は時間が足りなくなりやすい内容です。大問一から油断のできない問題が出てきますし、大問二以降は解答欄に式を書き込む必要があるとなると、解くのには時間がかかります。問題数は多くないのに、時間ギリギリになる人がほとんどのはずです。
そうなると、過去問を通して合格ラインをとるために時間配分を見極める必要があります。
また、見直しの時間がとれないので、ケアレスミスをいかに防ぐかも課題です。式を書く際には見やすい字ではっきりと書いてください。限られたスペースの中で求められている情報を落とし込む練習をするとよいでしょう。
平面図形・立体図形の対策は
平面図形や立体図形もよく出題されます。どちらも難易度の高い問題が出ることがあるので、力を入れて対策する必要があります。平面図形は補助線を引かなければ解けない問題がよく出ています。相似や面積比を使った解き方も理解しておきましょう。
立体図形では立体の切断、平面図形を回転させて立体図形を作る問題などが出ます。立体の切断は苦手な子供が多い単元です。過去問でどういった問題が出ているかを押さえて、類題を解いておきましょう。容器に水を溜める問題もよく出ます。
- 小問集合での失点を抑えるため、「解ける/解けない」の見極めをできるようにする
- 過去問を通して時間配分と出題傾向を見極める
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
計算問題のスピードがカギ
巣鴨中学校の入試は数学的要素を重視しています。そのため、理科でも計算問題の占める割合が大きいです。おまけに難易度も高く、理科の基本的な考え方だけではなく、算数の知識も使って解かなければなりません。理科は全体的に問題数も多く、解くスピードが遅いとあっという間に制限時間が来てしまいます。
計算式の意味を確実に理解できていて、なおかつ素早く処理することができる能力が求められています。問題に慣れないことにはどうしようもありません。継続的に数をこなしてみてください。次第に解けるようになります。
物理の力学関連の単元をやり込んでおこう
力のつり合いをはじめ、力学関連からの出題が多いです。応用問題まできちんと解けるよう、問題集を使ってなるべくたくさんの問題を解いておきましょう。
30分をどう生かすか
理科は問題数が多いので、どこを優先的に解けば得点できるかをよく考えておかなければなりません。過去問を参考にして、問題を解く際の時間配分について、あらかじめ決めておいたほうがよいでしょう。物理や化学の大問はもちろん、それ以外の大問でも計算力が求められることがよくあります。計算絡みの単元は徹底的にやり込んだほうがよいでしょう。
- 計算問題を素早く解くために、問題集で継続的に数をこなす
- 過去問を何度もやり、問題を解く際の時間配分を身に付ける
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
選択問題は隅々まで読もう
社会では選択問題がよく出ます。選択問題ではひっかけ問題のようにしっかり読み込まないと解けない問題も多いです。
まずは文章にきちんと目を通し、早合点を避けるところから始めましょう。問われている内容の選択肢をきちんと選び取れるようにしてください。
地域と気候は押さえておこう
地理の範囲では地域の特徴と気候を問う問題が出やすい傾向にあります。「どの場所で」「どのぐらい雨が降って」「どのぐらいの気温なのか」理解を深めておきましょう。
史料が頭に入っているかどうかではない
社会では、史料を見て解く問題はあまり出ません。どの難関校も史料をたくさん提示して、解かせる問題を出してくるものです。しかし、この学校は問題文の中に解くヒントを散りばめていることが多いです。問題文から情報を読み取り、正しい答えを導き出すことを重要視しています。
地形図や地図、統計資料は読めるようにしておこう
歴史史料の図版などを見て答えるタイプの問題は少ないですが、地形図や地図、統計資料を読み解かなければならない問題はよく出ます。地形図や地図はよく勉強しておきましょう。統計資料でも見慣れないものが出てきても、焦らないようにしてください。書かれている数字から答えを導き出すようにしましょう。また、過去問を勉強しているとどうしても古い統計が記憶に残ります。間違えて古い統計で事実を認識することがないよう、注意してください。
- 地域の特徴と気候を問われる問題が出題されやすいので、気候は「地域」「降雨量」「気温」をセットで覚える
- 歴史史料を読み取って解くタイプの問題がよく出るため、地形図や地図、統計資料を読めるようにしておく
「数学の巣鴨」らしい論理的思考を問う問題
巣鴨中学校ではすべての問題で、論理的思考を大切にしています。そのため、算数だけではなく国語、理科、社会でもきちんと思考できる人間かが問われます。合格を勝ち取るためには、巣鴨中学校の出題傾向を早めに把握し、対策を練っておく必要があります。
国語では論説文・説明文に対応できる力を養っておきましょう。論説文・説明文が二つも出るとなると、苦手な子供にはつらいかもしれません。文章自体は読みやすい文章が多く、とっつきづらい問題はあまり出ないといえます。
理科は、計算問題の多さに対応できるようにしておきましょう。その上で、力のつり合い、化学変化といった定番の出題範囲をやり込んでください。社会は地図や地形図、統計から必要なデータを読み取る力が必要とされています。
なにより、算数では小問集合から難易度の高い問題が混ざっています。過去問をやり込み、対策を立てて合格を勝ち取りましょう。