城西大学附属城西中学校はその名のとおり城西大学の附属校である中高一貫校です。
この記事では、城西大学附属城西中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも城西大学附属城西中学校ってどんな学校?
城西大学附属城西中学校は豊島区にある中高一貫の共学校です。六年間のカリキュラムを通して、豊かな人間力を育て、語学力・国際感覚を身につけさせます。建学の精神は「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」で、生徒の唯一無二の個性を伸ばしていく教育です。
六年間のうち、中学一年生から三年生までは共通クラスですが、高校一年生でアカデミック&クリエイティブクラス(ACクラス)になり、留学生・附属生・高入生が混合します。高校二年生で理系・文系クラスに分かれ、高校三年生で志望学部系統別クラスに分かれます。志望学部系統別クラスとは具体的には、理工系、医療系、人文系、社会系などです。
教育においては、体験重視、本物主義を掲げていて、中学三年間で実験・観察を百種類以上用意しています。理系へのこうした注力は、生徒の科学リテラシーを大きく育てるものです。
2025年3月卒業生295名の進路実績としては、国内大257名、海外大3名、専門学校9名、就職2名、他22名となっています。具体的に公表している数字としては、早慶上理が9名、GMARCH、立命館が22名、系列大学41名、成成明学獨國武30名、首都圏理系難関薬・歯医療系47名、日東駒専近畿67名です。
城西大学附属城西中学校の入試概要
城西大学附属城西中学校の入試について見ていきましょう。
2025年度の入試
2025年度の入試は次のとおりです。第一回入試午前は2月1日土曜日実施で2科型・4科型・英語資格型Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの入試形態、募集人数は男女30名です。同日の第一回午後は2科型と4科型で募集人数は男女20名、第二回入試は2月2日日曜日実施で2科型、4科型、英語資格型Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで募集人数は男女15名、適性検査共通型では適性検査共通型(検査Ⅰ・Ⅱ)、適性検査大泉型(検査Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)で定員は男女10名、2月5日水曜日実施の第三回入試は2科型、4科型、英語資格型Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで定員は男女15名、第四回入試は2月7日金曜日実施で2科型、英語資格型Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで定員は男女10名です。
2科型・4科型は基本的に合計点で合否判定を行いますが、国語・算数が極端にできていない場合、合格点を上回っても不合格とされるケースもあります。
適性検査は三種類です。適性検査Ⅰは課題文を読み解き、400字程度で自分の考えを記述する問題。適性検査Ⅱは小学校で学ぶ算数、社会、理科の知識を用いて解く問題。適性検査Ⅲは算数を中心に、理数領域の思考力を問う問題です。
適性検査Ⅰ・Ⅱは東京都公立中高一貫校共通作題の問題に準拠。適性検査Ⅲは都立大泉高等学校附属中学校の独自作題問題に準拠しています。なお、英語資格型Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを受験するにあたっては、英検やCEFRの条件を満たす必要があるため注意してください。
2025年度の入試倍率
第一回入試の2月1日午前は受験者数が2科型38名、4科型33名、英語資格型8名で合計79名、合格者は2科型20名、4科型20名、英語資格型7名の合計47名、つまり第一回午前の実質倍率は約1.7倍です。第一回午後の受験者数は2科型65名、4科型86名の合計151名、合格者数は2科型24名、4科型40名、合計64名で第一回午後の実質倍率は約2.4倍でした。
第二回入試の受験者数は適性検査共通型が11名、大泉型が80名の計91名で、合格者数は適性検査共通型9名、大泉型79名の計88名、実質倍率約1倍、2科型が27名、4科型が29名、英語資格型が7名、計63名で、合格者数は2科型13名、4科型15名、英語資格型4名で計32名、実質倍率約2倍です。
第三回入試の受験者数は2科型27名、4科型35名、英語資格型4名の計66名で、合格者数は2科型9名、4科型15名、英語資格型1名の計25名、実質倍率は約2.6倍。
第四回入試の受験者数は2科型44名、英語資格型8名の計52名で、受験者数が2科型14名、英語資格型3名の計17名、実質倍率は約3倍でした。帰国者生入試は第一回入試も第二回入試も2名受験、2名合格で実質倍率は1倍です。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|---|
第一回 (午前) | 2科型 | 38名 | 20名 | 約1.7倍 |
4科型 | 33名 | 20名 | ||
英語資格型 | 8名 | 7名 | ||
第一回 (午後) | 2科型 | 65名 | 24名 | 約2.4倍 |
4科型 | 86名 | 40名 | ||
第二回 | 適性検査共通型 | 11名 | 9名 | 約1.0倍 |
適性検査大泉型 | 80名 | 79名 | ||
2科型 | 27名 | 13名 | 約2.0倍 | |
4科型 | 29名 | 15名 | ||
英語資格型 | 7名 | 4名 | ||
第三回 | 2科型 | 27名 | 9名 | 約2.6倍 |
4科型 | 35名 | 15名 | ||
英語資格型 | 4名 | 1名 | ||
第四回 | 2科型 | 44名 | 14名 | 約3.1倍 |
英語資格型 | 8名 | 3名 |
城西大学附属城西中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
城西大学附属城西中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。なお、2科と4科の国語・算数は共通です。
国語は読解がメイン
国語は試験時間50分、配点100点、大問三つで、説明文、物語文、知識問題あるいは読み取り問題という構成です。選択問題も記述問題も出題されます。字数指定のある説明記述がよく出題されます。字数は長いものも短いものもあり、バラバラです。また、文中の空欄に入る適切な言葉を選ぶタイプの問題も出ます。大問三は特徴的で、慣用句の穴埋めなどの一般的な知識問題が出ることもあれば、グラフを読み解くような一風変わった問題が出ることもあります。
算数は頻出単元の傾向がはっきりしている
算数は試験時間50分、配点100点、大問七つ程度で、大問一は計算問題と小問集合です。大問二以降は単元別の出題となっています。平面図形、立体図形、比、速度、規則性などが頻出です。過去問を見ると出題傾向は比較的はっきりしています。出題される問題は基本から標準レベルの内容です。受験問題集に出てくるような一般的な問題が出題されます。
理科は各分野から知識問題を中心に出題
理科は試験時間30分、配点60点、大問四つです。各分野からの出題となります。化学や物理は実験や観察が中心です。計算問題も出題されますが、基本的には知識を問う問題がメインです。中には解き慣れない問題が出ることもありますが、文章や図表などでヒントが提示されているため、考えれば解ける内容となっています。
社会は時事と絡めた出題も
社会は試験時間30分、配点60点、大問三つです。各分野からの出題となります。地理では地図を使い各地域の特徴を確認する問題がよく出ます。歴史では、ひとつのテーマに関連する出題があります。現代社会は基本的な知識を問う問題から、時事問題と絡めた出題まで幅広いです。リード文は短いものもあれば、会話文形式の長いものもあります。
- 国語は説明文、物語文、知識問題や読み取り問題が出題され、記述問題も多い
- 算数は出題傾向が安定しており、基本から標準レベルの問題が多い
城西大学附属城西中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
城西大学附属城西中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
説明文・読解文を読みこなせるように
国語では読解文が二種類出題されるので、どちらも読みこなせるようにしておきましょう。文章量はけっして多くなく、扱う題材も平易で読みやすいものが中心です。そのため、読解自体の難易度は高くありません。ただし、説明文には難しい言葉が出てくることもあるので、苦手意識をもって身構えるのではなく、たとえ知らない言葉であっても文脈の中で意味をとれるようになりましょう。
記述力を身につけよう
記述問題としては、字数指定の説明記述や抜き出しなどがよく出ています。字数指定内にうまく収めるのが苦手な子供は、類題を解いて慣れておきましょう。城西大学附属城西中学校の場合は、長すぎる文字数の問題は出ません。長くても比較的解きやすい「五十字以上六十字以内」といった分量なので、似たような字数の問題で練習しておくことをおすすめします。
大問三は見慣れない問題でも落ち着いて臨もう
大問三は変わった問題が出ることがあります。たとえば2024年度はグラフの読み取りの問題でした。国語の問題には見えないかもしれませんが、提示されたデータから必要な情報を正しく読み取る力を求められています。
語彙力を増やそう
慣用句、ことわざ、熟語など、言葉の知識を増やしておきましょう。また、知識だけではなく文章に相応しい表現を選ぶ問題も出ます。いずれにせよ、できるだけ低学年のうちから多くの文章に親しみ、自然と言葉がインプットされている状態が望ましいです。そうではない場合は、国語の読解文を解くたびにひとつひとつ確実に覚えていきましょう。
- 説明文には難しい言葉も出るため文脈で意味を捉える練習が必要
- 慣用句、ことわざ、熟語の知識を増やし、文章に相応しい表現を選べるようにする
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
標準レベルまでを頻出単元から固めていく
過去問を見ると、はっきりとした出題傾向が読み取れるので、頻出単元から順番にやり込んでいきましょう。難易度自体は平易な問題が多く、標準レベルまでがすらすら解ければ問題ないです。
大問一で失点をしないように
大問一では計算や一行問題が合わせて十問出題されます。小数や分数、括弧の計算をケアレスミスなく解けるように仕上げてください。それから、比や約数、速度や時間など定番の問題が出題されるので、その辺りもスラスラ解ける状態にしておくとよいです。
図形は特にやり込んでおこう
平面図形では、角度や面積を求める問題がよく出ます。ある程度類似するパターンがあるので、過去問で傾向を把握し、問題集で類題をやり込んで対策しておいてください。
- 過去問を確認し、平易な問題が多い頻出単元から順に学習する
- 小数、分数、括弧の計算をケアレスミスなく解けるように練習
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
選択問題や語句の問題は確実に取りたい
理科では基本的な知識を問う選択問題や、語句の問題が出題されます。この辺りは難易度も低いので、確実に押さえておきたいところです。テキストの各単元のまとめページを確認しておいてください。
計算問題では思考力が問われることも
計算問題では、問題文を読み込んで自分で考えるタイプの問題も出題されます。しかし、難易度自体は比較的易しいので、見慣れない問題だからといって怯まず、隅から隅まで問題文に目を通せば解けるでしょう。解けないと決めつけない姿勢が求められます。
- テキストの各単元のまとめページを確認し、重要な語句を押さえる
- 隅々まで問題文を読み込み、必要な情報を整理して解く練習をする
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
地名や位置関係を頭に入れよう
地理にせよ、歴史にせよ、現代社会にせよ、地名や場所を問われる可能性があるので、地図を頭に入れておいてください。たとえば2024年度であれば、地理では「海」を切り口に地図を見ながら海流名を答えさせる問題、日本の海岸線の長さについて説明記述をさせる問題、海水浴場について考えさせる問題などが出題されています。歴史でも地図を見て遺跡の場所を答える問題が出されました。各分野と地理の知識をむすびつけながら、インプットしていきましょう。
各地の特徴について頭に入れよう
グラフや図表などで各地の特徴をまとめて、答えさせるタイプの出題があります。地域の気候や特産品、工業、農業のデータを改めて頭に入れ直して臨む必要があります。抜け落ちてしまっている部分は入れ直しておきましょう。
時事問題にも対応できるように
国内外問わずニュースを追いかけておきましょう。ロシアによるウクライナの軍事侵攻をはじめ、国際社会の動きを絡めた出題がされています。国内であれば、選挙権年齢が18歳に下げられた理由を説明する問題が2023年度に出ました。さまざまな出来事や社会の動きにアンテナを張っておきたいものです。
- 地図を活用して、海流や遺跡の場所、海岸線の特徴などを確認しておく
- 国内外のニュースに目を向け、社会の動きや国際問題について理解を深める
難易度は高くないが、考えさせる問題も
どの科目も、基本から標準にレベルを合わせた問題が多く出題されるため、けっして難しい入試ではありません。しかし、中学受験の典型的な問題というよりは、読み取り考えさせるタイプの問題も混在しています。これは一般入試だけではなく、適性検査も導入している学校ならではの特徴といえるかもしれません。読めば解ける問題なので、見慣れない問題が出ても慌てずに取り組んでください。
国語は大問三で、「国語らしくない問題」が出ても慌てずに解きましょう。問題自体はけっして難しくないです。算数は例年出題傾向がはっきりしているので、過去問とその類題を解けるようにしておくとだいぶ点数が変わってきます。あとはそれ以外からの出題に備えてとりこぼしなく、基礎力を付けておきたいものです。
理科は設問から考えるタイプの計算問題が出ることがあります。見慣れない問題だとそれだけで難しく感じるかもしれませんが、落ち着いて読めば平易であることがわかります。社会は地理をベースに知識を増やし、時事問題にも対応できるようにしておきましょう。難易度が高くない分、皆が間違えないような問題でいかにケアレスミスをしないかが問われます。落ち着いて臨んでください。