江戸川女子中学校は学習面でのサポートが手厚いことで知られている学校です。この記事では江戸川女子中学校を目指す家庭に向けて、各科目の勉強法を紹介します。
そもそも江戸川女子中学校ってどんな学校?
江戸川女子中学校は伝統ある女子校として知られています。昭和6年に松岡キンが東京小岩に城東高等家政女学校を開校したのが始まりです。「教養ある堅実な女性」の育成を目指し、「誠実」「明朗」「喜働」を3つの柱として据えています。生徒を「自立できる人」にすることが最終目標です。
江戸川女子中学校は中高一貫校で、高校からの入学者も受け入れていますが、高校一年生の間は、中学から入学した生徒とは別にクラスを編成しています。これは六年間を見据えたカリキュラムを採用していて、学習内容の重複を避けるためです。
江戸川女子中学校の特徴として、国際コースの存在が挙げられます。国際コースの副担任はネイティブの教員です。授業はクラスを二分割して進めるため、少人数でのきめ細やかな指導が実施されています。国際コースでは、中学二年生から毎週一時間、第二外国語を学ぶことが可能です。音楽や美術の授業も英語で行い、イマジネーションを養います。2023年度からは「U.Sデュアルディプロマプログラム」も希望できます。これは江戸川女子中学・高等学校に通いながら、アメリカの名門高校卒業資格がとれるオンラインプログラムです。
安心してわが子を通わせられる学習サポートの手厚さも、江戸川女子中学校の魅力です。中学1年生は、月曜日の5限目に隔週で英語・数学の補習を行っています。また、一~五年次まで夏休みに十日間(六年次は二十日間)、冬休みに四日間の夏期・冬期講習を行って、生徒の勉強をサポートしています。朝のホームルームに主要教科の小テストをするといった取り組みもあり、学力の定着化が図られています。
江戸川女子中学校の入試概要
江戸川女子中学校の入試について見ていきましょう。
2023年度の入試の倍率
2023年度の倍率(小数点第二位以下は四捨五入)は以下のとおりです。一般四科入試第1回は1.7倍、一般四科入試第2回は1.8倍、一般四科入試第3回は2.1倍、AO入試二科は1.6倍、AO入試三科は1.9倍、一般英語特化型入試は1.0倍、一般二科入試は1.6倍でした。同じ一般四科入試でも合格倍率が変わってくることがわかります。
2024年度入試
11月23日午前に帰国生英語特化型入試、同日午後に帰国生基礎学力型入試を実施します。一般四科入試は2月1日、2月2日、2月3日です。適正検査型入試は2月1日午後で、一般基礎学力型入試(旧AO入試)は2月1日午後と2月2日午後の二日間。一般英語特化型入試は2月2日午前、追試験基礎学力型入試と追試験英語特化型入試は2月10日午前というスケジュールになっています。なお、追試験は、本来の予定日に受験できなかった場合に受けます。諸事情で複数の入試が受けられなかったとしても、追試を受けられるのは一回だけです。改めて受験料を支払う必要はなく、受験番号もそのまま使えます。
帰国生英語特化型入試 | 11月23日午前 |
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帰国生基礎学力型入試 | 11月23日(午後) |
一般四科入試 | 2月1日、2月2日、2月3日 |
適正検査型入試 | 2月1日(午後) |
一般基礎学力型入試 (旧AO入試) | 2月1日(午後)、2月2日(午後) |
一般英語特化型入試 | 2月2日(午前) |
追試験基礎学力型入試 追試験英語特化型入試 | 2月10日(午前) |
一般入試以外の試験はどんな内容?
江戸川女子中学校の一般入試は四科ですが、それ以外の試験の内容はさまざまです。
帰国生英語特化型入試・一般英語特化型入試・追試験英語特化型入試では「Reading」「Grammar」「Vocabulary」「Listening」「Writing」が問われます。難易度は英検二級レベルに設定されています。面接は日本語と英語の両方です。
帰国生基礎学力型入試と一般基礎学力型入試(旧AO入試)では国語と算数を受け、三科の場合は英語も含みます。適正検査型入試は適正検査をⅠ~Ⅲまで分けて受けます。追試験基礎学力型入試では国語と算数のみです。
江戸川女子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
江戸川女子中学校における4科型の出題傾向を紹介します。
国語は漢字で着実に得点を
制限時間は50分で配点は100点です。ここ数年は大問一、大問二の両方で漢字を書かせる問題が出ています。大問一は読み仮名に対し、漢字を書かせる問題です。大問二は、四字熟語の一字を空欄にするなど、語彙力を問いながら漢字を書かせます。大問三は物語文の読解、大問四は説明文からの出題です。読解の大問でも、慣用句や熟語の知識が問われます。
算数は小問が多い
制限時間は50分で配点は100点です。大問は四つで、大問一は計算と小問集合、大問二以下は単元別の出題となります。大問一では計算は二問だけで、残りはすべて小問です。小問は十問近く出題されるので、スピーディーに解き進める必要があります。出題傾向は毎年非常によく似ていて、頻出単元としては食塩水、速さ、数の規則性、平面図形、立体図形、場合の数などが挙げられます。
理科は問題文が長め
制限時間は35分で配点は75点です。理科は大問四つで生物・化学・地学・物理各分野からの出題になります。会話文形式の出題など問題文が長めの傾向で、ひとつの大問あたりの問題数も多いです。また、選択問題が多めですが、計算、作図、記述といった問題も出題されます。実験や観察の問題がよく出るので対策するとよいでしょう。
社会は時事含め各分野から出題
制限時間は35分で配点は75点です。社会は大問四つで地理・歴史・公民・時事問題からの出題になります。2023年度は大問一・二が歴史、大問三が地理、大問四が公民と時事問題という構成です。社会では正誤判定問題が数多く出題されます。中には、誤っている文をア~エから選び、すべて合っている場合は「オ」と答える出題形式があります。必ず誤りがあるわけではないので、解く側は注意して問題に臨みましょう。
- 記述問題が多いため、過去問を通して慣れておく必要がある
- 特に算数・理科はスピードが必要になる
江戸川女子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
江戸川女子中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
漢字のとめはねはらいに注意
大問一と大問二で漢字を書かせる問題が出るため、減点されない字を書けるようにしておく必要があります。きれいな字でなくてもよいので、丁寧に書く習慣をつけましょう。
語彙に早いうちから取り組む
ここ数年は大問二で、語彙力を問う形式で漢字の問題が出題されているため、早いうちから語彙を覚えることをおすすめします。テキストや問題集に出てくる意味を知らない言葉は、調べて書き込んでおきましょう。
四、五年生であれば、語彙ノートを用意して、言葉と意味をまとめておくことをおすすめします。意味の部分だけ隠せるようなノート作りをして、単元ごとに知らない言葉を覚えていくとよいでしょう。しかし、六年生になるといちいちノートに書き出している時間もないので、まとめ教材を使って語彙を頭に入れることをおすすめします。チェックペンを引いてシートで隠して覚えます。口頭だけで確認するのではなく、漢字部分は書けるように練習しておいてください。
物語文と説明文の記述問題対策を
江戸川女子中学校では読解文がふたつ出ます。ここ数年の過去問では物語文と説明文が出題されているので、どちらも解けるようにしておきましょう。難易度自体はそこまで高くありません。ただし、記述問題が多めで字数内にまとめる力が要求されるため、記述問題の練習をしておいてください。特に文末表現を正確に書かなければ減点されるタイプの問題がよく出ます。設問に対し正確な文末表現を選ぶのが苦手な子供は多いです。改めて確認しておきましょう。
- 漢字は丁寧に書く習慣を付ける
- 「語彙ノート」を作って語彙力アップに努める
- 記述問題対策は欠かさない様にする
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
小問集合で確実に点を
算数は小問集合の量が多いのが特徴です。いかにきちんと基礎を仕上げているかでとれる点数が変わってきます。基礎レベルの問題が並んでいるので、ケアレスミスのないように一問一問解いていきましょう。できれば、スピーディーに解けるようにして、見直しの時間を確保したいところです。
算数は出題傾向がわかる過去問を
算数の出題傾向は毎年はっきりしていて、食塩水、速さ、数の規則性、平面図形、立体図形、場合の数などがよく出ます。頻出単元はどこか、どういう形式で出題されているかを確認するために過去問をやりましょう。過去問を解き終えたら、問題集で同じ単元を探してやり込んでください。類題を解く際には、テストの時間配分を想定してチャレンジするとよいです。自力で解けるところまで仕上げていきましょう。
場合の数や数の規則性
「場合の数」「数の規則性」から、よく出題されています。書き出せば解ける問題、考え方に工夫が必要な問題などさまざまですが、解き慣れていないとどう解くかの判断に時間がかかってしまうでしょうから、問題集をやり込んでおいてください。
立体図形・平面図形
図形の問題も立体・平面を問わずよく出ます。立体は水槽の問題や切断の問題、平面は図形が動く問題がよく出題されています。図形は大問一の小問集合でも大問二以降の問題でも出題されるので、集中的に対策しておきましょう。
- スピードを意識して解き進める練習をする
- 過去問をやり込んで出題傾向と時間配分を把握する
- 図形は集中的に対策する
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
記述の問題に対応できるように
江戸川女子中学校の理科は記述問題が多いです。特に実験の過程を説明させたり、なぜその現象が起きるのか理由を説明させたりする問題がよく出ます。そのため、要点をおさえて短い文章にまとめる力は必要です。また、国語と同様、理由を聞かれた際の文末表現「ため」「から」に注意しましょう。
計算問題が解けるように
理科では計算問題も頻出です。必ずしも問題集に載っている計算だけではなく、テーマに基づいてその場で考えさせるタイプの計算問題が出題されるケースもありました。ただし、内容自体はそんなに難しいわけではないので、問題から解くヒントを読み取るようにしましょう。
問題文の長さに対応できるよう
会話形式をはじめ、ボリュームのある問題文が多いです。記述問題も多く、35分ですべてを解こうと思うと相応の速度が要求されます。そのため、要点を押さえて読む癖をつけましょう。重要なワードや数字に下線を引きながら読むと、見直すときに楽です。
- スピードを意識して問題を解く習慣付けをする
- 問題文の要点を押さえる術を身に付ける
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
用語は漢字で書けるように
用語を問う問題が多く出ます。漢字で書かなければならない用語は、きちんと書けるよう仕上げてください。
正誤判定問題では人物にまつわる問題が頻出
社会では正誤を判定する問題が非常に多く出ます。中でも歴史上の人物の生まれや出来事を問う問題が多いです。歴史上の人物の背景は掘り下げて覚えておくようにしましょう。問題集の要点チェックで用語を押さえたら、今度は用語を見ながら意味や背景を説明できるよう練習しておくとよいです。なお、正誤判定問題において、問題のバリエーションはさまざま。選択肢の中から誤りを見つけるもの、すべて正しい場合もあるものなどが混在します。問題文をよく読んで、前の問題と同じ形式だと決めつけないようにしましょう。
記述問題を書けるように
過去には、ある条約が結ばれたことでどんな影響があったのかを簡潔に説明させる問題が出ました。用語だけを覚えているとこういう問題は解けないので、用語の中身をきちんと理解しておくようにしましょう。問題集で要点をチェックする際、設問を見て答えを当てるだけではなく、答えを見て設問を当てられるようになるとよいです。
- 用語や人物は背景を掘り下げて覚える
- 問題文の読み落としに注意する癖を付ける
江戸川女子中学校で合格するためのヒントは過去問に
国語は語彙と漢字を固め、その上で読解対策をしましょう。算数は大問で出題される問題は傾向がはっきりしているので、いかに過去問を研究し対策するかが問われます。理科は時間内で解ききれるよう時間配分に気をつけたいところです。問題文が長くても要点を押さえて読む癖をつけ、見直しまで時間を回せる解き方を目指してください。社会は正誤判定問題が多く出ます。人物や出来事の背景を押さえておきましょう。
江戸川女子中学校の入試は全体的に記述問題が多めです。ただし、長い文章を書くようなものではなく、指定字数内に短く要点をまとめるような問題が出題されています。そのため、科目を問わずキーワードを落とし込む技術を身につけましょう。
過去問の研究を疎かにしない姿勢が合格のカギです。頻出単元の確認をし、類題をたくさん解いておきましょう。本番で悔いなく解けるよう時間配分のイメージトレーニングをしておいてください。