慶應義塾湘南藤沢中等部の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

慶應義塾湘南藤沢中等部の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

慶應義塾湘南藤沢中等部は、慶應義塾の擁する三つの中学校のうちのひとつで、この中では唯一、中高一貫制を採用している学校です。この記事では慶應義塾湘南藤沢中等部を目指す家庭に向けて、各科目の勉強法を紹介します。

そもそも慶應義塾湘南藤沢中等部ってどんな学校?

そもそも慶應義塾湘南藤沢中等部ってどんな学校?

慶應義塾湘南藤沢中等部は、その名のとおり神奈川県藤沢市にある慶應義塾の中学校のひとつです。神奈川県下でも偏差値の高い共学校であり、自由で明るい雰囲気が愛されています。中高一貫校で慶應義塾大学へと内部進学させたい家庭にとって、魅力的な学校です

自主性を重んじている校風で、厳しい校則で生徒を縛り付けるようなことはありません。生徒たちが自分で考え行動しています。制服に関しても、通学時はスラックスあるいはスカートは学校指定のものを身に着けなければなりませんが、他は清潔で活動的なものであればよいという考え方です。慶應義塾湘南藤沢中等部は、自由な空間の中で、自己責任や社会的責任についての自覚を身につけてほしいと願っています。

生徒たちは多様で、中等部には一般入試や帰国生入試の合格者、横浜初等部や幼稚舎からの内部進学生がいます。帰国生入試を導入しているだけあって、英語教育には注力していて、その先進的なカリキュラムへの評価は高いです。英語教育としては、学内で受け入れている短期留学生との交流、日本文化のプレゼン、英字新聞の記事についてのディスカッション、映画やドラマといったコンテンツを用いた会話表現の紹介、社会問題への意見や解決策を書くエッセイの課題などさまざまなアプローチが採用されています。

慶應義塾湘南藤沢中等部の入試概要

慶應義塾湘南藤沢中等部の入試概要

慶應義塾湘南藤沢中等部の入試について見ていきましょう。

2023年度の入試倍率

一般入試では、受験者405人に対し合格者86人であるため倍率は4.7倍です。

2024年度の入試

募集人数は一般入試70名、帰国生入試30名です。一般入試でも帰国生入試でも、受験科目は国語・算数・理科・社会の四科目か、国語・算数・英語の三科目のどちらかを選べます。なお、四科目でも三科目でも国語と算数の試験問題は同じです。一般入試で英語を受ける場合、最低でも英検準二級はないと厳しい内容となっています。

Web出願システム登録期間は2023年12月1日からとされています。出願書類郵送受付期間は2024年1月6日から1月13日必着。受験票印刷期間は2024年1月24日からです。入学検定料は30,000円で、一次試験は2月2日、一次試験の合格発表が2月3日、二次試験が2月4日、合格発表が2月5日というスケジュールが予定されています。

なお、二次試験には体育保護者同伴の面接があります。二次試験は一次試験合格者のみが受ける仕組みで、体育の試験は特に事前準備を必要とはしていません。種目は毎年変わっていて、近年は立ち幅跳びやソフトボール投げが多いです。運動神経ではなく指示に従えるかどうかといったことを見ているようです

慶應義塾湘南藤沢中等部における国語・算数・理科・社会の出題傾向

慶應義塾湘南藤沢中等部における国語・算数・理科・社会の出題傾向

慶應義塾湘南藤沢中等部の一般入試における国語・算数・理科・社会の出題傾向を紹介します。

国語は知識問題が多い

制限時間は45分で配点は100点です。大問は四つ。大問一は漢字等の知識問題、大問二は説明文や随筆、大問三は物語文、大問四は短い論述です。選択問題もあれば記述問題もあります。

慶應義塾湘南藤沢中等部の国語では、読解文が紙面の大半を占めているため、「読解中心のテストだ」という印象になりがちです。実際ボリュームたっぷりで、一万字近い分量の読解文が出題されるため、速読を身につけなければ時間内には解ききれません。しかも、2023年度は設問数も大きく増えていて、いかに素早く処理できるかが問われる構成となりました。

一問一問見ていくと、実は読解の大問の中にも知識問題が散りばめられていることがわかります。知識問題を解くためには語彙力が必要です。

算数は規則性の問題が多い

制限時間は45分で配点は100点です。大問は六つで最初の二つは小問集合です。小問集合の難易度は低く設定されています。

問題は後半です。難易度は決して易しくありません。2023年度の場合、大問三は立体図形、大問四は平面図形、大問五は流水算、大問六は条件整理でした。ここ数年の過去問を振り返ると、図形と規則性は頻出単元といえます

理科は時間との勝負

制限時間は25分で配点は50点です。大問は四つで、生物・地学・化学・物理の各分野から出題されます。問題文にボリュームがある大問もあるため、25分で解こうとすると素早い処理が必要です

昆虫や植物、人体、気象や天体、力のつり合いあたりは頻出単元と言えます。観察や実験の問題もよく出題されます。図やグラフを用いた問題が多いです。選択問題が中心ですが、記述問題も出題されます。

社会は細部まで理解を

試験時間は25分で配点は50点です。大問は七つ。大問七つを25分で解かなければならないとなると、あまり考えている時間はありません。ただし、これでも近年問題数は減少傾向にあり、大問の数はこの五年間変わっていませんが、全体の分量はコンパクトになりました。

範囲としては、地理・歴史・公民・時事の各分野から出題されます。問題の難易度はそれなりに高く、基本的な用語をただそのまま問うような問題は少ないです。選択肢の文章の中から「適当なもの」を選ばせる問題が多く、出来事の細部まで理解していないと引っかかってしまいます。中には「適当でないもの」を問う問題もあり、注意して読み込まなければなりません。

ポイント
  • どの科目も問題数に対して時間がとてもタイト
  • 正確に解き進める能力が必要

慶應義塾湘南藤沢中等部に合格したい。どんな勉強が効果的?

慶應義塾湘南藤沢中等部に合格したい。どんな勉強が効果的?

慶應義塾湘南藤沢中等部に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

知識問題で得点をとるために語彙を増やそう

熟語、四字熟語、慣用句やことわざ、故事成語、類義語や対義語などを広く覚えましょう。問一の知識問題ひとつとっても、年度によって出題傾向は異なります。広範な知識を確実に身につけ、対策しなければなりません。

過去には、慣用句をベースに漢字を書かせる問題が出題されています。その慣用句が一般的にネガティブとポジティブどちらの意味合いで使われるかも答えなければなりませんでした。ただ丸暗記しただけでは解きづらい問題です。

語彙は、まとめ教材をやり込んでとりこぼしのないようにしてください。まとめ教材に載っていない語彙の知識は、通常の問題を解き進める中で増やしていきましょう。

速読ができないと間に合わない

中学受験では一万字近い出題をする難関校がいくつかあり、慶應義塾湘南藤沢中等部もそのひとつです。とにかく分量が多いので、読んでいるだけでかなり時間がかかりますし、読み直す時間はありません。読むのが遅い自覚がある場合、早めに改善する必要があります。

問題を解く際にタイマーをかけて時間を意識するところから始めましょう。四年生ぐらいなら読書に割く時間もある程度とれるでしょうから、できるだけ多くの本を読み慣れておくことをおすすめします。速読と読み飛ばしをはき違えている子供もいるため、その点は注意が必要です。

考察論述問題は対策しておこう

慶應義塾湘南藤沢中等部の国語で一番個性的な点は、最後に考察論述が出題されるところです。2023年度は『砂糖税』に対する反対論述でした。年度によって字数はまちまちですが、150字程度の指定字数に収まる文章を書かなければなりません。テーマも年度によって変わります。面白いテーマから硬派なテーマまで、広く扱う問題です。
過去問をやり込んで、指定字数内で論述する力を養いましょう。

慶應湘南藤沢の国語対策
  • まとめ教材をやり込んで語彙を増やす
  • 速読は必須で出来るようにする
  • 考察論述は過去問でイメージトレーニングをする

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

頻出単元の対策をしよう

頻出単元としては図形と規則性が挙げられます。特によく出るタイプとしては、立体図形に水を入れる問題、平面図形に折り目をつけて面積を求める問題などがあります。

規則性の問題は年度によって内容も難易度もバラバラです。難易度によっては解法の糸口が見えづらく、大幅にタイムロスをする傾向があります。制限時間内に解くためには、演習問題を数多くこなし、できるだけ早く解法にたどり着ける力の育成が必要です

難易度の低い序盤は確実に。後半は見抜く目を

算数の場合、難易度が低い大問が最初のほうに配置されています。そのため、基本的に算数の問題は前から順に解いていくのが効率的です。恐らく大問二もしくは大問三ぐらいまではスラスラ解けるのではないでしょうか。問題は後半です。難易度が上がってくるとそれだけ時間もかかります。確実に解けそうな単元はどれかを見極めて優先順位を決めましょう。

大問ではミスの連鎖に気をつけて

ひとつの大問につき、約三問の問題が用意されています。そのため、一問目で誤答すると、二問目三問目と続けてミスをすることになりかねません。ミスの連鎖を起こさないよう、慎重に臨みましょう。

そうはいっても、じっくり見直す時間を取るのは難しいので、いかにケアレスミスをしないかが大切です。一問一問慎重に解いて、正答にたどり着けるようにしましょう。

慶應湘南藤沢の算数対策
  • 演習問題をこなして解法を早く導き出せるようにする
  • 後半で一気に難易度が上がるので、優先順位を決める練習をする
  • 特に1問目は正確に解き進める

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

観察や実験の演習問題を

観察や実験の問題が出やすいです。テキストの説明をよく読み込んで、器具の名前から観察実験内容結果までを説明できるようにしましょう。さまざまな出題パターンを押さえておいてください。

途中に難しい大問を挟むことも

理科は難易度順の出題ではありません。途中で難しい大問にぶつかった場合は思いきって後回しにしてください。時間がタイトなので、解く順番も大切です。

絵や図表、グラフが多い

慶應湘南藤沢中等部の理科には絵や図表、グラフを手掛かりに思考を深めて解く問題が多く出題されます。思考力を問う問題では、知識があること大前提です。六年生の夏休みを生かして、基礎力を固めましょう。

身近な「理科」にも注目を

「アイスクリームを買ったときのドライアイス」「ペンのインク」など身近なものから理科について考える問題が出題されています。過去問を解いて、こうした出題にも慣れておきましょう。

頻出単元をやり込もう

天体や気象、人体、植物、昆虫、力のつり合いあたりはよく出ます。中でも、天体気象力のつり合いあたりは、グラフと関連づけた出題が多いです。基礎知識を固めた上で、演習問題をたくさんこなし、解けるようにしましょう。

慶應湘南藤沢の理科対策
  • とにかく時間がタイトなので解く優先順位を付ける習慣を付ける
  • 「絵」「図表」「グラフ」にとにかく慣れておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

地図やグラフに慣れておこう

一問一答のような単純な問題ではなく、地図やグラフから情報を読み解かなければならない問題がたくさん出題されます。つまり、覚える時点で、できる限り地図やグラフとセットで頭に入れておかないと、厳しい時間制限の中で得点するのが難しくなります。

地理は忘れやすいので復習を

地理は最初に取り組む社会の分野ですから、忘れている内容をいかに復習するかがカギとなります。複数の分野および単元から横断的に出題される問題もあるので、ひとつひとつ切り離して覚えるのではなく、白地図に書き込みながら紐づけて覚えていくとよいでしょう。

必ず問題文に線を引く

「最も適当なもの」「最も適当でないもの」を選ぶ問題では、引っかからないよう解く際、問題文に下線を入れる習慣をつけておきましょう。

慶應湘南藤沢の社会対策
  • 地図とグラフは必ずセットで覚えていく
  • 複数の分野、単元を横断的に覚えていく

慶應義塾湘南藤沢中等部は時間制限がタイト

慶應義塾湘南藤沢中等部は時間制限がタイト

慶應義塾湘南藤沢中等部は時間制限がタイトです。問題が多いのに、解く時間が少ないため素早く確実に処理できる能力が求められます。

国語は読解文の字数が多く、解くのに時間がかかります。考察論述対策も必要です。算数は解法が複雑な問題も出題されるため、やはり時間内に解き終えるのが大変です。理科、社会はどちらも25分しかないのに問題数が多く、処理が追い付きません。

正確に素早く解くためには、頻出単元を中心に勉強をしておくことです。国語では語彙をはじめとする総合的な知識を身につけ、算数では平面図形、立体図形、規則性をやり込んでください。理科では天体や気象、人体、植物、昆虫、力のつり合い、社会では地図やグラフの読み方から取り組むとよいでしょう。

処理に時間がかかる問題もありますが、焦りは禁物です。過去問をやり込んで、イメージトレーニングをしておいてください。


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