• 2022年5月24日
  • 2024年4月1日

サピックスに転塾する前に。教材・テスト・クラス分け事情を知っておこう

サピックスに転塾する前に。教材・テスト・クラス分け事情を知っておこう

首都圏で最難関校レベルの中学受験を考えているのであれば、誰もがサピックスを検討することでしょう。サピックスは高い実績を有する塾で、中学受験塾業界にその名を知らしめています。この記事では、サピックスに入塾、あるいは転塾をする前に、知っておきたい教材・テスト・クラス分け事情について説明します。

サピックスで使う教材ってどんなもの?

サピックスで使う教材ってどんなもの?
サピックスで使う教材とはどんなものなのでしょうか。

サピックスで使う主な教材の紹介

サピックスで使う主要な教材を見ていきましょう。

デイリーサピックス

「デイリーサピックス」は、テキストの位置づけです。授業ごとに用意されている小冊子で、低学年のうちは紙面にイラストがたくさん取り入れられています。一見して、「ちゃれんじ」などの通信教育の教材を連想するかもしれません。しかし、問題のレベルはさすがサピックス。たとえば、一年生から始める子供には、ひらがなが読めることを前提とした読解問題だったり、条件を理解しなければ解けない算数問題だったりが用意されています。

基礎力トレーニング

「基礎力トレーニング」は毎月配布している算数の教材です。いわゆるドリルで、一ページ十問で基本的な問題が出題されています。一ページあたり五分から十分と短時間でできるため、継続しやすい教材です。

チャレンジサピックス

三年生から配布される教材です。算数の場合は計算問題に特化した内容で、国語の場合は基本的な知識の確認ができます。チャレンジサピックス授業用基礎力トレーニング家庭学習用で使い分けができます。

コアプラス

難関校に挑むにあたり、理科と社会の基礎知識を固めるために使う問題集です。小学五年生から使い始めます。何度も繰り返し解くことで知識の定着化を図ることが可能です。

言葉ナビ

その名のとおり言葉を覚えるための一冊です。受験に必要な語彙力を身に付けることができます。

管理が大変で有名なサピックスのテキスト

サピックスのテキストは、よく「管理が大変!」と親たちから嘆かれています。分冊型で、授業ごとにその都度、プリントやテキストを配布するスタイルを採用しているからです。
たとえば、ほかの大手中学受験塾のテキストは、一年間で上下巻のスタイルが多く、管理に手間はかかりません。

中学受験における勉強は反復によって成り立ちます。そのため、膨大なテキストはファイリングするだけではなく、間違えた問題ややり直したい問題がどこにあるかすぐにわかるように管理しなければならないのです。

サピックスの配布物の管理は、子供だけではなかなかできるものではありません。そのため、親にかかる負担はどうしても大きくなりがちです

絶えずアップデートされ続けるテキスト

配布物管理はたしかに大変です。しかし、その背景には、テキストを時代に合わせて臨機応変に作り変えていくサピックスならではの即時性があります。たとえば、四谷大塚の「予習シリーズ」は2021年度に十年ぶりの改訂で話題になりました。もちろん十年間なにも手をつけなかったわけではなく、とりわけ社会のような時代が反映される科目では、小さな改訂が行われ続けています。

大きな改訂は頻繁にできることではありません。しかし、授業ごとにテキストを用意するサピックスは、常時新しい出題傾向を反映することができます。その臨機応変さが高い合格実績とつながっていることは、間違いありません。

デイリーサピックスの内容はデイリーチェックで復習

サピックスで使う分冊型テキストは、「デイリーサピックス」と呼ばれています。デイリーサピックスがただやりっぱなしにならないよう、次の授業の冒頭で、いわゆる小テストの位置づけの「デイリーチェック」を行っています。

学年ごとの教材の違い

サピックスでは、学年が上がるごとに使う教材も変わってきます。

一年生の教材とカリキュラムのコンセプト

算数

使用教材はデイリーサピックスと基礎力トレーニングです。
「算数嫌い」の子供を作らないような工夫がされています。数の不思議や面白さをいかに知ってもらうかにコンセプトを置いています。

国語

使用教材はデイリーサピックスです。
物語を通してたくさんの感動体験を育んでもらうことを目的としています。文章に親しむところからスタートです。

二年生の教材とカリキュラムのコンセプト

算数

使用教材はデイリーサピックスと基礎力トレーニングです。
自分なりに試行錯誤して問題を解いていく力を育みます。ただ難しいだけでは子供に敬遠されてしまうため、ゲームをしているように楽しめる授業を提供しています。

国語

使用教材はデイリーサピックスです。
国語の授業では物語文を中心に扱い、文章をしっかり読み込む力話の展開・状況を理解する力を育みます。

三年生の教材とカリキュラムのコンセプト

算数

使用教材はデイリーサピックス、チャレンジサピックス、基礎力トレーニングです。
子供たちの関心をひくため、身近な出来事を題材に絡めて考えていきます。

国語

使用教材はデイリーサピックス、チャレンジサピックスです。
子供たちが親しめる物語文を中心に、そこになにが書かれているのか、流れをつかめるよう、切り分けながら学んでいきます。人物の感情を把握できるようにします。

理科

使用教材はデイリーサピックス(サイエンス・ウォッチ)です。
自然や現象に対して、科学的な視点を持つための基礎固めを行っていきます。ただ暗記するのではなく、疑問を出発点に演示実験などを通して納得できるような授業を提供しています。

社会

使用教材はデイリーサピックス(ソシオ・スコープ)です。
日本は土地ごとにさまざまな特徴を持っています。気候の違いや土地利用の違い、地方特有の生活様式などを学び、日本の大まかな姿を頭の中に描けるようにしていきます。

四年生の教材とカリキュラムのコンセプト

算数

使用教材はデイリーサピックス、基礎力トレーニング、基礎力定着テストです。
基礎学力を定着化させる大切な時期であり、計算力の強化が課題です。算数的な考え方を身に付けることや、思考力を養うこと、「ひらめく力」や「直観力」を育てることが大切となります。

国語

使用教材はデイリーサピックス、言葉ナビ(知識学習用教材)です。
四年生では三つの世界との出会いを得ることを大切にしています。「未知の言葉と出会う世界」「主体的に読む姿勢を発見する世界」「長文を読解し、自分なりの答案を記述する世界」です。

理科

使用教材はデイリーサピックスです。
関心を持ってもらえるよう、四年生では目に見える現象を中心に学習を進めていきます。身のまわりに着目することで、その先の原理やしくみを考えられるようなカリキュラムです。

社会

使用教材はデイリーサピックス(ソシオ・スコープ)です。
四年生では地理分野を中心に進めます。地図の読解や行政区分、重要地名、気候や産業の特色などをわかりやすく学んでいきます。

五年生の教材とカリキュラムのコンセプト

算数

使用教材はデイリーサピックス、デイリーサポート、基礎力トレーニング、基礎力定着テストです。
五年生までに中学受験で必要な範囲は全て終わらせるスケジュールです。五年生の算数では、記号を用いた問題にも対応できるよう抽象的な思考を深めていきます。

国語

使用教材はデイリーサピックス、言葉ナビ(知識学習用教材)です。
受験に必要となる言葉や知識、読解問題を解く手順を学んでいきます。読むこと・書くことの両方を深めていきます

理科

使用教材はデイリーサピックス、理科コアプラスです。
理科も五年生で受験に必要な範囲は全て網羅します。六年生でより応用的な内容に対応できるよう基礎を固めます。

社会

使用教材はデイリーサピックス、社会コアプラスです。
夏期講習終了時までに地理への理解を固め、歴史分野の学習を九月から始める流れになります。

六年生の教材とカリキュラムのコンセプト

算数

使用教材はデイリーサピックス、デイリーサポート、ウィークリーサピックス、サンデーサピックス、基礎力トレーニング、基礎力定着テストです。
プリント教材での授業がメインとなります。受験本番になるべく近づけた形で問題に取り組むためです。問題処理能力と正確に解ききる力を高めていきます。

国語

使用教材はデイリーサピックス、ウィークリーサピックス、サンデーサピックスです。
六年生の授業ではA授業とB授業と志望校別特訓をメインに勉強を進めていきます。
A授業は入試に向けた知識問題の反復練習や読解の基本的な手順の学習をしていきます。そうして読解の基礎力を固めた上で、B授業では長文読解に挑みます。実践的な取り組みを通して中学受験で合格を勝ち取る力を養います

理科

使用教材はデイリーサピックス、ウィークリーサピックス、サンデーサピックス、理科コアプラスです。
一学期と夏休みは基礎力固めに注力し、九月以降入試に向けた実践的な問題に挑みます。

社会

使用教材はデイリーサピックス、ウィークリーサピックス、サンデーサピックス、社会コアプラスです。
夏休み前までに受験に必要となる分野をすべて学習します。社会は常に新しいデータや話題が反映される科目であり、既存の問題集だけではカバーしにくいです。サピックスでは、講師陣によって問題集だけでは追いつかない内容も授業に取り入れられています。

知っておきたいサピックスのテストやクラス分け

知っておきたいサピックスのテストやクラス分け
サピックスのテストやクラス分け事情についても知っておきましょう。

サピックスのテストの仕組みとは

サピックスに入塾するためには、最初に入室テストを受けます。その後、合格して無事入室できたあとも、授業の定着度を測るためにさまざまなテストを受けなければなりません。具体的には以下のとおりです。

コースの昇降があるテスト

組分けテスト(全学年)
マンスリー確認テスト(四・五・六年生)
マンスリー実力テスト(六年生)
確認テスト(一・二・三年生)

コースの昇降がないテスト

復習テスト(全学年)

各テストの概要について

組分けテスト

組分けテストは年三回あります。日曜・祝日に実施される実力テストです。

マンスリー確認テスト

授業内容の定着度を測るために授業時間を利用して行います。

マンスリー実力テスト

六年生の後期に行われるテストです。

確認テスト

組分けテストと同じで、定期的に実施します。理解度を確認するためのテストです。

復習テスト

授業の理解度を確認することを目的とするテストです。

サピックスのクラス分けの仕組みとは

サピックスは大手ならではの競争の激しさがある塾です。緊張感をもって勉強に臨めるよう、定期的にクラス分けを行っています

上位クラスはαクラスと呼ばれ、サピックスに通う子供の多くがこのαクラスを目指していますが、もちろん入れない子供もたくさんいます。αには及ばないクラスをアルファベットクラスといいます。
アルファベットクラスは下位からA・B・Cという順番です。よく逆と勘違いされますが、Aのほうが下位です。

なお、αの中でもα1、α2……と成績のよかった順で番号も振られています。クラス替えは組分けテストやマンスリーテストの点数をもとにして行われます。
クラスの数は校舎の規模が反映されるため、各校舎によってばらつきがある状態です。

サピックスについてよく知ろう。合う塾かどうかの見極めが大切

サピックスについてよく知ろう。合う塾かどうかの見極めが大切
サピックスは中学受験塾業界において、その名を響かせる優秀な塾です。その高い合格実績の背景には、講師の手によって絶えずアップデートされている優秀なテキストがあります。
優れているのはテキストだけではありません。問題集も充実していて、サピックスの高い実績につながっています。

サピックスは難関校以上、とりわけ最難関校レベルを受ける多くの子供にとっては最適な塾です。質の高い講師、質の高いテキスト、熾烈なクラス分け、競争意識からの緊張感、長年のノウハウ、さまざまなものがそろっています。しかし、万人受けする塾かといえば決してそうではありません。基本的に難関校以上を目指すための塾ですし、上位校以下を目指すのであればサピックス以外にもたくさんの選択肢があります。

事前にサピックスについて詳しく知り、我が子にとって合うか合わないかをよく考えた上で入塾・転塾を決めてください。
サピックスは復習型の塾で、家庭学習に重きを置いています。親が伴走者となり、勉強や教材の管理をフォローしなければならない塾ですから、子供のみならず親にとって合う塾かどうかもよく考えることが大切です

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