進級を控えた春休みの間、どのように勉強したらよいかで悩んでいる家庭も多いことでしょう。春休みは理解の怪しい単元を復習するチャンスです。新しい学年を迎える前に、実力を固めて勉強を軌道に乗せましょう。この記事では、小中学生の春休み中の勉強法について紹介していきます。
勉強についていけなくなりそうだと気づいたら
子供の勉強への理解が怪しいと気づいたら、早めにサポートしてあげましょう。
子供と現状を共有しよう
勉強に関して不安要素を抱えたまま、なしくずしに新学年を迎えてしまうのはよくありません。まずは子供と現状を共有する時間を作りましょう。勉強において遅れをとっている自覚はあるのか、自分なりの打開策はあるのかをヒアリングしてみてください。ヒアリングするのはできれば、春休み前のほうがよいです。そのほうが春休みを目いっぱい活用する計画を立てやすくなります。
ヒアリングをせず頭ごなしに「勉強しなさい」と叱りつけてしまうのはおすすめしません。子供には自尊心があります。たとえ子供本人に「最近、ちゃんと勉強できていないな」という自覚があったとしても、自分より強い立場にある親から一方的に指示されるのは面白くないものです。
まずは子供の目線に寄り添って話を聞いてみましょう。子供の言い分ですから、聞いていてイライラすることもあるはずです。それでも、小言を差し挟みたくなる気持ちは一旦脇に置いておきます。子供がひと通り話し終えるのを待ちましょう。
どうやって子供にヒアリングすればよいの?
たとえば子供が以下のように言ったとします。
「最近、算数が全然わからない。授業も聞き流している。このままだとまずいのはわかるけど、どこからやり直していいかもわからない。それで、余計に勉強する気になれない」
整理するのは親の役目です。あとから言った言わないでもめないよう、紙に話した内容を箇条書きでまとめます。
- 算数が全くわからない
- 授業も聞き流している
- このまま放っておくとまずい
- わからない単元が特定できない
- 特定できないせいで余計にやる気が出ない
書き出すと問題点がはっきりします。この例における抜本的な解決策は「わからない単元の特定」です。わからない単元を特定しやりこむことができたなら、授業にもついていけるでしょう。学校のテストを整理したり、問題集を遡ったりすれば、どこがわからないのかはっきりします。特定が難しい場合には、塾や家庭教師などの教育サービスに依頼してみてください。
ヒアリングの際に押さえておきたいポイント
ヒアリングをしても、どう答えてよいかわからず子供が黙ってしまうことがあります。いくつかのポイントに絞って質問してみましょう。
勉強に関する現状認識
子供が自分の置かれている状況をどうとらえているのかを把握しましょう。「成績が悪いから焦りを感じている」「点数はとれないが別にこのままでよい」「どうにかしたいがどうしたらよいのかわからない」など子供の率直な感想を聞いてみてください。
現時点での苦手な科目や単元について
現時点で苦手な科目や単元がどのぐらいあるのかを確認します。場合によっては投げやりに「わからない。ぜんぶ苦手」と言われるかもしれません。その際は過去のテストのミスを洗い出して、「ここで間違えてるね。今もわからない?」と確認作業を進めましょう。
短期的・中期的・長期的な目標を
春休み明け、一学期終了時、一年後の目標を決めます。「どのぐらいの成績を目指しているのか」「どの科目の克服を目指したいか」などです。この際、子供の側が提示した目標が荒唐無稽だったとしても否定しないであげてください。目標を決めるといっても最終決定ではなく、随時軌道修正していけばよいのです。ここで肝心なのは、目標を子供の口から言わせること。人は自分の言ったことであれば守ろうとします。
なお、目標として理想的なのは、「春休み中に新学年の予習まで一定程度終わらせること」ですが、余裕のある子供でないとなかなか難しいでしょう。まずは効率的に復習して、今のつまずきの原因をできる限り取り除いてあげることです。
目標を達成するためにはどんな取り組みが必要だと考えているか
勉強をどのぐらいやったら目標を達成できると考えているのかを聞いてみましょう。恐らく、大人が聞いたら「そんな甘いことを言って」と思うような答えが返ってくるはずです。
しかし、ここでも頭ごなしの否定は禁物。子供の答えを強引に修正すると、「じゃあなんでわざわざ質問したの?どうせ無理やり言うことをきかせるクセに」と反感を買ってしまいかねません。一旦子供の計画どおりやらせて、できないことを実感させてから「じゃあどうすればよいと思う?」と尋ねるのが理想的です。
しかし、公立進学予定の小学生ならまだしも、中学生ともなると試行錯誤している時間もあまりありません。そうこうしているうちに、ますます勉強についていけなくなります。子供が中学生の場合は、詰めの甘い計画案を提示されたら、「なるほどねー。じゃあ、実際できるかどうかシミュレーションしてみようか」と返してください。
たとえば子供から「一日5ページずつ問題集を進めていく」と提案されたとします。「5ページというページ数に過不足はないか」、「わからなくてつまずいた場合どうするのか」、「その5ページ内でミスした問題のやり直しはどうするのか」「他の教科との両立は可能か」など問題点を整理しましょう。
その際に、子供に対して「ほら! やっぱりできないでしょ?」と上から抑えつけるような態度をとらないことが大切です。多くの子供はカチンときて「じゃあやっぱりやーらない」と投げやりになってしまいます。あくまで対等な目線で検討している姿勢を見せましょう。
親が整理した問題点に対し、子供自らが「このままじゃ無理だ。計画を練り直さなきゃ」と気づきを得る方向に持っていくのです。
- 子供の率直な感想を聞く
- 苦手な科目・単元を確認する
- 目標は子供の口から言わせるように誘導する
- 子供の話を頭ごなしに否定するのは禁物
- 子供の目線に立って話を聞く
予定の少ない日に計画の立て直しを図ろう
春休みは平均で約二週間程度ですが、4,5日に一回、あえて予定の少ない日を作ることをおすすめします。予定を詰めすぎると計画の遅れに対してリカバリーが効きません。頑張って勉強しても計画どおりにはなかなか進行しないものですし、子供も計画を達成できないことで自信を失ってしまいます。計画達成の満足感をもって春休みを締めくくるためにも、予定の少ない日を組み込むことが重要なのです。計画達成後に得られる満足感は継続的な学習意欲にもつながります。
少し意外かもしれませんが、休み中にあえて予定の少ない日を作ってリカバリー出来るようにすることはとても重要なことなのです。
目標と計画が固まったら、実際にやってみよう
目標と計画が固まったら、実際に勉強を開始してみましょう。
勉強に集中できない子供にはどう対応するべき?
いざ勉強を始めたはよいものの、子供が勉強に集中せず困っている家庭もあることでしょう。その場合はどんな点を見直せばよいのでしょうか。
学習できる環境作りができていることが大切
座ったと思ったら立ってウロウロする、問題集を読んでいるのかと思えばぼーっとしているだけ、ちょっと休憩と言ったきり戻ってこないなど、あの手この手で勉強から逃れる子供はいます。しかし、そういう行動をする子供が本心から「サボりたい」のかといえば、必ずしもそういうわけではありません。
一見ちゃらんぽらんな行動をする子供の中にも、本心では「ちゃんと勉強したい」という思いを秘めている子がいます。「勉強したくても集中できる環境がないとついだらけてしまう」。これは大人でも理解できる心理ではないでしょうか。
まずは子供が勉強しやすい環境を親が用意してあげるとよいでしょう。勉強をするにあたっては、余計なものを周りに置かないことが大前提です。特にスマートフォンはどうしても気になって見てしまうので、勉強中は手の届かないところに置くルールを設けましょう。音楽を聴きながら勉強する子供がいますが、あまりおすすめしません。耳から入る情報にばかり注意がいくようであれば無音のほうがよいでしょう。
小学生のうちはリビング学習が定番です。中学生以降も子供が嫌がらなければリビング学習のほうが効率的でしょう。誰かの目があることで気を引き締めて臨める子供は多いからです。
ただし、リビング学習とひと口に言っても、テレビがついていたり私語が多かったり散らかっていたりする環境ではとても集中できません。また、子供のプライバシーを優先する姿勢も親子の信頼関係を築く上で大切です。その辺りは、家庭によって異なるところなので、一概にリビング学習が正解というわけではありません。
休憩回数が多くてもよい
すぐに休憩をとろうとする子供を見ると、ついイライラして「もっと集中しなさい!」と叱りたくなります。しかし、もしかすると、その子供は細かく休憩をとったほうが勉強がはかどるタイプなのかもしれません。たとえば、あらかじめ「20分やったら5分休憩」と無理のない配分を決めておくのもひとつの手です。ただし、休憩時間は厳守させましょう。一番いけないのは子供におし負けて、ダラダラとメリハリなく休憩させてしまうパターンです。
達成感を与えるための工夫をちりばめて
わからない問題ばかり解いていると、だいたいの子供は閉口します。うんざりするだけでなく自信も失ってしまいがちです。「わかった!」「できた!」という自信を持てるよう、勉強中にあえていくつか「できること」を取り入れるアプローチをおすすめします。
たとえば、学習開始時に前回の授業についての小テストをすると決めます。あえて簡単な問題をいくつか入れることで、子供に「解ける」という自信を与えるのです。親の側も「簡単だから解けて当然でしょ」という態度はとらないようにしてください。子供と一緒に「よかったね」と喜んであげましょう。
ちなみに、小テストをやる際には必ず制限時間を設けてください。子供の年齢や、問題数、問題の難易度にもよりますが、だいたい5分から20分の間がよいです。
時間に対する感覚を磨き二週間を無駄にしない
学習中、時計は見える場所に置いてください。加えて、タイマーを用いて勉強することをおすすめします。日頃から問題を解くときに時間を意識することは大切です。勉強の効率を上げるのはもちろんのこと、テスト本番での点数を大きく左右します。
よく子供にテスト慣れのために模試を受けさせることがあります。テスト慣れは、場の雰囲気に慣れることだけを意味するわけではありません。制限時間を念頭に置く訓練にもなるのです。低学年の子供が時間への感覚を磨くことで、テストで最後まで解き終えられるようになり偏差値が30以上上がったケースもあります。
中には、勉強時間さえ守っていればよいのだと、真面目に取り組まず「タイマーが鳴ったからおしまいね!」と言い出す子供もいます。「決められた内容が終わるまで、勉強は終わらない」と約束するようにしましょう。
しかし、そうはいっても思いのほか時間を食ってしまって、どうしても終えられない単元は出てくるものです。その場合は、中断して予定の少ない日に回します。多少の調整は加えるにせよ、決められた内容は春休み中に終わらせるという認識を子供に持たせるようにしてください。
時計を通して日々の学習時間を意識するようになれば、春休み全体の使い方にも意識が向くようになります。二週間程度しかない春休みをどう活用するか、どうすれば復習が間に合うのか親子で話し合いながら、進めていくようにしましょう。
春休みを活用するため子供と話し合いを
小中学生の春休みは約二週間と決して長くありません。効率的に勉強するために子供の意見をヒアリングし、目標を設定し計画を立てましょう。親の押し付けにならないよう、子供に目標を決めてもらってください。
具体的な計画を立てるにあたっては、詰め込みすぎるのではなく、計画の遅れをリカバリーできるスケジュールを目指すとよいです。なかなか勉強に集中できない子供も多いですが、そういう場合は原因を特定しなるべく集中できるような環境を整えてあげてください。
二週間という限りある時間をどう使うか、日々の学習を通して子供に考えさせる必要があります。時計やタイマーを用いて、残り時間を意識しながら問題をこなせるよう促していきましょう。
もちろん、親も忙しいですからなかなか子供のサポートばかりしていられません。その場合は家庭教師や個別指導といった教育サービスを活用することもできます。春休みは新学年に備える貴重な機会です。ぜひ有効に活用しましょう。