中学受験を目指すなら、志望校の文化祭に行ってみましょう。学校内の様子を知ることができる貴重な機会です。この記事では、志望校の文化祭で親子が見るべきチェックポイントを紹介します。
文化祭に参加する前に
文化祭に参加する前に知っておきたいポイントは以下のとおりです。
文化祭の季節は学校により違うので注意
文化祭が実施されるのは秋が多いです。しかし、春に実施する学校もあるため、自分の志望校がいつ文化祭を行っているのかをあらかじめ確認しておくようにしましょう。
予約制の学校はお早めに
文化祭では予約制を採用している学校も多いです。「一か月前から予約受付」「二週間前から予約受付」など予約開始のタイミングは学校によって違います。早めの予約を心がけましょう。受験希望者は別枠で予約を受け付けている学校もあります。その辺りの情報も確認しておきましょう。文化祭に行くタイミングは高学年でなくて構いません。学年が上がれば上がるほど、受験勉強が忙しくなってタイミングを逃します。
文化祭の日付や予約の有無を確認しよう
文化祭の日付は早いうちにホームページで告知されることが多いので、カレンダーに書き出してなるべく多く回れるようにしておきましょう。秋に実施する学校が多いため、日程が重複してしまうこともあります。一年ですべての学校を回るのはハードなので、何年かに分けて回っていくとよいです。
文化祭同日に説明会や相談会を開催している学校も珍しくありません。説明会や相談会は対象学年を設定していることがほとんどです。何年生で行くかは対象学年に合わせて判断するとよいでしょう。多くの場合は六年生です。当日なにを質問するかについても考えておいてください。当日、学内を見て疑問に思った点も遠慮なく質問してみることをおすすめします。
説明会や相談会は定員があり、情報を早いうちに押さえていないと、気づいたときには締め切られているといった事態になりかねません。学校ホームページは早めに見ておきましょう。入試情報ページに掲載している学校が多いです。
第一志望校以外も忘れずに
文化祭については、第一志望校以外の情報確認を後回しにしてしまったため、予約が間に合わなかったケースもよくあります。第二志望校以下も見ておかないと複数の学校を比較することができません。時間が許す限り、多くの学校を見ておくことをおすすめします。家庭によって差はありますが、出願数より少し多めの数を回るのが目安です。そのため、十校以上回る家庭もあります。
文化祭の服装はどうすればよい?
基本的には親子ともどもカジュアルで大丈夫です。ただし、服装に関しては、学校側が規定を設けていなくても、自然と差が出ます。ジーンズ姿を多く見かける学校もあれば、いわゆる「きれいめ」な格好が多い学校もあります。ミッション系の学校だと比較的、「きれいめ」を選ぶ人が多いです。
また、説明会や相談会を当日合わせて行う学校では、落ち着いた恰好にしておいたほうが無難でしょう。ただし、スーツを着る必要はありません。逆に目立ってしまいます。基本的に、親は「きれいめカジュアル」を意識しておけば間違いないです。
登下校の道のりを確認しよう
志望校自体をチェックするのも大切ですが、着くまでの道のりもよく見ておきましょう。受験後に浮上しがちな問題として、「通学路の長さ」「通学路の安全性」などが挙げられます。遠い学校だったり複雑な乗り換えだったりすると、子供がそれだけで疲れ果ててしまい、学習やその他のことを頑張る余力がなくなってしまうのです。実際、登下校の負担が大きく、習いごとや塾に通おうにも体力的に難しくなる子供はいます。乗り換えの複雑さやかかる時間についても体験しておいてください。冬場、暗くなりそうな道があればそれも確認しておきましょう。
文化祭参加前の準備
POINT!!
- 文化祭の日程は学校によって違うので必ず日程を確認して早めに予約をとろう
- 必ず第一志望以外の学校の文化祭にも行くようにしよう
- 見落としがちな登下校ルートを確認し、実際に子どもへの負担を肌で感じよう
中学校の文化祭チェックリスト。ここを見よう!
中学校の文化祭ではどこを見ればよいのでしょうか。
志望校の校風をチェック
文化祭は志望校の校風を自身の目で見るよい機会です。私立中学校の校風は学校によって大きく違いがあるものです。自主自立を重んじる伸びやかな学校もあれば、自律的な振る舞いを求める学校もありますし、学校側が強固なルールを用意して、先生たちの管理下で運営している学校もあります。そうした校風の違いは、文化祭のような大きなイベントでは可視化されやすいです。
あらかじめ、自分の子供がどういう学校に通いたいのかについても聞いておくことをおすすめします。漠然としたイメージで話を進めるのではなく、具体的にどういう環境に身を置きたいのかを考えられるよう、学校情報は集めておきましょう。たとえば、各学校が学習面においてどういうサポートをしているのかを整理しておくとよいです。補習や小テストが手厚い学校は、勉強についていけなくなるリスクが下がります。その一方で、学習面での締め付けを感じる子供もいるでしょう。こればかりは相性なので、わが子がどういうタイプかを知っておくことが最重要になります。自分がどういうタイプかを子供自身が把握できているかというと、必ずしもそういうわけではありません。日頃から話し合い、子供の様子を観察しておいてください。
志望校の設備をチェック
志望校の校舎や図書館、運動関連施設の様子をチェックしておきましょう。とりわけ、部活を中心に学校選びをしている家庭は、入学後に満足できる施設であるかの確認が欠かせません。もちろん、文化祭だからといって、校内のどこにでも立ち入ることができるわけではないので、チェックできる範囲は限られてはいます。それでも、見られる範囲ならばじっくり見ておいて損はありません。事前に位置関係を調べておくと、確認するのにスムーズです。
専門教室の種類の充実度も確認しておきましょう。最近の学校では、実験室や図書館に力を入れている学校が多いです。実験室を複数用意して、どの学年でも多くの実験を経験できるようにしたり、書籍の充実をアップして興味に応じた学習環境を整えたりしています。また、語学力向上のため、ネイティブの先生と交流する談話室のようなスペースを設けている学校もあります。
清潔な環境が保たれているかどうかも重要です。清掃が行き届いているか、修繕すべき箇所が放置されていないかなども、確認しておきましょう。水回りは特に気になるところです。
志望校の先生をチェック
先生たちの様子を見ておきましょう。大切なわが子を預けるのですから、信頼できる先生が多くいる環境が望ましいです。志望校の先生がどのように生徒たちと関わっているかはぜひチェックしておきましょう。先生と生徒のコミュニケーションの仕方を見ておいてください。風通しよく自由に意見交換している学校もあれば、先生が生徒に対し厳格な上下関係をもって接している学校もあります。もちろん、個々の先生によっても差が出る部分なので、ひとりだけを見て判断できるものではありません。全体の雰囲気を見ておきましょう。
在校生の企画内容をチェック
在校生の企画内容をしっかり見ておきましょう。当たり障りのない企画ばかりの学校もあれば、独創的な企画が目白押しの学校もあります。在校生自身に企画力があるかどうかというのも大事なポイントですが、学校側にそうした生徒の独創性を後押しする姿勢があるかどうかがなにより大切です。
また、「この学校ならではの企画」と呼べるような企画がある場合は、ぜひ見ておいてください。たとえば、語学に注力している学校ならではの企画、運動で実績を残している学校ならではの企画、理系に強い学校ならではの企画などがあれば、優先的にチェックしましょう。その学校の特徴が凝縮されています。
在校生の振る舞いをチェック
文化祭を通して、在校生の振る舞いを見ておきましょう。特に礼儀やマナーを重視している学校の場合は、実際に生徒に根付いているのかどうかは気になるところです。在校生の振る舞いや雰囲気がわが子に合っているかどうかを確かめておいてください。
なにより見ておきたいのは在校生の主体性です。在校生が主体的に動いている文化祭は、内容も充実しています。在校生が生き生き伸び伸びと、自分たちのアイデアを形にしている学校は、実際に訪れてみるとすぐにわかります。
ちなみに、在校生と会話する際は、一方的にならないよう注意が必要です。知りたい情報はたくさんあるでしょうが、呼び止めて根掘り葉掘り聞くようなことはせず、あくまで文化祭に来場したお客さんとして振舞うようにしましょう。
学校の運営力をチェック
大きなイベントにおいて、学校がどのぐらいきっちりと運営できているのかも知りたいところです。学校をあげての行事で、スムーズな対応ができている学校は信頼が置けます。外部からの来場者を受け容れるにあたっては、スムーズな導線が必要になりますし、なにより安全管理ができていなければなりません。生徒を守る意識がある学校なのかどうかを判断する一助にもなります。
部活の出し物もチェック
部活ごとの企画がある場合は、見ておいて入学後の参考にしましょう。もし、入りたい部活がすでにあるのなら、必ず見に行ってください。
部活動の内容はもちろん、部内の雰囲気に触れられる機会なので貴重です。実績があるからといって、部内の雰囲気がよいとは限りません。入部する前に確認できる貴重な機会です。
学内の掲示物をチェック
学校内の掲示物を見ると、どんな取り組みをしているのかを知ることができます。学校が用意しているカリキュラムやプログラムの案内が掲示されていれば、確認しておきましょう。情報の周知を疎かにしていないという点でも評価できます。
文化祭でのチェックリストまとめ
改めてまとめるよ!
- 志望校の校風
- 志望校の設備
- 志望校の先生
- 在校生の企画内容
- 在校生の振る舞い
- 学校の運営力
- 部活の出し物
- 学内の掲示物
文化祭から帰ったあとにしておきたいこと
文化祭から帰ったあとにしておきたいことは以下のとおりです。
チェックした内容をまとめておこう
複数の学校の文化祭を回ると、どうしても記憶が混ざってしまいます。どの学校がどのような企画をしていたかについて書き出しておくとよいです。その学校について評価する際にはチェックリストを参考にしてみてください。印象のよかった順にファイリングしておくと、志望校選定の際に便利です。
文化祭同日に説明会や相談会があった場合
文化祭同日に説明会や相談会があった場合は、もらった資料をファイリングしておきましょう。今後の予定や手続きについての案内がある場合は、特になくすと大変です。カレンダーや手帳にもその日のうちに書き込んでおきます。
個別相談会などで質問をした場合、答えを書き留めている時間はなかなか持てません。終了後、忘れないうちに書き留めておいてください。
文化祭を志望校選定の判断材料に
文化祭は志望校を選定する上でよい判断材料になります。ポイントを押さえて見て回るようにしましょう。まずは文化祭の情報を集めるところから始めてください。高学年になればなるほど、文化祭めぐりをする時間的・精神的余裕がなくなってくるので、早いうちから行いたいものです。ただし、説明会や個別相談会は参加できる学年が決まっていることも多いので、該当の学年で参加するとよいでしょう。
質問時間があれば、この記事のチェックリストを参考に質問してみてください。わが子が入学したとき、果たして相性のよい学校といえるのかをできるだけいろいろな角度から検証しておきたいものです。
文化祭見学は時間の許す限り、多く回っておきましょう。そうしないと、「他の学校と比べてどうか」がわかりません。比較検討することが大切です。つい第一志望校ばかりに意識が向いてしまいますが、第二志望校以下のことも忘れないようにしましょう。
チェックした内容は必ず帰ったあと書き出しておいてください。複数の学校を回っているとどうしても先に見た学校の印象が薄れていきます。そうならないよう、その日のうちに受けた印象や得た情報、必要な書類を整理しておいてください。説明会や相談会にも参加していたのなら、その内容を書き出しておくことをおすすめします。