鷗友学園女子中学校は、高い進学実績を誇る中高一貫校です。この記事では、鷗友学園女子中学校を目指す家庭に向けて、出題傾向や勉強法を紹介します。
そもそも鷗友学園女子中学校ってどんな学校?
鷗友学園女子中学校はキリスト教の精神を基盤とする学校です。校訓は「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」で、勉学はもちろんのこと心の教育をも行っています。1935年に創設された鷗友学園女子中学校の基礎を築いたのは、女子教育の先駆者である市村源三、キリスト教思想家の内村鑑三と、津田梅子の薫陶を受けた石川志づでした。
英語教育に注力している学校であり、英語の授業は中学一年生からオールイングリッシュで行われています。身近なテーマから国際問題の解決策まで幅広いテーマで意見交換しています。英作文を書く機会も多いです。学校には約三万冊の英語の本があり、中学一年生から授業の内外で、自分の好きな本を選んで読む機会を設けています。
また、授業以外でも国際理解教育に注力していて、渡航プログラム、国内プログラム、オンラインプログラムの三つが用意されています。渡航プログラムはチョート校サマースクールやハナ高校国際シンポジウムなどです。国内プログラムはトップクラスの教授陣が来日してセッションを行ったり留学生とのグループワークを行ったりします。オンラインプログラムはオンラインで受けられるさまざまな準備講座やプログラムです。
英語以外の科目でもさまざまな取り組みがなされていて、たとえば理科では、中学二年生で仮説検証型実験を行っています。実験方法も実験道具も自分たちで考えます。また、「園芸」の授業があるのも特徴です。園芸で植物を育て、植物の構造を理科で学び、その植物を家庭科で食するといった「合科」も行っています。
鷗友学園女子中学校の入試概要
鷗友学園女子中学校の入試について見ていきましょう。
2025年度の入試
第一回入試は2025年2月1日に行われ、募集人数は約180名です。第一回の出願期間は2025年1月10日から1月29日の予定となっています。第二回入試は2025年2月3日に行われ、募集人数は約40名です。第二回の出願期間は2025年1月10日から2月2日の予定となっています。
2024年度の入試倍率
鷗友学園女子中学校の2024年度の第一回入試の倍率は受験者数500名に対し、合格者数198名で実質倍率は約2.5倍です。第二回入試の倍率は受験者数451名に対し、合格者数138名で実質倍率は約3.3倍です。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
第一回入試 | 500名 | 198名 | 約2.5倍 |
第二回入試 | 451名 | 138名 | 約3.3倍 |
鷗友学園女子中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
鷗友学園女子中学校の四教科の出題傾向は以下のとおりです。
国語は問題数の少なさが特徴
国語の配点は100点で試験時間は45分、大問は三つです。大問は物語文、説明文、漢字の書き取りに分かれています。特徴的なのは問題数の少なさです。
2024年度第一回入試では、大問一は四問、大問二は二問、大問三は漢字の書き取り五問という構成になっていました。ちなみに、第二回入試では大問一、二はそれぞれ三問、大問三は漢字の書き取り五問です。つまり、大問一と大問二で合わせて六問出ます。この六問はすべて説明記述です。ここまで説明記述に特化した入試はなかなかありません。読み取る力と記述する力が求められますし、一問あたりの配点も高いです。
算数は2025年度から出題傾向が変更
算数の配点は100点で試験時間は45分、過去の大問は七つです。2025年度から問題の出題傾向が大きく変更される旨が予告されています。まず、前半は小問集合、後半は記述式の予定です。記述式は考え方や解き方を書かなければならず、パーフェクトにならなくても部分点がつきます。小問集合と記述式の配点は一対一の予定です。
2025年度は問題の頻出単元は同じで、問題数が増えます。頻出単元は計算問題、代数の定番(人数、お金、個数)、速さと時間、平面図形(角度、線分の長さ、面積)、立体図形(表面積、体積)、点の移動、場合の数、演算記号、数の規則性、グラフの読み取り、グラフの利用などです。
理科は全分野から満遍なく出題
理科の配点は100点で試験時間は45分、大問は四つです。出題形式もさまざまで、選択問題、語句記入、計算問題、記述、作図などが出題されています。
基本的には実験や観察からの出題が大半で、中学受験対策の問題集をやり込めば解ける程度の知識レベルの問題が多い一方で、問題文やデータによく目を通さなければ解けないタイプの思考力を問う問題も出題されます。
入試問題の資料は白黒の学校が多い中、カラーなのも特徴的です。2024年度は光の屈折の知識を生かして、マサイ族の人の視力を求める問題など個性的な内容が出題されています。
社会は記述問題の比率が高い
社会の配点は100点で試験時間は45分、大問は三つです。社会は記述問題の比率が高いことを特徴としています。社会で記述問題というと、あまり長い文章を書かせない学校が多いですが、マスも大きく、必要な内容を過不足なく書ききる力が求められています。時間内に終わらせられるよう、社会の出来事を説明する力をつけておきましょう。
資料がよく出るので、資料集に目を通して覚えておくことと、思考力を問う問題が出た際も焦らず問題文からヒントを拾えるようにしておくことが大切です。
- 国語は問題数が少なく、読み取る力と記述する力が求められ一問あたりの配点が高い
- 算数は2025年度から問題の出題傾向が大きく変更され、前半は小問集合で後半は記述式になる予定
- 理科は基礎レベルの問題も多いが、思考力を問う問題も出題される
- 社会は記述問題の比率が高く、必要な内容を過不足なく書ききる力が求められる
鷗友学園女子中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
鷗友学園女子中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
最初に漢字を解いておく
漢字の出題順序は最後ですが、残しておいて万一時間が足りないことになるともったいないので、最初に解くようにしましょう。漢字の配点は一問二点で計十点です。先にこの十点を確実にとっておいてください。
一万字以上の出題
文章量は一万字を超えることが多いです。速読に慣れておきましょう。ただし、扱う文章自体は平易なので読み進めるのはそんなに難しくないはずです。
記述の力を身につけよう
国語の読解問題で出題される形式は記述ばかりです。書く時間が必要となるので、読むほうだけで時間を使いすぎないようにしましょう。扱う文章が比較的平易なので、記述一問一問はそこまで難しいわけではないですが、苦手な子供にとって負担となるのは間違いありません。過去問をやり込んで、記述の難易度を知っておいてください。
塾や家庭教師の先生に添削してもらい、減点されるポイントはどこかを把握します。マスの大きさからしても冗長な文章を書いてしまいがちです。要点だけを切り出すようにするとよいでしょう。
説明記述ばかりで論述はない
出題されるのは説明記述ばかりで、基本的に本文のポイントを押さえてまとめる問題です。論述は出題されません。読みながら、重要なところには線を引いておくとよいでしょう。説明記述は要点をピックアップしておくとまとめやすいです。
- 漢字問題は最後に出題されるが、時間不足を避けるため最初に取り組み、確実に点数を取る
- 読解問題は記述中心であり要点をまとめる力が必要になるため、過去問で練習したものを添削してもらい、減点ポイントを把握する
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
採点者に解き方・考え方が伝わるように
算数の後半は記述式で、解き方や考え方の過程に部分点がつきます。採点者に伝わるような書き方をすることが求められます。
学校側も受験者へのアドバイスとして、常日頃から問題を解くにあたって考えた道筋がわかるようなノートをとることを勧めています。
本番に向けた練習だと思って意識的にノートをとってください。テストは制限時間の関係で、字が荒れがちなのでその点も気をつけましょう。
過去問をやる際は頻出単元だけを参考に
2025年度から出題傾向が変わることが決定しています。過去問はそれを前提にして解きましょう。頻出単元自体は変わらないので参考になるはずです。詳しくは学校のホームページを参考にしてください。
なお、学校側がテストを通して問いたい力は「問題の意図を正確に読み取る受信力」「自分の考えをわかりやすく伝える発信力」「最後まで正確に解ききる力」の三つです。
全ての単元を押さえておくように
頻出単元の傾向は変わりませんが、入試に挑むにあたって学校側はすべての単元を広く学習することを推奨しています。小問集合でより幅広い出題になる可能性があるので、満遍なく解けるようにして本番に臨みましょう。
- 後半は記述式で部分点がつくため、過程を明確に伝えられるようにノートに考えた道筋を書く習慣をつける
- 2025年度は出題傾向が変わるが頻出単元は参考にしながら、全単元を広く学習して小問集合など幅広い出題に備える
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
100点という配点を意識して
鷗友学園女子中学校では、理科と社会も100点の配点です。そのため、他の学校のように多少点数を落としてもダメージが少ない、ということはありません。確実に点を取る必要があります。
しかし、鷗友学園女子中学校の問題は記述が多いです。思考力を問う問題も出ます。歯ごたえのある問題が多い上、時間内に終わらせなければならないので、自分が解ける問題を見極めて優先順位を考えながら解き進めなければなりません。過去問をやる際には得点につながる順序を模索するつもりで臨みましょう。
テキストを読む際には資料をチェックして
問題文や資料にヒントを散りばめながらの出題が多いです。実験や観察に関する問題がほとんどであり、必要な情報が読み取れないと小問の途中で行き詰まります。そのため、受験テキストを読み込む際は、写真や図版などを頭に入れながら進めてください。なお、写真や図版はカラー印刷されていて、そういう点ではわかりやすい出題となっています。
計算問題が多い
実験・観察がメインであるため、当然計算問題も多く出題されます。計算で解かなければならない単元で、自信がない箇所があればやり込んでおいてください。時間内で解ききるためには解くスピードも問われます。ケアレスミスをしないよう慎重かつ素早く解けるようにしてください。そのためには途中式を書く際に、ある程度見直せるようメモを残しておきましょう。
- 記述問題が多く思考力を問う問題も含まれるため、解ける問題を見極めて優先順位をつける練習をする
- 実験や観察に関する問題が多いが問題文や資料にヒントが多いため、テキストの写真や図版をしっかりと頭に入れておく
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
理科同様配点の高さを意識して
社会もまた理科同様、配点が高く100点です。そのため、できる限り得点しておかなければなりません。しかしボリュームのある記述問題が多いため、時間内に解こうと思うとハードです。まずはこの個性的な出題形式に慣れておく必要があります。過去問をやり込んで得点につなげましょう。
記述問題の多さに注意
社会もまた記述問題がたくさん出題されるのが特徴です。しかも他校で多く見られるように短くまとめるタイプではありません。百字前後は書かなければならないため、練習しておきましょう。記述をするにあたっては、日頃から世の中への問題意識をもっていないと難しい問題も出題されます。
たとえば、2024年度は税率が上がっていないのに消費税収が増えた背景について、経済状況や国民生活を絡めて説明せよという問題が出ました。説明記述だけではなく考察記述も出るため、日頃から社会問題やニュースに関心を寄せておいてください。
語句を答える問題は漢字で
語句を答える問題もたくさん出ます。漢字のものは漢字で書けるようにしておいてください。また、語句を答える問題から先に解くのもひとつの方法です。とにかく、記述が多いので、時間を取られ過ぎて手が回らないことのないようにしましょう。
- ボリュームのある記述問題が多いため、過去問をやり込んで慣れておく
- 社会の記述問題は長文で時事問題も出るため、日頃から社会問題に関心を持つようにする
記述問題が多く出題される学校
鷗友学園女子中学校は、全ての科目において記述問題が多く出題される学校です。そのため、それぞれの科目の出題傾向に合わせた記述対策に力を入れる必要があります。字数指定ではなく、解答欄は大きなマスであることが多く、その中に収まるよう解答を書かなければなりません。
国語は扱う文章が比較的平易なので解きやすいですが、説明記述が多く出題されます。算数は文章の記述ではないですが、解き方や考え方に部分点がつく問題が後半で出る予定です。理科も説明記述の問題が多く、制限時間内に解ききるのはタイトです。社会は考察記述のように、日頃から社会問題やニュースに関心を寄せていないと解けない問題が出ます。
徹底的に書く力が問われるという点でかなり個性的な入試だといえるでしょう。まずは、過去問をやり込んでみてください。
ただし、算数は2025年度から出題傾向が変わる旨が予告されています。そうはいっても、頻出単元は変わらないようなので過去問は疎かにしないほうがよいでしょう。問題数自体は多くなる予定なので、時間配分で困らないようサクサク解き進められるようにしたいところです。