神奈川県立平塚中等教育学校は、国際社会のリーダーとなるべき人間の育成を目指している中高一貫校です。この記事では、神奈川県立平塚中等教育学校への進学を検討している家庭に向けて、適性検査の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも神奈川県立平塚中等教育学校ってどんな学校?

神奈川県立平塚中等教育学校は、前期課程三年、後期課程三年からなる六年間を通して、一貫した教育課程や学習環境を提供し、カリキュラムを通して個性や創造性の伸長を図っています。これからの国際社会に対応できるよう生徒の教養や社会性、独創性を備えさせ、よりよい社会の構築に貢献できる人間を育てたいとしています。
生徒を支援するための環境を整えていて、スクールカウンセラーや二名の養護教諭の配置、二者面談や三者面談の実施、教育相談コーディネーターによる相談プログラムなどさまざまな取り組みをしています。
六年間を三段階で捉える独自の教育ステージ
後期課程においては一年生の学校生活を支援するスチューデントメンター制度を採用。入学したての生徒にとっても過ごしやすい学校生活となるよう工夫をしています。前期課程は「グローバル化された時代に必要なリテラシーの習得と今日的課題の理解」を目指し、後期課程では「自己課題研究と研究成果の社会への発信」を目指します。
後期課程とは別に教育展開としてあるのが、六年間を二年ずつに分けた「基礎・観察期」「充実・発見期」「発見・伸長期」という区切りです。「基礎・観察期」は意欲や態度の基礎を固めていきます。「充実・発見期」は学習内容の充実、拡大。「発見・伸長期」が個に応じた学習の発展・応用を目指す時期です。これらの三つの区分を経て、表現コミュニケーション力や科学・論理的思考力、社会生活実践力を育成していきます。
2025年度卒業生の合格実績
| 大学 | 合格者数 | ||
|---|---|---|---|
| 国公立大学 | 65名(東京大学3名、京都大学2名、一橋大学3名、筑波大学3名など) | ||
| 私立大学 | 514名(早稲田大学31名、慶應義塾大学20名など) |
| 入試年度 | 応募人員 | 募集人員 | 最終応募倍率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 619名 | 160名 | 約3.9倍 |
| 2024年度 | 683名 | 160名 | 約4.3倍 |
神奈川県立平塚中等教育学校における適性検査の出題傾向

神奈川県立平塚中等教育学校の適性検査における出題傾向は以下のとおりです。
適性検査Ⅰは横断的な出題
適性検査Ⅰは試験時間45分で、大問五つです。解答用紙はマークシート式で、選択問題の占める割合が多い内容といえます。「科学・論理的思考力及び社会生活実践力の基礎的な力をみることがねらい」の問題が多く、他にも「主に科学・論理的思考力の基礎的な力をみることをねらい」としている問題もあります。
2025年度は社会と関連深いテーマが目立ちましたが、年度によって傾向は異なります。大問五では短い字数の作文問題が出題。ここ数年続いている傾向です。
適性検査Ⅱは出題傾向が明確
適性検査Ⅱの試験時間は45分で大問は四つです。適性検査Ⅰと同様、解答用紙はマークシート式を採用していて選択問題がメインですが、記述問題も出題されています。
2025年度の問題では、大問一はかな文字をテーマにしています。大問二は林業、大問三は調理実習、大問四は立方体でした。問われる力としては、科学的思考力・論理的思考力・社会生活実践力が挙げられます。適性検査Ⅰと同様、科目を横断する出題といえます。
大問自体の傾向としては、文系より理系の問題が多いです。ただし、適性検査Ⅰと同様、小問ごとにどういった科目との関連性が強いのかは変わります。
- 適性検査Ⅰは科目横断型の試験で、選択問題を中心に科学・論理的思考力や社会生活実践力の基礎が問われる
- 適性検査Ⅱも科目横断型で、選択問題に加え記述問題を通して思考力・判断力が求められる
神奈川県立平塚中等教育学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

神奈川県立平塚中等教育学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
国語に特化した適性検査はない
神奈川県立平塚中等教育学校の適性検査は国語に特化したものはありません。適性検査を二種類以上用意している学校では、そのうちのひとつを国語に特化した内容にしているところが多いです。しかし、神奈川県立の問題では適性検査Ⅰ・Ⅱとも広く科目横断的な出題となっています。
では、国語的な対策は必要ないのかといえば、もちろんそうではありません。適性検査は「読解力」が必須の検査であるためです。長文である設問の文章を読み込み、文意を把握する力が必要となります。
基本的に問題文は会話文形式で進んでいくため平易です。しかし、いかに文体自体が平易でも、ボリュームのある会話量の中から要点を拾っていく作業は容易ではありません。まして、提示される資料には固い文体も多いです。設問や資料を丁寧に読み、問題の提示している手がかりを拾い上げる力が必要となります。
適性検査Ⅱ大問一は、ここ数年「文字」の問題
適性検査Ⅱの大問一では、ここ数年類似する問題が出題されています。それは「文字」についての問題です。
2025年度は「かな」について、2024年度は「ローマ字」について、2023年度は「漢字のなりたち」についてでした。そのため、この傾向が続くのであれば、2026年度も文字についての出題が予想されます。過去問を解いてみて、どういう問題が出ているのかを確認してみるとよいでしょう。
マークシート式でも記述問題が出題
マークシート式の検査ですが、記述問題が出題されています。字数指定は70字以上80字以内、あるいは80字以上90字以内です。それほど長い記述問題ではありませんが、書けるようにしておきましょう。
2025年度の適性検査Ⅰの大問五では資料を読んで「自分ならどんな活動をするか」を書かせる問題が出ました。短い作文形式です。ここ数年、似たような傾向が続いているので、対応できるようにしておきましょう。
- 会話文や資料を読み込み、必要な手がかりを拾う読解力を養う
- 過去問を解いて、過去の出題傾向をつかんでおく
- 70〜90字程度の記述・短文作文を書けるようにしておく
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
途中式で得点できるタイプの問題ではない
出題されるのは途中式を書く問題ではありません。答えのみを選ぶ問題です。つまり答えが合っているかどうかの採点になるため、解き方や考え方の面からの部分点は期待できません。
ケアレスミスをしない姿勢が求められます。一問一問正答を導き出し、できれば見直しにも時間を割くようにしてください。
図形に関連する問題に慣れておこう
横断的な出題で傾向が読みづらいため、全体的に対策が立てづらいですが、図形問題はよく出る傾向にあります。2025年度の適性検査Ⅱでは立方体や展開図と矢印や数字を組み合わせて考える問題、2024年度の適性検査Ⅰでは立方体を積み上げる問題が出ました。
一般的な図形問題だけではなく、数的推理や規則性などと関連して出題される可能性もあります。図形問題に対応できるようにしておきましょう。
- 答えの正誤のみで採点されるためケアレスミスを防ぐ
- 図形と数的推理・規則性を組み合わせた問題にも対応できるようにしておく
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
知識よりも思考力を問われる出題
学校の教科書や受検対策問題集で理科をやり込んでいれば、解けるというタイプの出題ではありません。たとえば、適性検査Ⅰの大問二では温度計の絵と図表がのっているので、多くの子供は反射的に「慣れているタイプの理科の問題かな?」と考えるはずです。しかし、いざ問題を読み込んでいくとそういうわけではありません。内容は熱中症の予防についてなので、一般的な理科の問題とは方向性が異なります。
知識で解くタイプというよりは、問題文や資料を読み込むことで、解き方が見えてくるタイプの問題です。思考力が問われるので、落ち着いて問題を解くための手がかりを探す必要があります。
理科の計算問題をスムーズに解けるように
理科といえば、主に物理や化学、地学において計算が必要な科目でもあります。神奈川県立平塚中等教育学校の適性検査でも、理科的な計算は出題されていて、たとえば2025年度はかいた汗をスポーツ飲料で補うための計算をする問題や、乾球温度、湿球温度、暑さ指数を手がかりに黒球温度を求める問題が出題されました。これらの計算問題は問題文と資料を読めば解ける構成になっています。
2024年度は、一日に必要なタンパク質の量について問われていて、こちらも問題文と図表を見れば解ける問題でした。逆に言えば、いかに必要なデータを見つけて、読み取れるかどうかが重要です。典型的な解法を頭に詰め込んでいくだけでは解けません。
- 見慣れた形式でも、テーマを正しく読み取る姿勢を身につける
- 公式暗記に頼らず、与えられた情報をもとに解く練習を重ねる
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
地元問題も出題。教科書の暗記では対応できない
社会もまた、思考力を問われるタイプの問題で、いかに問題文と資料から必要な情報を集めて判断できるかが問われます。教科書的な知識を詰め込むだけでは、十分に対応できません。
たとえば、2025年度の適性検査Ⅰの大問一は二ヶ領用水久地円筒分水についての問です。2024年度は相模野基線についての問題が出ました。つまり神奈川県に関する様々な問題が出題されています。対策法があるとしたら地元に詳しくなることですが、広い範囲の中からピンポイントの知識を身につけるのは難しいです。
基本的には、知らない場所についての問題が出題されるものと考えて、問題文と資料を読み込めるようにしましょう。
グラフや図表を読めるように
社会では、マークシート式の出題だけあって、グラフや図表から数字を読み取る問題が多いです。数字を扱う問題が解けるようになっていないと厳しいので、統計を読めるようにしておきましょう。
たとえば、2025年度の適性検査Ⅱの大問二では社会で林業について調べたことを切り口に人工林について問う問題が出題されています。棒グラフや表から必要な数字を見つけて解いていく問題です。
- 暗記ではなく、問題文と資料から情報を集めて判断する思考力を養う
- 地元題材も出題されるため、未知のテーマでも読み取れる力を身につける
- 統計資料をもとに、必要な数値を見つけて処理する練習を重ねる
マークシート式の適性検査ならではの対策を

神奈川県立平塚中等教育学校の適性検査は、マークシート式ならではの内容となっています。記述問題もありますが、選択問題が大半を占めていて、多くは科目を横断する思考力型の問題です。問題文や資料を読み込んで、その場で解く問題なので、手がかりを見落とさないようじっくり読み込むようにしましょう。
教科書的な出題はほとんどないので、一見すると対策がしづらそうに見えます。しかし、過去問と見比べるとある程度出題傾向が見えてくるので、過去問をやり込んでおくとよいです。たとえば、適性検査Ⅱ大問一の文字の問題のように、ここ数年似たような出題傾向を貫いている問題もあります。
マークシート式だけあって、正しい数字を選ぶタイプの問題が多いです。理科、社会、算数ではグラフや図表から必要なデータを読み取る問題や、計算して答えを導き出す問題がよく出ます。
ここ数年、適性検査Ⅰの大問五で短い作文問題が出題されているので、設問に対し「自分ならどうするか」を短い字数の中に落とし込めるようにしましょう。字数が少ない分、要点だけをピックアップして落とし込める力が欠かせません。過去問はもちろん、自分でもテーマを設定して70字程度で書く練習をしておくことをおすすめします。
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