東京学芸大学附属世田谷中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

東京学芸大学附属世田谷中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

東京学芸大学附属世田谷中学校は、その名のとおり東京学芸大学の附属校のひとつです。先進的なカリキュラムや教育方法の研究開発を推進する姿勢から、人気を集めています。この記事では東京学芸大学附属世田谷中学校を目指す家庭に向けて勉強法を紹介します。

そもそも東京学芸大学附属世田谷中学校ってどんな学校?

そもそも東京学芸大学附属世田谷中学校ってどんな学校?

東京学芸大学附属世田谷中学校は、世田谷区にある共学校です。1947年に東京第一師範学校男子部附属中学校として開校しました。1949年、東京学芸大学東京第一師範学校世田谷附属中学校と改称。その後、複数回の改称を経て、2004年に国立大学の法人化に伴い、東京学芸大学附属世田谷中学校という現在の名称に変わっています。

東京学芸大学附属世田谷中学校では「個性的で人間性豊かな人格をつくる」「創造性豊かな人間を育てる」「敬愛の精神に溢れた人間を育てる」という三つの教育方針を掲げています。

また、カリキュラムは「基本学習」「総合学習」「生活学習」の3つの学習が柱です。

とりわけ総合学習にはこの学校ならではの取り組みが多く見られます。二年生・三年生では学年やクラス、教科の枠を超えて、テーマ別に生徒を集め、自分たちで設定した課題に取り組む学習を実施。他にも、国語や英語のスピーチコンテストや長瀞の地学実習などさまざまな経験を積む機会があります。なお、情報化社会の中で、情報を活用し問題を解決する力や人間関係を築く力の育成も重視しています。

東京学芸大学附属世田谷中学校の入試概要

東京学芸大学附属世田谷中学校の入試概要

東京学芸大学附属世田谷中学校の入試における、2023年度の出願期間は1月4日から1月10日でした。入試日は2月3日です。男女合わせて60名が定員でした。

少ない定員ですが、これが一学年の人数というわけではありません。内部進学生の枠が別に用意されているためです。

東京学芸大学附属世田谷中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

東京学芸大学附属世田谷中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

東京学芸大学附属世田谷中学校における四科目の出題傾向を紹介します。

国語の出題傾向

国語は試験時間40分、100点満点です。例年の傾向として、漢字と説明文、物語文が出題されます。扱う文章も設問も、難易度としてはあまり高くありません。読解問題がふたつ出るため、それなりにスピードは要りますが、文章量自体は多いわけではありません

漢字以外の問題としては、選択問題と記述問題が半々で出ます。説明するタイプの記述だけではなく自分の考えを書くタイプの記述もあります。

算数の出題傾向

算数は試験時間40分、100点満点です。頻出単元としては「グラフ」「数の性質」「図」「規則性」「割合と比」などが挙げられます。算数の枠に留まらない問題もあり、過去には、グラフの問題で食品ロスについての文章題を出しています。人物たちの会話を読みながら空欄に数を埋めていく問題です。ほかにも個性的だったのが世田谷の地図を見て、おおよその面積を求めよという問題がありました。

基本的には、勉強すれば解ける問題が多いですが、地図の問題は勝手がわからず戸惑う子供も多かったことでしょう。あくまで、だいたいの数字を求める問題なので、図形の基本的な考え方を理解していれば答えを導き出せる内容です。見慣れない問題が出ても動じないよう、過去問を分析して慣れておく必要があります

理科の出題傾向

試験時間40分で100点満点です。生物・化学・地学・物理の分野から満遍なく出題されます。選択問題が多いですが、作図などの問題も出ます。途中、会話文での出題もあり、過去にはゴミ処理の問題について考えさせるものなども出題されています

基礎知識を問う問題が多い中、そうした自力で考えさせる実験の問題を解けるかどうかで点差がつきます。

社会の出題傾向

試験時間40分で100点満点です。図版からの出題が多いのが特徴的といえます。地図や地形図、グラフから読み取る問題や写真から判断する問題が出ます。過去には、時事問題としてアイヌ民族およびアイヌ文化の復興・創造拠点を目指す民族共生空間『ウポポイ』についての問題が出ています。時事だけではなく歴史も絡めての大問です。問題自体の難易度は高くありませんが、社会に対しちゃんと関心を持っているかが問われています

全体的に基礎知識を問う問題が多く、用語を書く問題や選択問題がたくさん出ています。記述問題は少なく、そんなに難しくありません。ただし社会の問題数は多めなので、最後まで解ききるスピードが求められます。

ポイント
  • どの教科も社会に対しての関心が重要になる
  • 自分の考えを持ち、説明できるようになる必要がある

東京学芸大学附属世田谷中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

東京学芸大学附属世田谷中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

東京学芸大学附属世田谷中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

漢字で失点しない

漢字の問題がたくさん出るため、漢字を疎かにするとかなり点差がつきます。読み書きともにきちんと仕上げておき、「とめ」「はね」「はらい」で減点されないよう仕上げましょう。

読解問題の文章自体は長くない

読解問題が二問ほど出ますが、文章自体は長くありません。ただし、制限時間を考えると、ある程度のスピードで読む力が求められますし、問題もどんどん解いていかなければなりません。大問ひとつあたりに三つぐらい記述問題があります。記述に時間がかかっていると、全問終わらないこともあり得るので、迷わず書けるよう練習しておきましょう。

記述は添削してもらおう

記述は150字前後の出題が多いです。そのぐらいの文字数の記述問題をピックアップしてこなして、塾や家庭教師の先生に添削してもらいましょう。解答欄にどのぐらい書けばよいのか、文末表現はどうすればよいのか、句読点はどう使うのかなど細かく見てもらってください。

選択問題はシンプルだからこそ注意

選択問題は「もっとも適切なもの」を問う問題が多く、出題の仕方として非常にシンプルです。その分、失点すると合否にかかわるため、間違えないよう確実に選択しなければなりません。問題集の基本レベルの選択問題を解いて、文脈から判断する力を養いましょう。

東京学芸大学附属世田谷中学校の国語対策
  • 漢字を疎かにしてはいけない
  • 記述問題は「スピード」「日頃の添削」が重要
  • 選択問題は間違えると合否にかかわるという意識を持つ

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

問題集の基本レベルをやり込もう

問題集を基本レベルから順番にきっちり仕上げることが必要です。平易な問題が多いですが、40分で解ききろうと思うとスピードが必要なので、迷っている時間はありません。問題を見たらすぐ解法が浮かぶように仕上げておきたいところです

ただし、基本問題を理解しただけで全問解けるほど簡単でもないので、ある程度の応用力は必要です。問題集で解くべき問題の取捨選択は塾や家庭教師の先生にお願いするとよいでしょう。特に、規則性は応用まで解けるようにしておきたいところです。

説明する力も必要

過去には五角形の角度の和が540度になる理由を説明させる問題が出題されています。図、式、言葉を使ってわかりやすくまとめる問題です。解答欄も広く、情報を的確に落とし込む必要があります。こうした出題で適当な答えを書くためには、図形への理解はもちろん、説明が上手くなければなりません。類題をやり込んで慣れておきましょう

時間のかかる大問に注意

過去問をやり込んで、どう時間配分するかイメージをつかむ必要があります。東京学芸大学附属世田谷中学校の場合、難易度の高い大問が突然出てくるので、解く順番は臨機応変に入れ替えたほうがよいです。前から順番に解いていくと、途中でひっかかって、最後までたどり着けない可能性もあります。

社会以外でも社会への眼差しが必要

過去のグラフの問題では、食品ロスについての出題があります。グラフから数値を出せばよい問題なので、食品ロスについて詳しい必要はありません。しかし、算数だけではなく理科でも同様に、社会問題を絡めた出題をしていることから、どんなときでも社会問題への目線を忘れずにいてほしいという出題者の意図が反映されているのは間違いないでしょう。社会の時事問題の対策にもつながりますから、日頃からいろんな社会問題に目を向けておきましょう

東京学芸大学附属世田谷中学校の算数対策
  • 問題を見てすぐ解法が思い浮かぶように過去問をこなす
  • 文章で説明することに慣れる
  • 解く順番を臨機応変に入れ替えられるようにしておく

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

全分野の基礎を固めて

東京学芸大学附属世田谷中学校の理科は全分野の基礎が落とし込まれた問題です。まずはよく出る単元を中心に、基礎を固めておきましょう。「植物」「天体」「力のつり合い」「水溶液」「電気」などが頻繁に出ています。

実験の単元をやり込もう

頻出単元として実験が絡む単元が挙げられます。実験の流れや意味をよく理解し、整理しておきましょう。基本的な知識を理解した上で、さらにもう一歩先を考えさせる問題も出てきます。一見難しそうに見える問題ですが、必要なのは基礎知識だけなので、慌てず解くようにしましょう。過去問を解いて、具体的にどんな問題が出たのか知っておいてください。

文章が長くても問題自体はシンプル

会話文を読んで解く問題をはじめ、問題文が長いものがいくつかあります。しかし、問われている内容はシンプルなので、苦手意識を持たず取り組みたいところです。会話文形式の問題をいくつか解いて、慣れておくとよいでしょう。国語と同様で、重要なポイントには線を引く癖をつけておくことをおすすめします。

東京学芸大学附属世田谷中学校の理科対策
  • とにかく基礎知識をつける
  • 問題文が長くても焦らず重要なポイントに線を引く癖をつける

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。

写真、グラフ、地図、地形図などをよく見ておこう

写真からの出題が多めなので、資料として流し見せずしっかりと覚えておきましょう。建物や文化財、遺跡や土器など幅広い写真が問題に使われています。

地理はグラフも大切です。気温や産業などグラフが出てくる単元は、書いてある説明と合わせて覚えておきましょう。地図や地形図も県名や記号をちゃんと頭に入れておかないと、問題が解けません。白地図などをやり込み、場合によっては地理系のカルタなどを使って、必要な情報を場所と結びつけておきましょう。地形図の問題はピックアップしてやり込んでおいてください。

年表の問題にも対応できるよう

年表を見ながら解く問題も出るので、歴史の流れを改めて頭に入れておきましょう。要点だけを覚えていくとどうしても、単発で丸暗記になりがちなので、そうではなく因果関係で覚えていきます。歴史漫画を読んだり、人に説明したりすると流れを押さえやすいです。

歴史と地理が多め

公民や時事問題も出題されますが、全体的には地理と歴史が多めなのでまずはそちらの対策を盤石にしておきましょう。順番としては地理・歴史・公民の順番で勉強し、時事問題は常時チェックするようにするとよいです。地図が頭に入っていないと歴史がスムーズに覚えられません

語句を書かせる問題が多い

社会の問題は語句を書かせる問題が多いです。国語と同様、書く際には正確さが求められます。誤字に気をつけなければなりません。語句を覚えるときから気を付けるようにしましょう。当日も乱雑な字にならないよう、国語と同様、「とめ」「はね」「はらい」まで意識して答えをかくようにしてください。

東京学芸大学附属世田谷中学校の社会対策
  • 地形図の問題をとにかくやり込む
  • 歴史の年表は因果関係で覚える習慣をつける

基礎を固めて、そこから自分で考える力を

基礎を固めて、そこから自分で考える力を

東京学芸大学附属世田谷中学校の問題は全体的にあまり難しくはありません。しかし、その一方で、考えることの大切さを落とし込んだ問題がよく出ます。

具体的には、過去に国語で自身の考えを問う問題、理科で基礎知識をもとに実験の仕方を考えさせる問題が出ています。そうした問題がちゃんと解けるかどうかが合否の分かれ目です。基礎を用いて自分の頭でいかに考えるかが問われています

問題数は少なくないので、スピードも大切です。素早く解くためには慣れが必要なので、問題集をやり込んでおく必要があります。その上で、速度を保ちながらいかにケアレスミスで点数を落とさないかが求められます。語句を書く問題も多いので、漢字を間違えないようにしましょう。

簡単な問題が多い分、一問の失点が大きく響くのが怖いところです。また、解く順番も大切です。後半に行くほど難しいわけではないので、どういう順番で解くかの判断がカギとなります。時間がかかりそうな問題は後回しにしていきましょう。思考力を問われる問題をどれだけ解けるか、平易な問題でどれだけ失点しないかの二点が合格には欠かせません。気を引き締めて臨みましょう。

なお、どの教科も社会に対して関心があるかどうかが問われています。日頃から社会問題にも目を向けておくことをおすすめします。


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