中学受験の過去問は何回も解くもの?やる順番はどう決める?

中学受験の過去問は何回も解くもの?やる順番はどう決める?

秋になると、受験生は過去問対策に必死になって取り組みます。受験本番が迫るこの時期、合格のためには効果的な学習をすることが欠かせません。何回解けばよいのか、どこから手をつければよいのかなど、無駄のない過去問対策について紹介していきます。

過去問は全部やる?何回も周回するべき?

過去問は全部やる?何回も周回するべき?

過去問はどのぐらいやり込むべきなのでしょうか。

過去問は過去何年分やる?

「第一志望は過去十年分の問題を解きなさい」と塾から指示される家庭は少なくありません。十年分ともなれば、解くだけでもかなりの時間がかかります。ただ、過去問は解くだけでは済みません。

過去問はミスのやり直しに一番時間を使います。過去問挑戦時にそれなりに学力があれば、全部を解いて、ミスをやり直すだけの時間を確保できるでしょう。しかし、まだまだ学力アップをしなければならない子供は、ミスのやり直しをして、可能な限り類題にも挑戦し、実力の底上げを図る必要があります。途中で時間が足りなくなってしまうケースも多いです。そのため、「第一志望の過去問は過去十年分が理想。最低五年分はやる」というのが目安として妥当です。ただし、御三家レベルはできるだけ過去十年分をやり込んだほうがよいでしょう。

第二志望は過去三年分、第三志望以下は過去一~二年分を同じく目安としておきましょう。もちろん、それ以上やってはいけないということではないので、時間が許すのであれば挑戦してみてください。

周回し過ぎると時間が足りなくなる

秋の時点で過去問に挑戦して、スラスラと解ける人はほとんどいません。自分の点数の低さに危機感を持ち、「過去問、何周もやるよ」と意気込む子供もいますが、同じ過去問を何周も解き直す必要性が本当にあるのでしょうか。

結論から言うと、御三家レベルの超難関校志望であれば二周したほうがよいですし、実際二周できるだけの力がある子供が多いでしょう。それ以外の学校は一周で大丈夫です。周回し過ぎると、苦手単元を克服する時間がなくなります。

過去問専用の記録表を活用するとわかりやすい

過去問専用の記録表を活用すると進捗管理がしやすいです。過去問の記録表は、インターネット上でも無料配布しているものがたくさんあります。実施日や得点、平均点、合格ラインなどを書き込める仕様の表が多いです。書き込みながらやっていくと、自分がこれからやらなければならない内容が、ひと目でわかるのでおすすめです。

志望校ごとの過去問の周回目安に関しては「中学受験の過去問が全然解けない!秋に何割解ければ合格できる?」で詳しく書いております。

ミスは解けるまで周回。ミスの管理が合格のカギ

ミスは解けるまで周回。ミスの管理が合格のカギ
ミスした問題は何周も解けるようになるまでやります。具体的には以下のとおりです。

ミスはできるようになるまでやる

過去問を通しでやるのは、一回もしくは御三家レベル対策なら二回でよいですが、ミスの周回はできるようになるまで繰り返しの姿勢が大切です。過去問対策は子供によってやり込み方に大きな差があります。

成績がよい子供は、間違えた問題が「捨て問」かどうか最初に確認します。捨て問とは、難易度が高すぎたり時間がかかりすぎたりするため、テスト本番であえて捨てる問題のことです。やり直しする必要のあるミスだけを洗い出し、自力で解ける力がつくまで徹底的にやり込みます。何度もやっていると問題自体を丸暗記してしまうため、期間を置いて忘れたころに、再チャレンジするようにしましょう。

成績がいまいち伸びない子供は、解いて点数を見て満足してしまいます。採点だけしてミスした問題は見向きもしません。もしくは、解答集を読んでわかった気になって、解法を丸写ししておしまいです。こうしたケースは非常に多いので、やり方を改める必要があります。

期間を置いて解き直したとき、なんのヒントもなく自力で解けるレベルに到達できるよう、何度でもやり直しましょう。

ミスの管理は親のサポートが必要

子供だけでミスの管理をするのは難しいです。受験期のプレッシャーで、子供には「よい得点をとって親を安心させたい」「合格点をとって少しでも安心したい」という気持ちが強くあります。そのため、十人子供がいると、九人は採点の仕方が甘くなるのです。「ほとんど合っているしマルでよいや」と採点基準を都合よく捻じ曲げて、点数を上乗せしてしまいます。

採点は基本的に親がしたほうがよいでしょう。ミスした問題は日付を書き込みマークします。過去問対策用のやり直しノートを作るのもよい方法です。ミスのやり直しは必ずそのノートにやるようにすると、二回目以降のやり直しでミスしたときに、前回のミスしたポイントとの比較ができます。

ミスの完全克服は子供の管理能力だけではなかなか追いつきません。ノートと問題集の書き込みを見比べながら、親が不足箇所を指摘できるとよいでしょう。

ミスのレベルで色分けをしよう

ミスとひと口に言っても全く理解できなかった問題もあれば、惜しかった問題もあります。テキストに間違えた日付を書き込む際に、ミスの程度に合わせて色の変化をつけると、やり直す際にわかりやすいです。子供としても「あと少しで解けるミスもあった」と思うだけで励まされてやる気になります。まずは「あと一歩」レベルのミスから克服していきましょう。

色分けしたミスの点数に注目

色分けのメリットはほかにもあります。色分けを参考に、「あと一歩」レベルの問題がもし全て正解だったら何点になるかを計算してみましょう。それだけで合格するための点数に届くのであれば、無理に難しい問題を理解する必要はありません。自分が合格するためには、どのレベルをどの程度理解しておけばよいのかを知っておきましょう。

なお、合格するための点数とは平均点のことではありません。合格最低点のことです。合格最低点は科目ごとに公表されるのではなく、合計で公表されます。そのため、だいたいの目安を計算して求めなければなりません。たとえば、国語と算数がそれぞれ100点満点、理科と社会がそれぞれ50点満点という試験の場合、全問正解なら合計で300点がとれます。

合格最低点が200点と公表されている場合、200÷300ですから全体の3分の2解ければ合格できる計算です。国語や算数なら約67点、社会と理科なら約33点分解ければよいと理解してください。もちろん、あくまで目安であり正確ではありません。それでも、過去問対策の方針を立てる上で、ある程度参考になるはずです。

ミスを周回する際は類題もやってみる

何度も解き直しているうちに問題自体を丸暗記してしまうことはよくあります。少し期間をあけてからやり直す、もしくは類題を並行して解いてみるのをおすすめします。類題をピックアップするのは手間がかかるので、塾や家庭教師の先生に相談してみましょう。

過去問を解く順番はどうやって決めるの?

過去問を解く順番はどうやって決めるの?
過去問を解く順番をどのように決めるかについては、以下のとおりです。

第一志望の問題集から解く

「第一志望は一番大事だから、最後までとっておく」というやり方を選ぶ子供がいます。時間に余裕があるのなら、それも可能かもしれません。しかし、基本的には第一志望の問題集から着手してください。

過去問対策は自分の実力を正確に把握し、やり込みの不足している単元を見極めるためのものです。第一志望から解かないと対策するための時間が足りない事態に陥りかねません。第一志望のあとは第二志望、第三志望、と志望順に解き、着実に対策していきましょう。

最新の年度から解く

過去問は基本的に最新の年度から解いていきます。直近の出題傾向を把握しておかないと、対策が立てづらいからです。問題の形式も古いものだと、現状と差があるケースがあります。

実力不足の場合、過去問対策に遅れが出ることも

実力不足の場合、過去問対策に遅れが出ることも
過去問対策をスケジューリングしても、なかなか予定どおりに進まないものです。そんなときはどうすればよいでしょう。

過去問対策は思った以上に時間がかかる

「今日は、二年分の過去問を解く」と張り切って臨んだ子供が、一年分だけ解いてタイムアウトなんてケースはよくあります。「ちゃんと勉強しよう」という意識の強い子供ほど、予想していた何倍も時間がかかってしまうのです。

気が焦るとやり方がいい加減になりますから、過去問のやり直しは時間がかかる事実を取り組む前から親子で共有しておきましょう。

過去問対策に遅れが出たら

過去問対策に遅れが出て、予定していた分のやりこみが厳しいようであれば、無理に予定どおり進めなくて大丈夫です。古い年度から削って進めてみてください。

たとえば第一志望を五年分、第二志望を三年分、第三志望以下を二年分やると決めていたら、第一志望を四年分、第二志望を二年分、第三志望はそのまま二年分やるけれど第四志望は一年分、といったように縮小する方向で調整していきます。調整するにあたっては、今の自分の学力に合った削り方をしてください。

たとえば、第一志望が記念受験に近く、実際には第二志望が本命なのであれば、第一志望の過去問は大きく削ってもよいです。その場合、第二志望の過去問はなるべく減らさないほうがよいでしょう。

スケジュール 第一志望 第二志望 第三志望
(それ以下)
当初の予定 五年分 三年分 二年分
調整後 四年分 二年分 二年分
(第四志望以下は一年分)

予定どおりを優先し見直しを疎かにするのはNG

一番ダメなのは、決めていた過去問を予定どおりこなして、ミスの見直しをろくにしないまま満足してしまうことです。残念ながら、子供だけに過去問対策を任せると、だいたいこのやり方を選んでしまう傾向にあります。

古い年度の過去問を削ることが不安なら、とりあえずどんな問題が過去に出されていたかだけでも、目を通しておきましょう。どの単元からどのレベルの問題が出されているかだけなら、解かなくてもわかります。

過去どのぐらいの周期で同じ単元からの出題のある学校なのか、今年はどの単元から問題が出そうかなどを予測してみるとよいでしょう。塾やベテラン家庭教師には長年蓄積された予測ノウハウがあるはずです。一度相談してみてください。

過去問が解けなさ過ぎてやる気がなくなったら

過去問が解けなさ過ぎてやる気がなくなったら
中学受験勉強をする子供はいつもいっぱいいっぱいです。過去問に歯が立たず現実を思い知り、「しばらく過去問をやりたくない。いまの段階でやっても無駄な気がする」と言い出す子供もいます。

その場合は、その子がどのぐらいできていて、どの程度受かる可能性があるのかを塾や家庭教師との間で情報共有するとよいです。「この時期、どのぐらい点数をとれていれば受かりますか」と先生に質問してみましょう。意外と低い点数にびっくりするはずです。

「秋に過去問が解けないのは、特別なことではなく当たり前のことである」と伝えてあげてください。合格のために必要な点数の半分以下である場合は、厳しい状況であることを自覚する必要があります。点数が半分以上あるのであれば、やり込み方次第でチャンスはあるはずです。

子供が一番不安なので親や周囲は「大丈夫。ミスや苦手単元をしっかり克服すれば、合格できるよ」とポジティブな声かけをして、やるべき内容を伝えてあげましょう。なにをやるべきか具体的な指標さえあれば、子供は安心して過去問に向き合えます。

過去問全体の周回ではなくミスの周回が必須

過去問全体の周回ではなくミスの周回が必須
過去問で全体を周回する必要があるのは、御三家レベルの学校だけです。それ以外の学校を志望しているのであれば周回する必要はありません。

取り組む問題の量も、残り時間や自分の実力、学校への志望度と相談して調整して大丈夫です。第一志望なら五年分、第二志望なら三年分、第三志望以下なら一~二年分というのが、ひとつの目安でしょう。解かなかった問題も、とりあえずざっと見るだけ見ておいてください。過去の出題傾向を頭に入れておけば、今年の出題予測も立てやすいです。

過去問は簡単な問題から難しい問題までバラエティ豊かにそろっています。大切なのはどのレベルの問題を何問解けば、合格ラインに達することができるかを知ることです。ミスした問題が貴重なヒントになります。ミスした問題のうち、なにをどの程度解ける必要があるのか見極めましょう。

そのためには過去問の問題集に解いた日付を記入する方法がおすすめです。日付はあと一歩で解けた問題なら赤、難しければ青など、色分けして復習しやすくしておきます。

過去問をやる順番は基本的に志望度の高い学校の、新しい年度の問題からです。志望度の高い学校の過去問から着手しないと、時間が足りなくなる可能性があります。受験まであと少し、悔いの残らないやり方で過去問に取り組むことをおすすめします。

あわせて読みたい記事

過去問題に取り組む際、多くの親子が「点数」、「スケジュール」などで不安になります。そこで「点数」について「中学受験の過去問が全然解けない!秋に何割解ければ合格できる?」にて、いつ、何割を目指すべきかなどを紹介しています。是非ご参照ください。


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