中学受験を目指す子供の夏休みの勉強時間は?スケジュールの立て方

中学受験を目指す子供の夏休みの勉強時間は?スケジュールの立て方

中学受験で合格を勝ち取るためには、夏休み中の過ごし方がカギとなります。毎日どのぐらいの勉強が必要で、どうスケジュールを立てていけばよいのでしょうか。この記事では、低学年・高学年それぞれの勉強の仕方を紹介します。

低学年の夏休みの過ごし方

低学年の夏休みの過ごし方
一年生から三年生の勉強の仕方を紹介します。

学校の宿題は七月中に終わらせる

学校から出た宿題は早めに終わらせてしまうことをおすすめします。
夏休みの宿題の冊子は、自治体にもよりますが、たとえば一年生なら一日四~五ページぐらい進めていけば七月中に終えることが可能です。

一ページあたりだいたい五分から十分ぐらいで解ける内容になっています。学校の宿題には一日三十分前後割いて取り組むとよいでしょう。それ以外の勉強は低学年だと一時間から二時間が多いです。

夏期講習で勉強の楽しさを

一年生対象の夏期講習の授業時間はそう多くありません。低学年向けの夏期講習は、学習への関心を引き出すことがメインだからです。

塾としては「夏期講習をきっかけに通ってくれたらよい」という狙いがあるため、知識をただ詰め込むようなことはせず、向学心を伸ばすようなカリキュラムを採用しています。

低学年のうちから「勉強嫌い」になってしまう子供も多いです。もし、子供にそうした兆候が見られるのであれば、夏期講習で新しい学習体験をさせてみるのもよいでしょう。家庭教師サービスでも夏期講習プランをやっているところがあります。一対一の指導のほうが向いていると感じた場合は、家庭教師にお願いするのも手です。

一学期の段階での学習の遅れは個別指導や家庭教師で

もし、一学期の段階で基本的な学習で遅れをとっているのであれば、個別指導塾に通ったり家庭教師をつけたりするのがおすすめです。
低学年の内容であれば、夏休みの数日間集中的に復習をするだけでもかなりの効果が見込めます。

夏休み中の読書がカギ

高学年になると、徐々に受験対策に追われ読書時間を多く確保するのが難しくなってきます。低学年のうちにしっかりと本を読みましょう。

夏休みの読書感想文課題や読書感想ノート

読書感想文を募集する学校や、読書感想ノートを書くように促す学校も多いでしょう。現在、学校教育は読書習慣に力を入れています。中学受験でも読書をしてきた子供とあまり読書をしてきていない子供では、びっくりするほどの差がつきます。

読書をしてきた子供はたいてい国語の成績がよいです。文章を読み飛ばさない習慣が身に付いているので、出題意図を早とちりすることも減ります。

「漫画なら読みたい」という子供は多い

「漫画ばかり読んでないで勉強しなさい」なんて言い回しは小言の定番ですが、むしろ漫画でもなんでも、読める本はたくさん読んだほうがよいです。
低学年だと、まだ文章量が多い本を読みこなせない子供はたくさんいます。低学年に大人気の「かいけつゾロリ」シリーズを読むとわかるのですが、漫画と小説を混ぜたような独特の表現が貫かれています。文章量の多い本には手が伸びなくても、吹き出しの中にある文字だけなら「読んでみよう」となる子供は多いです。

「漫画を買い与えたいが、低学年になにを買うべきかわからない」という場合は、学習漫画もおすすめです。小学二・三年生ぐらいになれば、各大手出版社から出ている歴史漫画にも興味を持つ子供が出てくるでしょう。今のうちから読んでおくだけで、歴史への理解がスムーズになります。

夏休みは図書館の貸出上限数を増やす自治体も

夏休み中は図書館の貸出上限数を増やす自治体が多いので、できるだけたくさんの本を借りて、読む時間をとりましょう。親が忙しいと、つい動画やゲームの時間を無制限にして、その間に家事を進めたり在宅ワークをしたりという流れになりがちです。
可能であれば、タイマーをかけてきっちり一時間ぐらいで終わらせて、読書時間を確保するようにしたほうがよいです。

読む本はあくまで子供に決めさせてください。子供が「もう本はよい」と投げ出したら、そこで終了です。読む習慣がない子供にきっかけを作るのが目的なので、飽きたところを無理強いする必要はありません。

夏休みこそ体験イベントに

夏休み中は各地域で体験イベントが開かれます。博物館や水族館、動物園、各テーマパークなどでは子供の学びにつながるテーマで開催されるイベントが少なくありません。たとえば、カブトムシ・クワガタの採集を楽しめるようなイベント、科学実験を楽しめるイベント、生き物たちの夜間公開イベントなどです。さまざまな魅力的な催しを活用し、子供の知的好奇心を育んでいきましょう。

低学年の場合のポイント
  • 学校の宿題は七月中に終わらせる
  • 夏期講習で勉強の楽しさを身に付ける
  • 学習の遅れは個別指導や家庭教師で補う
  • 読書の習慣付けと時間を確保する

高学年の夏休みの過ごし方

高学年の夏休みの過ごし方
高学年の夏休みの過ごし方を紹介します。

四年生の学習の仕方

首都圏の中学受験塾では小学三年生の二月から四年生コースが始まります。つまり、受験勉強が本格的になるのは小学四年生からです。

四年生は集中力がそんなに長い時間持続しない子供が多いので、一日に何回かに分けて勉強時間を設定することをおすすめします。また、一回の間に小休憩をとらせるのもよいです。「三十分やって五分休憩し、もう三十分やる」といったリズムを作るとスムーズでしょう。

もしくは家庭教師や個別指導と併用すると、本人のやる気に左右されづらい学習リズムを作れます。夏休み中の家庭学習の時間は、だいたい二時間半から三時間が理想です。

五年生の学習の仕方

四年生では夏期講習をスムーズにこなせた子供も、五年生になると息切れしてしまうケースは珍しくありません。夏期講習のカリキュラムが受験に向けて本格化し、日数も大きく増えるためです。

夏期講習の長い期間を高いモチベーションで完走するためにも、メリハリある学習が大切です。勉強と自分の時間を両立するためには、集中して学習する必要があります。五年生になると、夏期講習の宿題は大幅アップの塾が多いため、要領よくこなさないと、自分の時間を持てないまま一日が終わってしまうのです。まずは、四年生の学習の仕方で紹介した最低限の授業中の取り組みを実践させてください。

その上で、自習室をどう使うかが大切です。サピックスなどの自習室のない塾は別ですが、五年生ぐらいになってくると居残って宿題を終わらせる子供が多くなります。しかし、自習室に居残る子供も、全員が全員集中して勉強をするわけではありません。むしろ、居残りの名目で友達と交流しようとするケースも目立ちます。自習室を利用させる場合、「宿題を必ず終わらせてくるように」「授業でわからなかったところすべての解きなおしをしてくるように」など目標を明確化して伝えましょう。「自習室で勉強しておいで」というようなあいまいな指示はしないほうがよいです。

子供の様子が心配な場合は、塾に伝えておくとよいでしょう。巡回等で対応してくれます。家庭で学習させる場合は、家庭教師を活用するのはどうでしょうか。塾の補習の位置づけでお願いしておくと、スムーズなサイクルができあがります。夏休み中の家庭学習はだいたい三時間から三時間半ぐらいの子供が多いです。

六年生の学習の仕方

六年生は夏期講習に集中する姿勢が大切です。よく過去問を始めたり、新しい問題集に手を出してみたりという子供がいますが、それはあまりおすすめしません。御三家を受けるなら、成績と照らし合わせて過去問を夏休みから始めたほうがよいケースもあります。基本的には秋からで大丈夫です。そのあたりは塾や家庭教師と相談して決めましょう。

夏期講習の内容を確実に理解することが受験への近道です。焦りからあれこれと手を出すべきではありません。ただし、夏期講習の内容を確実に理解できたのであれば、余った時間で苦手単元の克服に注力するようにしてください。苦手単元といっても、志望校の出題傾向とかけ離れた単元であれば後回しです。優先順位は、受験校によって大きく変わるので塾や家庭教師と相談してください。夏休み中の家庭学習の時間はだいたい四時間前後の子供が多いです。

高学年の夏期講習。復習はしっかりと

夏期講習に参加する場合、宿題だけをやるのではなく必ず授業でわからなかったところ、間違えたところを復習するようにします。高い費用をかけて、夏期講習を受けさせても、ただ受けるだけではあまり効果は見込めません。授業を聞き流し、復習もせず、宿題を表面的にこなしてせっかくの夏期講習を生かせない子供は多いです。

そうならないようにするために、事前に夏期講習に臨む心得を共有してください。その上で、授業中にやるべきことを伝えましょう。
まず、ノートには日付とテキストのページ数や問題番号を確実に書いておくこと。この作業が疎かになっている子供は多く、「テキストのどこをやり直せばよいのかわからない」と嘆くはめになります。

板書を写すだけではなく、わからなかった問題にマークすることも大切です。そうしないと、見直したときに「どの問題がわからなかったのかがわからない」状態になり、探すのにも一苦労となってしまいます。

宿題のやり方も一度目を通してあげたほうがよいです。「わからなかったから」とほとんど空欄のまま提出する子供はいます。なぜ宿題がそれほどまでにわからなかったかといえば、当然授業を理解できていないからです。なぜ授業が理解できていないのかを考えて対策する必要があります。塾での様子を一度確認してみてください。

高学年の場合のポイント
  • 四年生から受験勉強を本格化させる
  • メリハリある学習を心掛ける
  • あいまいな指示をせずに目標を明確化する
  • 過去問は6年生の秋からを目途に始める
  • ノートの付け方の工夫と復習に時間を割く

受験勉強のスケジューリング

受験勉強のスケジューリング
受験勉強のスケジューリングのコツを紹介します。

学年ごとに夏期講習の比重は変わる

四年生・五年生・六年生でスケジューリングの仕方は変わってきます。
四年生は夏期講習も大事ですが、期間がそう長いわけではないので、夏期講習以外にもう一本、夏休み中の学習における軸を設定する必要があります。これまでつまずいていた単元の基礎を固めたり、語彙力を増やしたりする時間をとってください。

五年生は、夏期講習中心の夏休みです。わからない問題はその日のうちに先生に質問しておいてください。六年生は夏期講習と苦手単元の克服を並行しましょう。

なお、夏期講習において単科での追加講座を増やす必要性はあまりありません。それよりも自習室に居残って、ピンポイントでわからないところを聞いたほうが効率がよいです。質問して一問一問理解し、複数回やり直せるだけの時間をスケジュールにあらかじめ落とし込んでおきましょう。

勉強ばかりにならないスケジューリングを

四年生から勉強ばかり詰め込む必要はありません。やるべき内容が終わっていれば、なるべく遊ばせてあげてください。
五年生はまだ先が長いので、息切れしないためにはどうすればよいのかを考え思いきり遊ぶ日を組み込みましょう。
六年生は夏休みで手を抜くと、合否を左右しかねないので、徹底的に勉強します。一方で、夏期講習が休みの期間に一泊二日程度の旅行を入れる家庭も少なくありません。

いずれの学年も、宿題だけではなくその日やった内容の復習、苦手単元の克服を毎日の予定に組み込んでいきます。自分の力だけでは休憩時間を作れないのなら、教育サービスの力を借りて補習を進めていきましょう。

塾に通っていなくて家庭教師だけの場合は?

家庭教師を利用していて塾に通っていない場合は、夏休みの計画表を最初に先生と作っておきましょう。

夏休み最後までに絶対達成する目標を決めて、それに向けた週ごとの目標を立てます。最後に日割りでやることを振り分けましょう。一週間に一度、計画の遅れを取り戻すための日を設定するとよいです

夏休み中の受験勉強スケジューリングで重要なこと
  • 新たに講座を増やさず複数回やり直せる時間を確保しておく
  • 短い旅行を入れて勉強だけにならない様にする
  • 家庭教師の場合は一週間に一度の頻度で計画の遅れを取り戻す日を入れる

夏休みは実力アップのチャンス

夏休みは実力アップのチャンス

夏休みをうまく使えば、成績を飛躍的に伸ばすことができます。そのためには、学年ごとに適切な計画を立てて勉強しなければなりません。
低学年のうちは基礎を固めることと、知的好奇心を育むこと、多くの本に触れて読解力を伸ばすことが大切です。

高学年になれば、夏期講習を中心に夏休みにするべきことを整理する必要があります。
四年生のうちは長時間勉強するのは難しい子供が多いので、時間を小分けにしてやらせる方法もあります。五年生は夏期講習のボリュームが急に増えて、勉強時間や宿題量についていけなくなる子供が少なくありません。自習室の活用の仕方なども考えながらうまく進めていく必要があります。六年生は夏期講習の内容を理解し復習することに集中しましょう。既存の問題集で弱点を克服するとよいです。過去問をやり始める時期は塾や家庭教師と相談して決めてみてください。


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