難しい中学受験の算数。苦手単元を克服して合格を勝ち取るには

難しい中学受験の算数。苦手単元を克服して合格を勝ち取るには

中学受験の算数は難しいため、苦手意識を強く持っている子供が多いです。基本レべルまではなんとか解けるようになっても、いざ応用に挑むとまるで歯が立たないケースをよく見ます。受験本番が近づけば近づくほど、焦りは募るものです。この記事では、中学受験の算数とどう向き合っていくべきかを紹介します。

中学受験の算数で成績が上がらない子供・上がる子供

中学受験の算数で成績が上がらない子供・上がる子供
中学受験で成績が上がらない子供と、成績が上がる子供の違いを紹介します。

成績が上がらない子供とは

中学受験の算数で成績が上がらない子供は、「理解した気になって復習を怠るタイプ」が圧倒的に多いです。模範解答を読んだり、解説を聞いたりすると、なんとなく問題を理解したような気になります。しかし、実際にそれだけで理解できているケースは稀です。本番の点にはなかなかつながりません。本当に自分が理解できているか自問する姿勢が大切です。

成績が上がる子供とは

中学受験の算数で成績が上がる子供は、自分が間違えた問題や苦手な問題のやり込みができています。解説を聞いたあと、自力で解けるまで幾度となくやり直しをするタイプです。勉強が無駄に重複することもありません。受験勉強は時間が限られていますから、効率的なルーティンを確立できている子供が、最終的に成績を伸ばします。どのタイミングで宿題をし、何曜日に質問し、やり直しをするのかなどの大まかなルールを決めて、できる限りそれを守るようにしましょう。

算数の問題集はいつまで書き込んでもよい?

算数の問題集はいつまで書き込んでもよい?
低学年のうちは、問題集に答えを書き込ませてあげたほうがよい場合もあります。ノートに書き写すのは低学年にとっては意外と負担になる作業です。ミスも発生しやすくなりますし、ひと手間かかってしまうことでモチベーションも上がりづらい傾向にあります。

加えて、低学年の子供の多くは決められた解答欄の中に答えをうまく収められません。字を大きく書きすぎてはみだすのが常です。なるべく実際のフォーマットに合わせて書き込む練習をさせてあげるとよいでしょう。コピーして渡してもかまいません。ただし、コピーをただ渡すだけでは管理できないので、ファイリングのサポートもしてあげてください。

問題集に直に書き込むのは、基本的には二年生までぐらいまででしょう。それ以降はノートに書き込み、問題集には間違えたかどうかの記号だけを残します。

基本の計算は大丈夫?

基本の計算は大丈夫?
計算でつまずくと、算数は得点できません。どう対策を進めていけばよいのでしょうか。

計算は点取り問題

算数を解く上で、最低限必要となるのが計算力です。計算ができなければ、計算問題はもちろん、文章題も解けません。計算問題は基本的に「点取り問題」の位置づけですが、それでも計算問題でミスをする子供はたくさんいます。中学受験において計算問題で点をとれなければ、合格ラインに達するのは難しいです。いかに受験本番までに確実に解けるようにするかが問われます。

計算はやり込みが大切

計算では正確さと速さの両方を求められます。そのため、なるべく問題数を多くこなしましょう。何度もやる内にこれまでいちいち手をとめていた部分で引っかからなくなります。

解く際には目標時間を決めて、タイマーをかけておくとよいです。残り時間が可視化されないと、子供はつい気を緩めてしまいます。毎回、時間をはかっておけば、自分がどのぐらいスピードアップできているかを実感できます。間違えた問題はその場でやり直したあと、必ず印をつけて後日もう一度やり直してください。やり直して間違っているようであれば、解き方の説明を求めて、理解してからまた後日再チャレンジします。

やり直し続けることはかなりの負担です。それでも、続けていける子供はグングン伸びていきます

計算の仕方を理解する速さは個人差が大きい

計算の仕方をなかなか理解しない子供相手に、イライラしてしまう大人も多いのではないでしょうか。しかし、学習における理解度には個人差がどうしてもあります。

計算の仕方を説明してすぐにピンとくる子供もいれば、まるで理解できない子供もいるのです。一年生のくり上がり・くり下がりを教えた際の反応の差などは特に顕著で、理解が早い子供はやり方を一度説明しただけですぐさま解けます。しかし、特に理解が早いわけではない子供は何回も質問し、解いては間違えを繰り返し、ようやく解き方を理解することができるのです。

くり上がり・くり下がりに限らず、算数において子供がつまずきやすいポイントはいくつもあります。受験算数ともなれば、なおのことです。一度に解く問題数を少なめにして、小分けにしてやらせるとよいでしょう。

同じようなミスを頻発している場合はミスの分析を

計算問題を採点していると、同じようなミスを頻発する子供が必ずいます。とりわけ、分数、小数の計算では、その傾向が顕著です。分数のたし算・ひき算、かけ算、わり算の解き方でこんがらがってしまう子供もいれば、小数を分数に直す際に分母の桁でミスをしてしまう子供もいます。

ミスは一回きりならばたいした問題ではありません。しかし、同じミスを繰り返しているのであれば、ミスの原因を分析して基本に立ち返った復習をしましょう。

なお、一番多いのは途中式を省いてしまい、計算ミスを引き起こすケースです。次いで、途中式がぐちゃぐちゃで解き間違えているケースにもよく出会います。計算の途中式は時間の許す限り書き出し、ミスの予防に努めましょう。見直しをするにあたっても、途中式が書かれていればとても楽です。合っているのか間違っているのかがすぐ確かめられます。

中学受験の算数で苦手な子供が多い単元

中学受験の算数で苦手な子供が多い単元
中学受験の算数で、苦手な子供が多い単元はいくつかあります。以下、具体的に見ていきましょう。

平面図形・立体図形

図形は一問あたりの配点が高いことが多い、頻出の単元です。

図形は基本を固めてからステップアップを

平面図形・立体図形の問題は中学受験では定番です。しかし、図形を見て問題の意味するところを正確に想像するのは簡単ではありません。

図形の問題もまた積み重ねです。平面図形が解けるようになって、初めて立体図形も解けるようになります。まず平面図形の基本問題を確実に解けるよう仕上げていきましょう。
ただ、そうはいっても、図形は問題のバリエーションが多いですから、勉強には時間がかかります。

受験が迫ってくるとつい焦りから、平面図形が仕上がらないのに立体図形に移ったり、基本問題がろくに解けないのに応用問題に挑戦したりする子供が出てきます。しかし、それでは受験本番で得点できるはずがありません。段階を踏むことが大切です。

平面図形の問題を解く際、補助線を問題集に書き込まない

平面図形の問題を解く際にはコピーをとるか、ノートに書き写した上で、必要があれば補助線を引いてみましょう。補助線を引く作業を問題集にやってしまうと、消しゴムで消したところで跡が残りますから復習しづらくなります。

平面図形・立体図形ともに、面積や体積をはじめ、さまざまな公式を使う必要があります。図形が苦手な子供の中には、公式をあやふやにしか覚えておらず、解き方を見つけられないケースも多いです。定期的に必要な公式をチェックしてあげるとよいでしょう。ただし、公式は丸暗記すればよいというものでもありません。どうしてそういう公式になるのか、理解した上で覚えたほうが長く記憶できます。公式の背景も含めて説明しておくことをおすすめします。

割合・比が苦手な子供は分数をやり直そう

割合・比が苦手だという子供は多いです。百分率や歩合、比の計算の仕方を改めて復習してください。分数の計算からやり直さないといけない子供も少なくありません。

割合や比は理解を促す知育玩具も出ていますし、問題集やテキストだけでは理解できない子供は、試してみるのもよいでしょう。「もとにする量」と「比べる量」がわからなくなるのであれば、線分図に直す習慣をつけてみてください。視覚化することで徐々に解けるようになってきます。

小学校では習わない中学受験の特殊算

特殊算を使う単元も、苦手な子供が非常に多いです。特殊算とは、小学校では習わない計算方法で、中学受験では必須です。代表例として、「つるかめ算」が挙げられます。中学受験で使う特殊算は、なんと20種類以上にのぼります。

とりわけ、面積図で解くつるかめ算・濃度算・平均算・仕事算、線分図で解く和差算・年齢算・損益算、速さを求めるのに必要な旅人算・流水算・通過算、仕事を求めるのに必要な仕事算などはよく使うことでしょう。

面積図の特殊算は使いこなせるようになるまで、時間がかかる子供が多いです。「これは面積図を使う問題だ」となかなか見分けられません。また、ちゃんと「この問題は面積図だ」と判断できたとしても、図がうまく描けず頭を抱えてしまいます。面積図の縦・横になにを落とし込むかが判断できないのです。最初から面積図が得意な子供はごく一部。こればかりは問題数をこなして経験を積んでいくほかありません。

中学受験における苦手単元を克服するには

中学受験における苦手単元を克服するには
中学受験における苦手単元を克服するにはどうすればよいのでしょう。

苦手単元を後回しにしたがる子供に要注意

苦手単元が志望校において頻出の単元であるなら、すぐにでも克服する必要があります。しかし、子供の多くは苦手単元を後回しにしがちです。成績が上がらない子供は、むしろ自分が確実に解ける問題を何度も解きたがります。自信をつけたい気持ちはわかりますし、落ち込んでいるときであれば、そうした勉強の仕方が必要なときもあるでしょう。

ある六年生の男の子は過去問に挑戦して、マル付けを終えると「〇△点だった。前よりはよかった」と報告だけし、ミスした問題や手こずった問題を一切やり直そうとしませんでした。「間違えた問題をやり直さなければ点数アップに結び付かないよ」と注意を受けても、「でも、過去問こそもっともやり直す必要がないと思うな。だって間違いなく同じ問題は出ないもん」と答えていました。

過去問とまったく同じ問題が出るケースは稀でしょうが、類似する問題はいくらでも出る可能性があります。そもそも、過去問をやるのは、自分の不足を把握するためでもあるのです。ゲーム感覚で解いて点数を見て満足していては受験でよい結果を出すのは難しいでしょう。

苦手単元を後回しにしてもよいことはなにもありません。塾や家庭教師の先生に相談して、改めて取り組むべき優先順位を提示してもらいましょう。

苦手単元の関連単元まで網羅しよう

自分が苦手だと感じている単元が必ずしもつまずきの原因とは限りません。単元はひとつずつ独立的に存在しているわけではなく、ほかの単元との関連性があります。どこの単元から理解できていないのか、塾や家庭教師の先生に相談して洗い出してもらいましょう。そうしないと、いきなり問題を解いても歯が立ちません。単元をさかのぼるのは、遠回りしているようで気持ちが焦るかもしれませんが、最終的には一番の近道になるはずです。

算数の苦手単元を克服して合格を勝ち取るためには

算数の苦手単元を克服して合格を勝ち取るためには
中学受験の算数はとてもハイレベルです。そのため、復習ができていないとあっという間に取り残されてしまいます。今現在、出遅れたと感じているのであれば、すぐにわからない単元の復習にとりかからなければなりません。

勉強の優先順位は独断で決めるのではなく、必ず塾の先生や家庭教師に相談しましょう。優先順位は一律ではありません。能力や志望校によっても、大きく変わってきます

間違えた問題は何回でも自力で解けるまでやり直します。期間を空けて複数回挑むようにしましょう。計算問題では、これまでのミスの傾向を分析してください。ケアレスミスのひと言で片付けると、同じミスを繰り返しかねません。

平面図形・立体図形、割合・比、特殊算といった単元は、解けるようになるまでに時間がかかるため、つい「わからない」と投げ出してしまいがちです。しかし、これらの単元が「わからない」のは当然なので、不安になる必要は全くありません。そこで踏ん張って「どうしてわからないのか。どうやったらわかるのか」と自問できる子供が伸びます

算数は解き方を理解し、その上で問題数をこなしていくことが大切です。それができるだけの学習ルーティンを確立させましょう。


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