昨今、中学受験では英語資格を評価する向きがあります。英語資格を持っていることが出願条件に組み込まれていたり、加点として扱われたりするケースは珍しくありません。この記事では、英語資格型入試について紹介します。
英語資格型入試とは
英語資格型入試とは、英語資格を評価する入試のことを指します。
英検、TOEFL、IELTSなど、資格やスコアが出願条件や加点対象として組み込まれているタイプのものです。帰国生入試も語学力を問われる試験が主ですが、英語資格型入試は帰国生入試とは異なります。対象を帰国生に絞っていない入試が多いためです。
英語資格型入試の背景
グローバル化に伴い、多くの学校では語学教育を重視しています。国際社会に出て活躍するためのスキルを伸ばせる学校であることは、私立の人気校としていまや当たり前の要素なのです。
留学制度や国際交流イベント、英語でのディベートの場などを設けて、それを学校の魅力として打ち出しています。学校の教育方針として語学を重視しているため、方針と合致する生徒を広く受け入れています。
英語資格型入試を導入している学校は?
以下に英語資格型入試を導入している学校を一部紹介します。なお、帰国生入試で英語資格を審査基準にしているケースは除いています。
豊島岡女子学園中学校 | 広尾学園中学校 | 広尾学園小石川中学校 |
玉川学園中学部 | 昭和女子大学付属昭和中学校 | 品川女子学院中等部 |
山脇学園中学校 | 東京家政学院中学校 | 京華女子中学校 |
聖学院中学校 | 三輪田学園中学校 | 三田国際科学中学校 |
日本大学豊山女子中学校 | 清泉女学院中学校 | 城西大学附属城西中学校 |
カリタス女子中学校 | 白梅学園清修中学校 | 桐蔭学園中等教育学校 |
豊島岡女子学園中学校
算数・英語資格入試を導入しています。
募集人数は若干名で、算数の得点を二倍したものに、英検級によるみなし得点を加算し、300点満点で計算するという仕組みです。たとえば準一級以上(CSEスコア2304以上)ならみなし得点は100点となります。2級(1980~2303)で90点、準2級(1980以上)で80点、準2級(1728~1979)で70点、3級(1456以上)で50点です。
出願時に英検CSEスコア証明書が必要となります。なお、この試験は、帰国生も含め受験可能です。
広尾学園中学校
広尾学園中学校は帰国生入試とは別に、一般入試で国際生AG回を設けています。出願資格は「英検2級以上、または同等の英語力を有するもの」。
選考方法はJapanese(日本語による出題)30分/50点、Mathematics(英語による出題)50分/50点、English(英語による出題)50分/100点、Interview(英語/日本語)10分(個人面接。再受験生は免除)。
なお、TOEFL iBTでスコア90以上の場合はEnglishの試験は免除です。事前にスコアの提出が必要となります。
広尾学園小石川中学校
広尾学園小石川中学校では、広尾学園中学校と同様、一般入試で国際生AG回を設けています。出願条件も同じで「英検2級以上、または、同等以上の英語力を有する者」。
English(英語による出題)は50分/100点、Mathematics(英語による出題)は50分/50点、Japanese(日本語による出題)は30分/50点、Interview(英語/日本語)は10分(個人面接。再受験生は免除)。
なお、TOEFL iBTでスコア90以上の場合Englishの試験は免除となります。事前にスコアの提出が必要です。
玉川学園中学部
玉川学園中学部には、一科目(国語または算数)+英語資格の英語資格利用型入試があります。英語資格点が設定されていて、英検2級以上は100点、準2級プラスは90点、準2級は85点、3級は70点です。
なお、英語資格利用型入試の受験資格として英検3級以上が組み込まれています。
昭和女子大学付属昭和中学校
帰国生入試のほかに、本科入試のAA、AB、GA、GBでも特定の資格取得者は英語の試験を免除(100点)しています。
具体的には、CEFR B1以上、英検2級以上、ケンブリッジ英語検定B1以上、IELTS 4.0以上、TOEFL iBT 42 以上、TOEFL Junior 745点以上。英語の試験免除となる取得した当該資格の合格証明書(PDFまたはjpg)の提出が必要です。
品川女子学院中等部
入試の種類を問わず、英語資格の加点やボーダーラインでの優遇があります。
具体的には、英検準一級以上、ケンブリッジ英検FCE以上、TOEFL iBT72以上、IELTS5.5以上のいずれかの場合、第一回・第二回試験では60点加点、表現力総合型では30点加点です。また、英検二級、ケンブリッジ英検PET、TOEFL iBT42-71、IELTS4.0-5.0のいずれかで第一回・第二回試験で40点加点、表現力総合型では20点加点となります。英検準二級、ケンブリッジ英検KETのいずれかで第一回・第二回20点加点、表現力総合型では10点加点。英検3級で第一回・第二回10点加点、表現力総合型5点加点です。
なお、算数一科目試験では、これらの英語資格はすべてボーダーラインでの考慮材料となります。
山脇学園中学校
英語入試があり、2026年3月小学校卒業見込みの女子に対して「2023年度(小学4年生次)第1回検定以降に英検を受検し、出願時に英検3級相当以上を取得している方」という出願条件を設定しています。
定員は帰国生入試との合算です。また、一般入試においても英検四級以上取得の場合のみ合格証のコピーを提出するよう促す文言が要項にあります。
東京家政学院中学校
英語資格入試Aでは、国語のみを必須科目とし、英語は資格を得点化し合算しています(なお、筆記試験と面接試験は免除)。国語は配点100点で試験時間45分。英語は英検準2級以上で100点、英検3級で90点、英検4級で80点、英検5級で70点です。
一方、英語資格入試Bでも英語は資格を得点化しています(なお、筆記試験は免除、面接試験あり)。こちらも、英語は英検準2級以上100点、英検3級90点、英検4級80点、英検5級70点と同様の配点です。英語面接は25点(5分)の配点となっています。資格による得点と面接(25点)の合計点を100点満点に換算します。
京華女子中学校
英検利用ベスト2の二科試験では、英検資格点・国語・算数の三つのうち、上位二つの点数を採用しています。英検資格点は5級55点、4級65点、3級75点、準二級85点、二級以上95点です。
事前に個別相談をした上で、英検合格証明書を出願前に提出する必要があります。
聖学院中学校
英語学習を積極的に行ってきた子供のために、聖学院中学校では英語特別入試を設けています。出願資格は英検3級以上の取得者で、面接試験は日本語と英語での実施です。
資格証明書の提出が必要となります。
三輪田学園中学校
第1回・第2回午前に英検利用入試が行われます。国語もしくは算数の点数が高いほうと英検級による「英語のみなし点」の合計を算出。国語・算数の合計点が二科四科方式の合格最低点を上回っていれば合格とします。
英検3級75点、英検準2級85点、英検準2級プラス90点、英検2級以上100点です。ただし、2022年第1回(6月)以降に取得した英検級に限っています。出願時に、「合格証明書」または「CSEスコア証明書」(いずれもデジタル証明書)をWEB出願サイトから提出しなければなりません。
三田国際科学中学校
インターナショナルクラスを受験する場合、帰国生入試および2月入試(第1回・第3回)の選考で、英語外部テストのスコア等を活用した優遇措置を行っています。試験科目は、英語・国語・算数と面接です。免除対象は「英語」試験(リスニングを含む)のみで、面接は英語と日本語の両方を実施。該当する外部資格とスコア・等級は以下のとおりです。
実用英語技能検定(CBT、S-CBT可)の場合は準1級以上で、提出する証明書は『合格証明書』とデジタル証明書(合格証明書プレビュー画面を印刷したものも可)。
TOEFL iBT(Home Edition可)の場合は72点以上で、提出する証明書は『Test Taker Score Report』(Test Dateスコアのみ採用し、My Bestスコアは採用しません)。
IELTS (Academic Module・Overall Band Score)は5.5 以上で提出する証明書は『Test Report Form』です。
日本大学豊山女子中学校
英語一科入試は、リスニング・ライティング・リーディング(60分70点)、グループ面接のスピーキング(約10分30点)の計100点です。
英検3級レベルの筆記試験とリスニング問題およびグループ面接を通して、英語4技能を測る内容となっています。グループ面接の人数は5人程度ですが、受験者数により増減する場合もあります。面接では課題となる文章の音読が求められます。サイトに事前公開されるので、練習して臨むことが可能です。
英検は3級で10点、準2級で20点、準2級プラスで25点、2級以上で30点の加点があります。
清泉女学院中学校
二期試験のグローバル入試では、英検1級または準1級を取得済みの場合、英語筆記試験を満点とみなし免除します。この場合、英語面接のみを実施です。有効な英検は、小学校4年生以降に取得したものとなります。
なお、受付時に合格証書または合格証明書いずれかのコピーが提出可能なもの限定です。英検S-CBTも有効とされています。英検以外の資格を取得している場合は、出願時に問い合わせなければなりません。
三期試験の三教科試験では英語検定の級を得点化して加算します。1級・準1級100点、2級90点、準2級70点、3級60点、4級50点です。また、英検3級以上の資格を取得している受験生で三教科試験に合格した場合は、入学後に英語のAE(アドバンストクラス)に参加できます。
城西大学附属城西中学校
英語資格型入試はⅠとⅡのふたつがあります。英語資格型入試Ⅰの受験には、英検4級以上の資格が必要です。国語と算数の二科型(計200点)に、英語資格に応じた点を足して合否を判定します。英検による加点は英検4級が10点、3級が20点、準2級以上(またはCEFR A2以上の資格)が30点です。
英語資格型入試Ⅱの受験には英検準2級以上、またはCEFR A2以上の資格が求められます。日本語と英語による面接で判定し、英語面接は英検準2級の二次試験準拠の形式で5~10分行います。
英語資格型入試Ⅲの受験には英検準2級以上、またはCEFR A2以上の資格が必要です。国語と算数の二科型(計200点)と面接(Ⅱと同様)で合否を判定します。なお、成績優秀者は優先的に学力スカラシップ生に認定されます。
カリタス女子中学校
英語資格入試の場合、受けるのは国語一科目だけです。ただし、出願要件として英検3級(あるいは3級相当の資格・スコア)以上の取得が求められます。
なお、国語は100点の配点で制限時間50分です。
白梅学園清修中学校
一般合格判定では、検定資格に応じた加点があります。英検3級以上・TOEFL Primary 212以上・TOEFL Junior 645以上の場合、四科入試では15点加点。二科入試・二科選択入試・適性検査型入試では10点加算、自己表現力入試・英語入試・一科選択入試では5点加算です。
また、英検4級・漢検5級以上・数検6級以上の場合、四科入試では10点加点です。二科入試・二科選択入試・適性検査型入試では5点加点。自己表現力入試・英語入試・一科選択入試でも5点加点です。
桐蔭学園中等教育学校
グローバル入試において英語資格・検定試験の結果で加点があります。
英語資格による加点で合格を勝ち取ろう
英検をはじめ英語資格を持っていることが、有利に働く学校はたくさんあります。この記事で紹介したように、帰国生入試ではなく一般入試でもこうした加点は行われているのです。加点の対象や計算の仕方は学校によって異なり、同じ学校でも入試形式によって大きく変わります。
受験校を選定する際には、募集要項をよく読み、どんな試験方式があるのかを確認してみてください。記事で紹介した学校以外にも、さまざまな学校で英語資格による加点や優遇は行われています。英語が自身の強みであり、行きたい学校が英語資格型試験を導入しているのであれば、特技を生かさない手はありません。
英語資格型試験ではいつ資格を取得したかを問われるケースも多いので、募集要項を読み込んで、自身が条件を満たしているかどうかをチェックしておきましょう。