東京都立南多摩中等教育学校は、フィールドワーク活動を推進していることでよく知られている学校です。この記事では、東京都立南多摩中等教育学校を目指す家庭に向けて、適性検査の出題傾向と勉強法を紹介します。
そもそも、東京都立南多摩中等教育学校ってどんな学校?

東京都立南多摩中等教育学校は、六年制の中高一貫教育を行っている学校です。中学校段階にあたる三年間を前期課程、高校段階にあたる三年間を後期課程と位置づけ、高校受検を挟まないメリットを生かし六年間を見据えたカリキュラムを採用しています。
教育理念は「人間力の南多摩 ―心・知・体の調和―」で、教育目標として「心を拓く」「知を極める」「体を育む」を掲げています。
フィールドワーク活動と豊富な進学実績
学校の特徴としてはWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)とフィールドワーク活動、キャリアデザインに注力している点が挙げられます。まず、WWLとは、国内外の大学、企業、国際機関等が連携してより高度な学びを提供できる仕組みのことです。世界で活躍できる人材を育成します。
また、フィールドワークを前期課程で行い、ライフ・ワーク・プロジェクトを後期課程で行うことで、グループおよび個人による探究活動が可能です。東京都の強みであるICTを活用できる環境も大いに役立っています。
学年が上がるごとに段階的に学びをレベルアップしていて、大まかに紹介すると、一年生では地域学習、二年生では「モノ」を素材とした調査研究、三年生では科学的検証活動、四、五年生では個人でテーマを設定・探究し4000字程度の論文にまとめるという流れです。
このカリキュラムの背景には、自身の関心や特性を掘り下げていくことで、一人ひとりのキャリアデザインや進路選択につながっていくという考え方があります。
2024年度卒業生の合格実績
| 大学 | 合格者数 |
|---|---|
| 国公立大学 | 58名(東京大学4名、京都大学3名、一橋大学3名、筑波大学3名など) |
| 私立大学 | 441名(早稲田大学25名、慶應義塾大学16名など) |
なお、東京都立南多摩中等教育学校における2024年度卒業生の合格実績の一部を挙げると、東京大学4名、京都大学3名、一橋大学3名、筑波大学3名など、国公立大学には計58名、私立大学には早稲田大学25名、慶應義塾大学16名など計441名でした。他には専門学校が1名、海外の大学が6名です。
東京都立南多摩中等教育学校の入試概要

東京都立南多摩中等教育学校の入試概要を見ていきましょう。
2026年度の入試
2026年度の入試は2026年2月3日が検査実施日です。インターネットを活用した出願の入力期間は、2025年12月18日から2026年1月16日までで、書類提出期間は2026年1月9日から2026年1月16日までとなっています。配点は、報告書(360点満点) 、適性検査Ⅰ(100点満点)、 適性検査Ⅱ(100点満点×2で200点満点)です。
しかし、合否を判定するにあたり、報告書を200点満点、適性検査Ⅰ・Ⅱを合計800点満点に換算します。よって報告書と適性検査を合わせて合計1000点満点です。
なお、体調不良などで検査当日受験できない場合は、午後5時までに電話連絡をしてください。追検査を希望する旨を伝え、学校の確認を得ます。やむを得ない入院等により受験できなかった場合も、第三者機関により証明ができれば追検査が認められる可能性が高いので、まずは学校に連絡してください。
ただし、受検者本人に責めがある場合はその限りではないので注意が必要です。追検査実施日は2026年2月13日です。追検査の出願受付日は2026年2月4日、2月5日に設定されています。
2025年度の入試倍率
2025年度は募集人員160名、応募人員599名で、最終応募倍率は約3.7倍でした。ちなみに2024年度は160名の募集人員に、応募人員が596名であったため、最終応募倍率は約3.7倍でした。
ちなみに2023年度は約4.1倍と少し高めでした。4倍前後をひとつの目安にして受検に臨むとよいでしょう。なお、最終応募倍率は小数点第二位以下を四捨五入しています。
| 入試年度 | 応募人員 | 募集人員 | 最終応募倍率 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 599名 | 160名 | 約3.7倍 |
| 2024年度 | 596名 | 160名 | 約3.7倍 |
東京都立南多摩中等教育学校における適性検査の出題傾向

東京都立南多摩中等教育学校の適性検査における出題傾向は以下のとおりです。
適性検査Ⅰは国語型の問題
適性検査Ⅰの検査時間は45分で、大問は一つ、小問は三つです。適性検査Ⅰでは、提示された文章を的確に読解し、設問に対する考えや意見を論理的に表現できるかどうかが問われます。
2025年度は、二つの読解文が連続して提示されて、そのあと設問がありました。小問のうち二つは、読解文に関する記述問題です。三つ目となる最後の問題は作文問題で、300字以上400字以内で書くことを求められます。この際、書き方の決まりが複数提示されるので、ルールを守った上で書かなければなりません。
適性検査Ⅱは算数・理科・社会から横断的に出題
適性検査Ⅱの検査時間は45分で、大問は三つ、小問は六つです。適性検査Ⅱは資料から必要なデータを読み取り、思考・判断する力、論理的に考察・処理する力、的確に表現する力などを見る試験だといえます。
2025年度は大問一で数量や図形の性質、大問二で循環利用について、大問三でシャボン玉の実験について考えました。大問一では、数量や図形について論理的に考え、問題解決に向けて考察していきます。処理能力も必要です。大問二では、複数の資料から相互に情報を読み取り、判断する力が求められました。大問三では実験結果のデータを正しく解釈する力が必要でした。
- 適性検査Ⅰは国語型の試験で、文章を正確に読み取り、自分の考えを論理的に表現する力が求められる
- 適性検査Ⅱは算数・理科・社会を横断した試験で、資料やデータを読み取り、考察・判断する力が問われる
東京都立南多摩中等教育学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

東京都立南多摩中等教育学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
説明記述が解けるように
作文以外の小問は説明記述です。説明記述は字数指定がある問題で、2025年度は30字以内、40字以内といった短めのものでした。2024年度はもう少し長めで、45字以内と70字以内でした。
100字を超えないこうした文字数の記述問題にも慣れておきましょう。
作文力が必須
適性検査Ⅰは三問中一問が作文問題であり、解答用紙のほとんどを占めています。ここ数年の配点は、他の記述が各20点なのに対し、作文問題だけ60点です。配点が大きいのでここでなるべく多く点数をとれるようにしましょう。
作文では提示された複数の文章を読んだ上で、自分の考えや行動について書く問題が出題されます。表現力はもちろん、論理性をもった文章を書けているかどうかも重要なポイントです。
文章の内容を分析・考察する力
さまざまな種類の文章の内容を的確に読み取り、分析・考察する力が欠かせません。試験時間である45分の中で、作文に割く時間がどうしても大きくなります。どんなジャンルの問題が出ても、スラスラ読みこなせる力を身につけたいところです。
適性検査の文章の分量が特別多いわけではありませんが、少しでも多く作文に時間を回すためには速読も必要な能力です。
過去問を解いてみて、時間が足りないと感じるようであれば、一度自分が文章を読むのに使っている時間を計測してみてください。その上で段階的に速度を上げるよう意識的に取り組みます。記録を小まめにつけることで少しずつレベルアップしていきましょう。
- 説明記述対策として、30〜70字程度の短い字数指定問題に慣れておく
- 作文は最重要で、配点が高いため論理的で分かりやすい文章を書く練習が不可欠
- 文章を速く正確に読む力を身につけ、作文に使える時間を確保する
算数の勉強法
算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。
なにを解いているのかについて整理する力を
算数では、見本に倣った形式で自分がなにを解いているのか整理したり説明したりする問題が出ています。2025年度は展開図の面積の問題で、見本に倣って「求めるもの」と「式」に分けて整理する問題が出題されました。2024年度は得点版の操作と答え方の例を見本に倣って書く問題でした。見本の書き方を理解できているか、それを自分の解く問題に反映し処理できているかなどが問われます。
見本をよく見て、その形式を真似るという作業は簡単なようで、意外と難しいものです。早合点して自分流に書き換えてしまう子供は珍しくありません。注意力をもって臨まなければなりませんが、そのためにはそもそも問題慣れしていないと、難しいでしょう。
過去問や類似する問題を解いておきましょう。あらかじめパターンを押さえていれば、本番で焦って早合点する可能性も低くなります。
文章題が苦手な子供は早めに対策を
文章題をすぐに読み飛ばしてしまうタイプの子供は、適性検査の算数関連問題に強い苦手意識を覚える傾向にあります。なぜなら適性検査は通常の文章題よりはるかに長い会話文を読み込み、さまざまな手順や段階を踏まえて問題を解かなければならないためです。
文字を目で追うだけだとなかなか内容が頭に入ってきません。下線を引いたり、図を書き足したりしながら読み進めていくと効果的です。
- 見本を正確に理解し、「求めるもの」「式」など指定された形式で整理・説明する力を身につける
- 文章題が苦手な場合は、下線・図・書き込みを活用して読み取る習慣をつける
理科の勉強法
理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。
情報量が多いのでひとつひとつ理解して
理科では実験の問題がよく出ます。ひとつの大問の中で、実験1、実験2、実験3といった具合に複数パターンの実験が行われることが多いです。各実験で細かな手順があり、情報量は多く、頭の中を整理するのが大変です。
設問が頭に入りづらいタイプの子供は先に問題を確認しておくとよいでしょう。そうすると、問題文を読む際に、解くために必要なポイントを意識できます。
実験結果を言語化できる表現力を
実験結果について説明記述する問題が頻出なので、対応できるようにしましょう。実験結果を説明する際に大切なのは、理由と結果がはっきり読み手に伝わるような書き方です。主語が曖昧だったり、理由がわからないまま結果だけ書いてしまったりといった解答はよくあります。
ひと息に最後まで書くのではなく、読み直しながら書き進める癖をつけてください。おおむね三行ぐらいにわたる記述になることが多いので、文章の意味が読み手に伝わるものになっているかを随時チェックしながら書き進めていきましょう。
- 複数の実験が出題されるため、手順や条件を一つずつ整理しながら理解する力を身につける
- 実験結果は、理由と結果を結びつけて言語化する表現力を養う
社会の勉強法
社会にはどう取り組めばよいのでしょうか。
資料から読み取れる情報を説明できるように
社会関連の問題ではさまざまなデータが提示され、複合的に情報を読み取って処理する力が求められる傾向にあります。グラフや図表、あるいは資料を見比べ、それぞれから得られる情報単体だけではなく、相互の関連性を分析して、説明できるようにしなければなりません。
「なんとなく内容は理解できたけど説明するのは難しい」となる子供もたくさんいるでしょう。いきなり長い文章で説明するのが難しいのであれば、箇条書きや簡単な図解から試してみましょう。書き出したひとつひとつを言葉に置き換えてみる練習をします。最初は上手くいかないかもしれませんが、すぐにできるようになる必要性はどこにもありません。
資料と資料をつなぐ言葉を書き出してみる
複数の資料を何度も見比べながら問題を解いていくのは、大変な作業です。情報を処理する上で頭が混乱してしまう子供も多いでしょう。そうした場合には、資料と資料をつなぐまとめを空いているスペースに簡単に書き出してみるとよいです。見比べたポイントを可視化するだけで頭が整理されます。
複数の資料を関連づけながら処理する作業はかなり得意不得意が分かれる作業なので、苦手な子供にはその子に合った処理するコツのようなものを身につけさせるのがよいです。どういうやり方が合うかについてはその子によって異なるので、一緒に見つけてあげられるとよいでしょう。
- グラフや図表など複数の資料を比較し、関連づけて説明する力を身につける
- 資料同士をつなぐ共通点・違い・因果関係を書き出して可視化できるようにする
読み取ったものを表現する力が問われる

東京都立南多摩中等教育学校の適性検査は二種類あり、適性検査Ⅰは国語型、適性検査Ⅱは算数・理科・社会に分類される内容からの出題です。
適性検査Ⅰは、小問数が三問で、三問目にある作文が全体の中で大きな比率を占めます。文章を読んで、自分がどう考えたか、自分ならどうしたいかを表現する問題です。適性検査Ⅱでは、大問が三つあり、それぞれ算数、理科、社会から横断的に出題されます。説明記述の問題が多く、提示されたたくさんの資料から的確に情報を読み取って表現する力が求められます。
説明記述や作文では、読み手に書き手の意図が伝わる文章を書けなければなりません。主語と述語が噛み合っているか、目的語が欠けていないかを随時確認しながら書き進めるようにしてください。また、論理性も大切です。文章の大意が伝わるというだけでなく、相手を納得させる構成が欠かせません。
いきなり百点満点の記述は無理なので、練習を重ねてその都度、添削してもらいましょう。指摘されたポイントは次回書く際に必ず意識するようにしましょう。
