かえつ有明中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

かえつ有明中学校の科目別受験対策。国語・算数・理科・社会の勉強法

かえつ有明中学校は、早期からアクティブラーニングを実践し先進的な教育を行ってきました。さまざまな方式の入試を実施し、多様な生徒を集めています。この記事ではかえつ有明中学校を目指す家庭に向けて、国語・算数・理科・社会の勉強法を紹介します。

そもそもかえつ有明中学校ってどんな学校?

そもそもかえつ有明中学校ってどんな学校?

かえつ有明中学校は江東区にある学校です。校訓として「怒るな働け」を掲げています。一風変わった校訓ですが、これは、不平不満を持つよりも事態を好転させる意気と実力を持つことこそが大切、といった意味合いです。生徒一人ひとりの個性と才能を生かして、よりよい世界を創り出すことを目指しています。

かえつ有明中学校はアクティブラーニングを早期から取り入れてきましたが、現在はディープラーニングも大切にしています。アクティブラーニングでは多様な人々と協働しながら主体的に学んでいきますが、ディープラーニングではたとえひとりであっても学びを深めていくことが可能です。

21世紀型の学習スタイルを大切にしていて、そのためにさまざまなアプローチを取り入れています。たとえば、「サイエンス科」。ここで言うサイエンスは科学を意味するのではありません。学ぶために必要となるスキルを身につけ、トレーニングをしていくオリジナル科目です。「プロジェクト」を設定し、ワープショップ形式で行います。

それから「モデル・コア・カリキュラム」。これは「身につけてほしい知識と資質、能力のコア」として「学び方を学ぶ」「自分軸を確立する」「共に生きる」の三つを設定しています。

また、国際交流にも重きを置いていて、British Hillsで英語研修を行ったりパラオへ研修旅行に行ったりと希望者にはさまざまなプログラムが用意されています。英語教育はクラス分けで生徒のレベルに合わせた対応がなされていて細やかです。

多様なルーツや経験を持つ生徒が集まるため、そこで起きる摩擦を緩和するための働きかけや生徒へのケアにも力を入れていています。

かえつ有明中学校の入試概要

かえつ有明中学校の入試概要

かえつ有明中学校の入試について見ていきましょう。

倍率に差も。2023年度の入試

2023年度は2月1日から2月3日まで入試が行われました。かえつ有明中学校の入試はいくつかのバリエーションがあります。二科・四科の入試と特待入試、思考力特待入試・アクティブラーニング思考力特待入試・Honors/Advanced選考・帰国生入試です。

同じタイプの入試でも日によって倍率にかなり大きな開きがありました。たとえば2月1日午後の二科は約12.7倍ですが、2月3日午後の二科は約5.3倍です。

2024年度の入試

2024年度の入試も2023年度と同様、2月1日から2月3日にかけて行われる予定です。

二科・四科入試は2月1日午前です。特待生入試は2月1日から2月3日の午後です。ただし、特待入試で二科を選択した場合は一般合格、四科を選択した場合は特待合格と一般合格のどちらかとなっています

思考力特待入試は2月1日午前です。Honors/Advanced選考は2月2日午前、アクティブ・ラーニング思考力入試は2月3日午後となっています。なお、帰国生入試は11月19日午前に帰国生Advanced選考、同日午後に帰国生Regular選考、12月4日午前に帰国生Honors選考です。

二科・四科入試 2月1日(午前)
特待生入試 2月1日、2月2日、2月3日(午後)
思考力特待入試 2月1日(午前)
Honors/Advanced選考 2月2日(午前)
アクティブ・ラーニング思考力入試 2月3日(午後)
帰国生Advanced選考 11月19日(午前)
帰国生Regular選考 11月19日(午後)
帰国生Honors選考 12月4日(午前)

かえつ有明中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

かえつ有明中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向

かえつ有明中学校における出題傾向を紹介します。二科・四科の試験の場合です。

国語は説明文と物語文と知識問題

国語の配点は百点満点で、制限時間は50分です。かえつ有明の国語の問題は大問三つから構成されていて、説明文物語文知識問題です。出題される文章は平易ですし、奇抜な問題は出ません。選択問題と書き抜きの問題、記述問題は大問ひとつにつきひとつ程度の出題です。

算数は基本レベルが多い

算数の配点も国語と同様百点満点で、制限時間は50分です。大問は六つで、大問一は計算、大問二は小問集合、大問三から大問六はひとつの問題文に二、三問設問があります。大問一の計算は複雑なものは出ません。大問二の小問集合は、各単元の例題レベル。大問三から大問六は問題集の基本問題、もしくは応用問題の中で易しい問題といったレベルです。毎年、立体図形平面図形が出題されていて、かなりの割合を占める年度もあります。また、規則性も大問で出ることが多いです。

理科は時事に絡めた出題も

理科の配点は50点満点で制限時間は25分です。理科の問題は難しくはないのですが、問題文の量がそこそこあるため、読み込んで解かなければなりません。大問は四つ前後で、会話文形式の出題が多いのが特徴です。サンマの漁獲量減少やコロナウイルスなど時事と絡めた文章も多く、読むことに苦手意識がある子供は、反射的に難しいと感じるかもしれません。しかし、問われている内容自体は易しく、問題文の中にヒントが隠れているので、隅々までチェックするようにしてください。

社会は大問がふたつだけ

社会の配点は50点満点で制限時間は25分です。社会は大問がふたつ出題されます。大問がふたつというと、量が少ない印象を受けますがそういうわけではなく、大問に対して問題数が多いのです。2023年度は大問一が公民地理、大問二が歴史です。全体的に図表が多く使われています。出題形式は選択問題が多いです。選択問題では正しい答えだけではなく、誤っている答えも問われます。注意して問題文を読むようにしましょう。記述問題では、出来事の背景をきちんと理解できているかが問われます。2023年度は出生数と合計特殊出生率の変化を説明する問題でした。

ポイント
  • 全体的に基本レベルの出題が多い
  • 理科、社会でも「読む力」を求められる

かえつ有明中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

かえつ有明中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?

かえつ有明中学校に合格するためにはどういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。

国語の勉強法

国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。

選択問題を解けるようにするところから

国語の問題文の字数は増加傾向にあります。しかし、取り立てて難しい文章は扱いませんし、そこまで読むのに苦労する内容ではありません。日頃から問題集で説明文や物語文を解き、選択問題で間違えないようにするところから始めましょう。

説明文が苦手ならば克服を

説明文に苦手意識のある子供は、難しい言い回しに身構えがちです。なにかわからない語彙があったときには前後の文脈で推理する癖をつけましょう。また、説明文を読む際に、問題提起をしている段落や具体例を挙げている段落、結論を書いている段落など意味段落ごとの切り分けをしておきましょう。そうすれば、筆者の言いたいことがわかりやすくなります

物語文は心情を追いかけよう

物語文を読む際は登場人物の心情の変化に着目しましょう。問題集で物語文が出てきたら、心情がわかる文章に傍線を引いていくとよいです。長い文章になればなるほど、こうした作業が問題を解く上で効果を発揮します。すべてを読み返している時間はありませんから、なるべく短い時間で作品の大切な部分をピックアップしていきましょう。

かえつ有明中学校の国語対策
  • 長い問題文に慣れて苦手意識を持たないようにする
  • 意味段落ごとに切り分け、傍線を引きながら読み進める癖を付ける

算数の勉強法

算数にはどう取り組めばよいのでしょうか。

計算問題を間違えない

冒頭の計算問題は、比較的平易な式ばかりです。カッコの多い計算は解いているうちに混乱しがちですが、途中式を丁寧に書くようにすれば、計算ミスは減らせます。

途中式を丁寧に書くといっても、時間をかけるという意味ではありません。そうではなく、計算ミスが起きづらいような書き方を心がけてください。子供たちがよくやるのは途中式を走り書きしてどこにどれだけ書いたかがわからなくなったり、字が汚くて数字を見間違えてしまったりするケースです。こうした途中式の書き方は常日頃から習慣づけていかないと、なかなか改善しません。指導したからといってすぐによくなるケースは少なく、乱雑に書きがちな子供のいる家庭では頭の痛い問題です。

とりあえず、問題ごとに途中式を書く場所を固定することと、見間違えやすい書き方をしている数字がある場合は早いうちに癖を直しておくことです。

ミスは徹底的に解き直して

出題されている問題は平易ですが、だれしも苦手な単元はあるものです。基本問題レベルを仕上げるといっても、どうしてもとりこぼしは出てきます。そのため、問題集を解く際は間違えた問題を一週間二週間空けてからやり直して、自力で解ける状態までもっていくことが大切です。ミスの解き直しの管理は中学受験のカギです。ミスを徹底的に解き直せる人は必ず実力がアップします。解説を読んで解けると思い込むのだけは避けましょう。問題集を周回して完璧な仕上げを目指します。

かえつ有明中学校の算数対策
  • 途中式の書き方を見直して統一する
  • 問題集を何周もやり込む

理科の勉強法

理科にはどう取り組めばよいのでしょうか。

説明文に慣れておこう

理科では、時事に絡めた問題が出題されます。こうした問題は、理科の問題集を解いて対策できるものではなく、文章を隅々まで読めているか資料を理解できているかが問われます。たとえば、2022年度は一問目からコロナウイルスの問題で、二ページにわたって会話形式の問題文が続きました。

問題自体は文章を読めていれば解けるレベルでしたが、短い制限時間の中で長い問題文を読むのはそれだけで大変です。国語の説明文対策も兼ねて、スムーズに読めるようにしておきましょう。読むスピードが遅い自覚がある場合は、毎日読解文をひとつ解くようにしてください。解いている暇がないのであれば、問題文を読むだけでも効果があります。

出題範囲は万遍なく

大問は四つです。理科の出題はすべての分野からであり、基礎知識を網羅的に押さえておく必要があります。要点チェックからでよいので、毎日繰り返し頭に入れてください。

実験の問題が出やすい

理科では大問のひとつで実験を扱うことが多いです。実験の多い単元はチェックしておきましょう。出題形式としては、選択問題と語句を書く問題が大きな割合を占めます。ただし、記述問題も出るので気をつけてください。

かえつ有明中学校の理科対策
  • 文章を隅々まで読む癖を付ける
  • 全分野の基礎知識を押さえておく

社会の勉強法

社会にはどう取り組めばよいでしょうか。

時代の流れを押さえよう

過去には年号順に並び替える問題などが出題されているため、時代の流れを押さえておきましょう。各出来事を単発で暗記しているだけでは解けません。

文章を読み込み、傍線を引こう

かえつ有明中学校の社会の問題は会話文形式が多く、文章をきっちり読まなければ解けない問題も多いです。ヒントが散りばめられているので、線を引きながら読んでいきましょう。こうした問題への対策の仕方は社会というより、国語の説明文に似ています。説明文を解く際には、問題提起やキーワード、結論に傍線を引きながら読むものです。社会においても同様で、ヒントを見つけたら傍線を引いていきましょう

かえつ有明中学校の社会対策
  • 単発の暗記ではなく時代の流れを押さえておく
  • 問題文に線を引きながら読み進める癖を付ける

二科・四科以外の入試は

二科・四科以外の入試は

科目別の筆記試験だけが入試ではありません。

「思考力特待入試」では個人探究(150分)を、「アクティブラーニング思考力特待入試」ではグループワーク(90分)を行います。
また、「帰国生Advanced選考」で取り組むのは、英語作文(20分)・英語筆記(30分)・日本語作文(30分)・英語ペアワークです。
「Honors/Advanced選考」では英語作文(40分)・英語筆記(50分)・日本語作文(30分)。
「帰国生Honors選考」ではそれらに加え英語グループワークをします。

なお、帰国生入試の中で、唯一「Regular選考」だけは一般的な入試と同様、国語算数の二科(各50分)を受験します。

基礎固めと問題文を読む力の育成を

基礎固めと問題文を読む力の育成を

かえつ有明中学校の問題を解くためには基礎を固めましょう。基礎は一通り解くだけで身につくものではありません。周回して解けない問題がないようにします。

基本が多いだけに、いかにミスをしないかが問われる入試です。解いてみて自信がない問題には印をつけておくと、見直しの優先順位がわかりやすくなります。特に算数では大問のひとつ目の問題で誤った答えを出すと、ミスが連鎖してしまいますから注意しましょう。

また、国語はもちろん、理科・社会でも読む力が必要です。会話文形式での出題が多いのでとっつき易いですが、問題によってはボリュームがあるので、読むのが不得意な子供が苦手意識を覚える傾向にあります。しかし、問題が問いかけている内容が難しいわけではないので、線を引きながら読んでいってください。必ず答えに結び付くヒントがあります。


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