中学受験間近の不安。「受験本番が怖い」という気持ちを克服するには

中学受験間近の不安。「受験本番が怖い」という気持ちを克服するには

中学受験本番が近づいてくると、浮き足立ってしまって勉強が手につかなくなる子供が出てきます。中学受験は長きにわたる戦いですから、これまで蓄えてきた実力のすべてを発揮できるようにしたいところです。この記事では、中学受験本番を間近にして「怖い」という気持ちを克服するための方法を紹介します。

「もし、受験に落ちたら」と考えるのは逆効果

「もし、受験に落ちたら」と考えるのは逆効果
受験を控えた子供たちは、「受験に落ちたらどうしよう」「一個も受からなかったらどうしよう」と面白半分によく言います。冗談であるうちはよいのですが、中には真剣に思い詰めてしまう子供もいるものです。真面目にやってきたがゆえに思い詰める子供もいれば、ずっと勉強に身が入らず、受験前になってようやく危機感を抱き始める子供もいます。
危機感のなかった子供が危機感を持つのはよいことです。実際、受験一カ月前まで塾や親や家庭教師がどれほど働きかけても危機感を持てず、「大丈夫大丈夫!」と、ろくに勉強しなかった子がいました。結局、その子は一カ月前になってようやく「大変だ! どうしよう!」と焦りだしたのですが、さすがに一カ月前からでは打つ手がありません。本人が「受験なんてどうでもよい」と思っているのであれば別ですが、受かりたい気持ちがあるのなら、一定程度の危機感はあってしかるべきです。
一方で、度を超した危機感を持つ子もいます。せっかく勉強をしてきて、受かる実力もあるのに、不安ばかりを膨らませてしまうタイプです。そういうタイプは危機感に足を引っ張られ、当日実力を発揮できない可能性があります。失敗することばかり考えていると、「マイナスのイメージトレーニング」になってしまうからです。

気がかりな点を書き出し、受験対策を絞り込もう

気がかりな点を書き出し、受験対策を絞り込もう
受験本番に向けて不安ばかりが募っているのであれば、気がかりな点を一度書き出してみるとよいです。以下、詳しく見ていきましょう。

箇条書きで不安になる原因を書き出してみる

漠然と不安な気持ちを抱え込むのではなく、言語化して整理してみましょう。たとえば、受験本番が怖い理由を以下のように書き出したとします。

  • 理科の「電流」「てこ」「浮力」の応用問題が半分しか解けない
  • 算数の「図形」の応用が解けない
  • 算数の過去問で時間が足りない

箇条書きにすることで、自分の不安の正体がはっきりわかります。

箇条書きにしたものを優先順位に従って並び替える

受験直前で時間がありませんから、全部の不安なポイントを解決するのは難しいです。さしあたり、現状の課題を優先順位を考えて並び替えてみましょう。

  1. 算数の「立体図形」の応用が解けない
  2. 理科の「電流」「てこ」「浮力」の応用問題が半分しか解けない
  3. 算数の過去問で時間が足りない

なぜこの順番かといえば、1番目は単元がはっきりしているためすぐに取り組めるからです。加えて、立体図形はどの学校でも出題されやすく配点が大きい傾向にあるため、解けなければ落ちるケースも多いでしょう。
2番目は複数の単元にまたがっているため、どの単元からやるかを決める必要があります。3番目は、1番目を解決することで上手くいくようになるかもしれません。しかし、問題を解く優先順位や捨て問の基準がわからないのであれば、それを知ることこそを最優先してください。すぐに塾講師や家庭教師に相談しましょう。

算数の「立体図形」の応用が解けない

まず、1番目についてです。志望校において「立体図形」が頻出単元だとします。応用レベルまでの問題がよく出るようであれば、やり込んで理解を深めなければ得点につながりません。塾講師や家庭教師に指導を頼みましょう。自分で解説を読んで理解できるようならそれでもよいです。
大切なのは、一度解いただけでわかった気にならないこと。わかった気になって次の問題に進んでしまうとだいたい本番で失敗します。もともとの理解力は同じぐらいでも、成績のよい子と悪い子に分かれてしまう理由の多くは、ここにあるといっても過言ではありません。
突出した理解力を持つ子供はごく一握りです。努力型の成績のよい子は、苦手な問題を洗い出し徹底して反復します。逆に理解力はあるのに成績が悪い子は、親や先生から解き方だけ聞いて、ノートに書き出しそこで満足してしまうのです。

「この問題は解けるからもういいや」と言って済ませようとする子供には数えきれないほど出会いました。受験には忍耐力が必要で、苦手な問題をひとつひとつ潰していかなければなりません。なかなか成績が上がらない子供は、「そんなチマチマしたことより、もっと自分が解けるところを解きたい」と好きな単元ばかりやりたがる傾向にあります。
たしかに好きな単元をやれば、その単元内ではよい点数がとれるでしょう。そういう機会をあえて作って自信をつけるのも大切です。しかし、そればかりやって、自己満足に終わってしまうのは、受験までの時間がもったいないと言わざるを得ません。

また、苦手な問題を先生に解説してもらったり、自力で解説を読んだりしてなんとか解けたとしても、それはそのまま己の実力というわけではありません。本当に本番に通用する実力があるかどうかを確かめたければ、類題をできるだけ多く自力で解く必要があります。
類題は一度挑戦したら、その一週間後にもう一度解いてください。「一度解ければ、もう解ける」と思い込む子供はとても多いです。しかし、時間が経ったときにもう一度出すと八割方の子供が間違えます。

理科の「電流」「てこ」「浮力」の応用問題が半分しか解けない

「電流」「てこ」「浮力」と苦手な単元が複数ある場合、どれから手をつけてよいかわからずに困ってしまうかもしれません。受験前の時間がないときは、志望校の頻出単元から手をつけていきます。たとえば「電流」と「てこ」がよく出るようなら、そこから手をつけ、「浮力」は後回しにします。
頻出単元については自分で判断するのではなく、まずは塾講師や家庭教師に相談してください。プロは過去問を分析しているため、「昨年は電流が出題されている。この学校の理科の問題は基本的に二年続けて同じ単元からは出ていないから後回しでよい」といった具体的なアドバイスをしてくれます。

算数の過去問で時間が足りない

算数の過去問を解く際の時間不足は、立体図形の応用を解けるようにすることで解決する可能性があります。立体図形は解くのに時間がかかりますから、実力がつき、悩む時間が減ればそれだけタイムロスを防げるからです。
ただ、この1番目の対策だけでカバーできないのであれば、問題を解く優先順位や「捨て問」の見分け方を身につけましょう。これも、塾や家庭教師に相談してみてください。ポイントは受ける学校によって「捨て問」の基準は大きく異なるということです。混同して大切なところで点を落とさないようにしましょう。

受験に対する不安の原因が自分でわからない場合

受験に対する不安の原因が自分でわからない場合
気がかりな点がはっきりしない子供も中にはいることでしょう。そういう場合の対処法は以下のとおりです。

塾や家庭教師に相談し、自分の課題を見つけてもらう

学習の課題からくる不安であれば、塾や家庭教師が実力不足を洗い出し、「これらの問題を勉強したら自信がついて落ち着くかもしれないよ」とアドバイスしてくれるはずです。受験前はやるべきことの優先順位が見えていないと、ついつい暗いことばかり考えてしまいがちなので、とにかく手を動かすための指針が必要となります。

過去問の点数が悪いようであればやり直しを徹底して

過去問をやって合格者の平均点に届かないことで、不安を募らせるのは無理もありません。間違えた問題は徹底的にやり直しましょう。該当の問題および類題をその場限りではなく、間を空けて何度も解き直します。
その上で、同じ過去問に再度挑戦して、平均点以上がとれれば上出来です。もちろん、一度解いた問題ですから点数アップするのは当然ですが、点数アップできるだけの実力が身に着いたことは間違いないのです。周囲も「二度目だから当然」というのではなく「この調子で頑張ろう」と前向きな声かけをしましょう。
受験直前まで過去問の結果が悪かったにもかかわらず、たまたま当日得意な単元から多く出題されて合格した事例もあったので、最後まであきらめない姿勢を貫いてください。

親は自分の不安を子供に悟られないよう注意を

受験前には、親のほうが気を揉み過ぎてしまう傾向にあります。これまで子供のサポートのため、大きな負担を担ってきたのですから親が居ても立っても居られない気持ちになるのは当然です。
ただ、そうした不安は子供に悟られないようにしたほうがよいでしょう。つい感情的になって、「本当に大丈夫なのか?」「ちゃんとやってる?」と問いただしてしまう家庭がこの時期散見されますが、これは逆効果です。親はできるだけ、子供に内心の不安を悟られないようにしたほうがよいでしょう。多くの子供は親の顔色に敏感なものです。親が不安そうにしていると、自分を否定されているようでだんだん自信が持てなくなってしまいます。意識して前向きな言葉をかけてあげてください。

模試の結果が悪くても前向きな考え方を

受験直前になっても、模試の結果がイマイチな子供は多くいます。しかし、その中で合格する子供も確実にいるのです。たとえ合格率が2割程度であっても、合格する子供はいます。それは当然で、模試の点数差というのは数十点差で何割も合格率が変わってくるものだからです。
たとえば、4教科を10点ずつ上げれば40点上がります。40点上がれば合格率も大きく変わります。一教科において10点程度なら、テストのたびに上下している子供が大半でしょう。「不得意な単元だった」「コンディションが悪かった」「時間配分を間違えた」などの理由で10点ぐらい簡単に失いますし、その逆もしかりです。ですから、40点アップは無謀ではありません。少なくとも受験本番前にはそうした前向きな考え方が必要になってきます。
加えて、模試は模試ごとに問題の傾向があります。同じように受験問題も受験校ごとに問題の傾向があります。それらは、大きく違いますし、その子によって得意不得意があることでしょう。模試の結果が悪くて子供が不安になっているようであれば「あくまで目安。悪くても受かる人はいるし、当日の問題とは別物」と伝えてあげましょう。

「受験うつ」の可能性も考慮しよう

うつ病というと大人がなるイメージが強く、「小学生がうつ病になるなんて」と驚く家庭もあるかもしれません。しかし、近年「受験うつ」の症状で悩む子供の存在が指摘されていて、心療内科や精神科のホームページにも紹介されています。
勉強に対して無気力になったり、不安に苛まれたりといった症状が顕著であれば、一度専門の医療機関に相談してみてはどうでしょうか。保護者の中には、これまで心療内科や精神科とは無縁で、子供を連れて行くことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、相談に乗ってもらうことで子供の気持ちが楽になる可能性があるのであれば、選択肢に入れてみることをおすすめします。
親としても子供の不調は心配なことでしょう。一人で抱え込まず、信頼できる相手の力を借りてみてください。

子供自身が不安の原因を把握できていない場合の解決方法
  • 塾や家庭教師に相談し課題を見つけてもらう
  • 過去問のやり直しを徹底する
  • 模試結果に左右されず前向きな考え方を持つ

受験に対する不安は具体的な行動で解消しよう

受験に対する不安は具体的な行動で解消しよう
受験に対して不安な気持ちを抱くこと自体は、必ずしも悪くありません。危機感をもって受験に臨めば、最後の追い込みにも熱が入るでしょうし、本番でのミスの見直しや時間配分にも慎重になれるでしょう。
しかし、不安で勉強が手につかないようでは大変です。受験に向けて今やるべきことはなにかを一度整理してみましょう。塾や家庭教師のアドバイスを受けて、できるだけ具体的にスケジュールに落とし込んでいきます。
この時期、不安なのは子供ばかりではありません。子供をサポートする立場の親は、できるだけ自分の不安を悟られないようにしましょう。親の不安は子供に伝播しますから、意識的に前向きな言葉をかけてあげるとよいでしょう。
子供がどうにも不調で気にかかるようであれば、専門家の判断を仰いでください。心療内科や精神科といった医療機関に相談に行くという選択肢もあります。
最後は「なるようにしかならない」のが受験です。後悔ないようにやるべきことをやって結果を待ちましょう。


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