暁星中学校は、フランス語・英語の教育に力を入れていることで知られているキリスト教系の中高一貫の男子校です。この記事では、暁星中学校を目指す家庭に向けて、各科目の出題傾向や勉強法を紹介します。
そもそも暁星中学校ってどんな学校?
暁星中学校は暁星学園が運営する中学校です。教育理念はキリスト教の愛の理念そのもので、自己の能力、才能を活かして社会に貢献する人間の育成に励んでいます。
中学から高校まで一貫したカリキュラムがあり、中学では基礎学力の定着化を目指しています。また、語学学習に注力している点も、暁星中学校の特徴です。
英語の授業は少人数制で行われ、中学二年生になると一学年4クラスを6分割した人数で編成されます。中学三年生以降はさらにクラスをレベル別に細分化し、生徒の習熟度に応じた指導を実施。文系・理系に分かれる高校二年生以降も、英語は習熟度クラスのままです。語学は、英語だけではなくフランス語も学べます。共通点の多い二つの言語を学ぶことで、より効率的に理解を深めることができると考えられているためです。語学を広く学びたい人に相応しい学校だといえるでしょう。
進路指導にも力を入れていて、2025年3月の卒業生170名のうち、国公立大学への合格が45名(現役34名、浪人11名)、私立大学への合格が484名(現役341名、浪人143名)です。
医学部への進学は85名(現役39名、浪人46名)でした。
なお、東京大学は現役6名、京都大学は浪人2名、早稲田大学は51名(現役42名、浪人9名)、慶應義塾大学は44名(現役28名、浪人16名)、上智大学は26名(現役25名、浪人1名)です。
暁星中学校の入試概要
暁星中学校の入試概要を見ていきましょう。
2025年度の入試
2025年度の入試は第一回が2月2日、第二回が2月3日でした。募集人数は第一回が約65名で出願期間は1月10日0時から1月31日23時59分まで。第二回は約10名で出願期間は1月10日0時から2月2日23時59分です。選抜料はどちらも25,000円でした。同時出願の場合は40,000円です。なお、第一回は四科目で第二回は二科目です。帰国生入試もあり、12月2日に若干名の募集で三科目受験でした。科目は外国語(英語かフランス語)、国語、算数です。こちらも選抜料は25,000円でした。
2025年度の入試倍率
2025年度の入試倍率は、第一回が152名受験、101名合格。実質倍率は約1.5倍でした。第二回は100名受験、24名合格。実質倍率は約4.2倍でした。帰国生入試は19名受験、7名合格、実質倍率は約2.7倍でした。
入試区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
第一回 | 152名 | 101名 | 約1.5倍 |
第一回 | 100名 | 24名 | 約4.2倍 |
帰国生入試 | 19名 | 7名 | 約2.7倍 |
暁星中学校における国語・算数・理科・社会の出題傾向
暁星中学校における国語・算数・理科・社会の四科目受験の出題傾向を紹介します。
国語は物語文の読解がメイン
国語の試験時間は50分、配点は100点で、大問ではなく小問での出題です。物語文を読解する問題と漢字の書き取りがメインで、記述も選択問題も両方出題されます。記述は字数指定がある問題もあれば、ない問題もあり、最後には長い文章を書かせる問題も出ます。とにかく記述が多い学校なので、本番に向けた対策が必要です。問題の文章量は中学受験としては平均的で、だいたい六千字以内に収まります。
算数は図形や速さが頻出
算数の試験時間は50分、配点は100点で大問は五つ前後です。計算や小問集合はなく、大問一から単元別の問題が始まります。頻出単元は、平面図形、立体図形、速さ、場合の数、数の性質、特殊算などです。速さの問題はダイヤグラムと絡めての出題が多いです。場合の数や数の性質は特にここ数年は重視されています。中学受験に出題される特殊算はたくさんの種類があるので、頻出のものを中心にとりこぼしなく覚えておきたいところです。
理科は思考力を問う問題も
理科の試験時間は40分、配点は75点で、大問は四つほどです。分野ごとの出題になっているため、どの分野もとりこぼしなく解けるようにしておきましょう。実験や観察の問題が多く出題されています。計算力が求められる問題も多いです。また、暗記していれば点数が取れるタイプのテストではなく、思考力を問う問題もあります。
社会では時事問題にも対応できるよう
社会の試験時間は40分、配点は75点で、大問は五つ前後です。とにかく社会は問題数が多い傾向にあり、解ききるのに苦労します。問題文も長く、素早く読む力が必要です。資料に載っている情報を的確に読み取る力も欠かせません。地理では地図を使った問題が多いです。歴史は細かな情報まで掘り下げてくるので改めて覚え直す必要があります。公民は時事問題と絡めた出題もあります。
- 国語はとにかく記述が多く、算数は頻出単元を中心に出題される
- 理科は思考力を問われる問題が出題され、社会は問題数が多い
暁星中学校に合格したい。どんな勉強が効果的?
暁星中学校に合格するためには、どういう勉強をするべきなのでしょうか。科目別に見ていきましょう。
国語の勉強法
国語にはどう取り組めばよいのでしょうか。
漢字の書き取りは細部まで丁寧に
暁星中学校では、漢字は失点しない前提で解く必要があります。あとはほとんど記述なので、得点を稼げるのが漢字ぐらいだからです。
漢字の書き取りはとめはねはらいまで丁寧に書けていることが前提となります。しかし、丁寧な字を書くのが不得意な子供は少なくありません。そうした子供に対し、周囲の大人はよく「丁寧に書きなさい」「もっとはっきり書きなさい」といった声かけをします。しかし、そう言われてすぐに改善できる子供はほとんどいません。字の書き方は習慣や性格、ときにはその子供の特性と深くつながっていて、「指摘の内容が正しい」と頭でわかっていても、言われたとおりに書くのは子供にとっては難しいのです。
何度言ってもマスからはみ出してしまう子供、筆でサラサラ書いたような文字になってしまう子供、筆圧が強すぎて読みづらい子供、いろんなケースがあります。まずは姿勢や鉛筆の持ち方からチェックが必要です。その上で、文字がどういうパーツから構成されているかを確認し、書き方をひとつひとつ覚えさせていきます。時間のかかることなので、なるべく早いうちに取り組みましょう。場合によっては専門家の支援が必要なケースもあります。
物語文を読み込む力を
暁星中学校の読解は、中学受験の中ではボリュームが多いほうではありません。ただし、記述問題が多く出題されるので、問題を解く時間をなるべく確保できるよう、スピーディーに読みこなせるようにしましょう。物語自体は小学生が読みやすいもの、共感しやすいものが多く選ばれています。
文字数の多い記述に対応できるように
国語の記述では文字数指定のあるものとないもの、両方が出題されます。中でも、一番苦戦する子供が多いのが締めとして出される記述問題です。読解力ではなくこれまでの経験などを問う設問で、長文を要求されます。解答欄に対して、8~9割は答えを書いておきたいところです。日頃から、350字を目安に文章を書く練習をしてください。書き慣れていないと、なかなか得点に結びつく答えは書けません。
- 漢字で失点しない様に準備しておく
- スピーディーに問題を読めるようにしておく
- 記述問題が多いので日頃から文章を書く練習をしておく
算数の勉強法
算数はどう解けばよいのでしょか。
算数は頻出単元を中心に対策を
算数は頻出単元がある程度決まっているため、意識して対策しましょう。平面図形、立体図形、速さ、場合の数、数の性質、特殊算などが頻出です。特殊算では仕事算やニュートン算、食塩水の計算、時計算、流水算、通過算などがよく出ます。約数を求める問題もよく出ています。まず、頻出単元で苦手なものから勉強し、とりこぼしがないようにします。年度によって難易度は上下していますが、ある程度難しい問題まで解けるように仕上げておきたいところです。
難易度順ではないので注意
算数は難易度順ではなく、難しい問題が混在するスタイルで出題されます。そのため、解く順番には注意が必要です。タイムロスして解けないまま終わることのないようにしましょう。また、制限時間内に解けない問題が出てきた場合、捨て問にするかどうかの判断は早めにしましょう。過去問を解く際に、タイマーをセットして時間内に得点するためにはどう時間配分すればよいのかをイメージトレーニングしておいてください。
図形は平面図形が多いが、立体図形も
図形は平面図形の出題が多いですが、立体図形が出題されることもあります。平面図形は面積を求める問題が多く、立体図形は立体の切断などの問題が出ます。
ダイヤグラムの問題が解けるように
速さの問題はダイヤグラムとセットで出ることが多いので、必ず解けるように過去問や類題をやり込んでおいてください。速さ関連の特殊算も復習しておきましょう。
記述形式の解答欄に対応
途中式を記述するタイプの解答欄なので、必要な情報をまとめられるようにしなければなりません。読みやすい字で計算過程をコンパクトにまとめられるようにしましょう。
- 平面図形、立体図形、速さ、場合の数、数の性質、特殊算といった頻出単元を中心に対策しておく
- タイムロスを避けるために過去問を解いて時間配分を身につける
- 途中式を読みやすくコンパクトにまとめられる習慣をつける
理科の勉強法
理科はどう解けばよいのでしょうか。
時間内に解けるように対策を
理科はリード文が長く、記述問題や計算問題が出題されるため、解くのに時間がかかります。時間内に解ききるためには、まず出題形式に慣れることが必要です。問題は速読し、計算もスピーディーに解けるようにしておきましょう。
基本的な知識問題も多い
奇問の類は出ないので、受験テキストや問題集をやり込めば確実に点につながります。知識問題が多いので、各単元の基本的な内容をしっかり頭に入れておいてください。
計算問題をやり込んでおこう
物理分野は力のつり合い、電気回路などがよく出題されるため、その辺りの計算問題まで解けるようにしておいてください。化学だと、水溶液や気体・液体・固体の三態変化などがよく出ます。
- 出題形式に慣れて長いリード文を速読できるようにしておく
- 受験テキストや問題集で基本的な知識を定着させておく
社会の勉強法
社会はどう解けばよいのでしょうか。
速読必須の文章量
社会もまたリード文が長いのが特徴です。素早く読み込まないと時間内に終わらせることができません。速読を身につけて臨むようにしましょう。問題数も多いので、どのぐらいの速さで読み込めば、解ききれるのか過去問で試しておいてください。ただし、年度ごとに同じ問題数なわけではないので注意しましょう。今後も増える可能性があります。
社会問題への意識
時事問題を絡めた問題が出題されます。過去にはジェンダーに関する問題や、世界情勢に関する問題が出題されています。ただ受験テキストを使って学ぶだけではなく、社会について考える時間を持ちたいところです。地形図も読めるようにしておきましょう。
白地図をやり込んでおこう
地理の問題では地図をよく使うため、白地図をやり込み、地名や地域ごとの特徴を頭に入れておいてください。グラフなどを使った各地域のデータもたくさん出題されています。なお、歴史の問題でも地理と絡めた出題があるので、解けるようにしておきましょう。
日本国内だけではなく世界地理も
受験の地理というと、日本地理のイメージが強いですが、暁星中学校は世界地理も出題する学校なので、準備しておきましょう。
- 文章量が多いので速読を身につけておく
- 受験テキストだけでなく社会問題への意識を持つ習慣をつける
分量が多くても素早く解けるように
意外と手間のかかる問題も出題されるので、制限時間内に終わるように、イメージトレーニングをして臨みましょう。記述問題が多かったり、問題文が長かったり、解答欄の数が多かったりと科目ごとに方向性は違いますが、時間をとられる要素があるので対策しておきたいところです。
国語は問題文の量こそ標準的ですが、記述問題が多いので、素早く読んで問題に時間がかけられるようにしましょう。特に長めの記述は時間がかかるので、十分な時間を確保したいところです。算数は難易度順の出題ではないので、難しい問題に時間をとられてタイムロスしないようにしてください。記述形式の解答欄も時間をとられる原因となります。いい加減な書き方をして失点することがないよう、ポイントを押さえた解答を練習しておきましょう。
理科はリード文が長いので、読むのが遅いと問題にまで手が回らなくなります。計算問題も化学分野と物理分野で出るので、解けるようにしておいてください。社会もリード文が長く、速読が欠かせません。また、資料やグラフも多いので、必要な情報を素早く読み込めるようにしておきましょう。